(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

憧れのお義姉様①

今日はエド様が来られる日です。
今日はお義姉様の話をエド様に聞いて頂こうと思います。
似ているエド様に聞いて頂けたらお義姉様への思いというか…最後の未練みたいなものを断ち切れると思うんです。
そうすれば私は…修道女になって…それで……
何故でしょう？
決めていた事なのに心が落ち着きません…
まだ決心が…覚悟が出来ていなかったのでしょうか？
私が悩んでいるとエド様がいらっしゃいました。
いらっしゃったのですが…

「エド様⁉︎どうしたのですか？目の下にたくさん隈さんが…」

「大丈夫だよイオ！ってか熊さんって何？猛獣なんて飼ってないからな！」

「いえ、そうではなくて…あの今日はもう休まれた方が良いのでは？」

「この位大丈夫だよ！ちょっと考え事してたら目が冴えて眠れなくなっただけだから。」

「ではソファに横になってくださいませ。眠たくなったら寝て頂いて構いませんから。」

「でも今日はイオと一緒にいる日なんだぞ？せっかくだから何か話そう。」

「では、話をしますので眠くなったら寝てくださいね？」

「ん～分かった。」

いつものエド様は頼りになる優しいお義兄ちゃんなのに今日は大きな子供みたいになっています。
本当は何かあったのではないでしょうか？
エド様がソファに横になられたのを確認して私は向かいのソファに座ります。
エド様は既に眠そうです。

「今日は私のお義姉様についてお話しいたします。」

「イオの姉ちゃん？」

「はい。お義姉様はお父様の最初の奥様クリスティーナ様の子供です。クリスティーナ様はお義姉様が1歳の時に転落事故で亡くなられたそうです。その後…色々あって私のお母様がお父様と結婚しました。」

お母様が結婚した経緯は話さなくても良いですよね…エド様達は知ってるかもしれませんが、私がお父様とお義母様とシャーロットの幸せを奪ったと知られたくありません。
でも優しい皆様に嫌われたくなくて話さないのは良くない事ですよね…

「イオ？どうした？どっか痛いのか？具合悪いのか？」

いけませんねエド様に心配かけてしまいました。

「いえ何でもありません。私が5歳の時にお母様が亡くなられるまでは…私達は………」

どうしたのでしょう…何故か手が震えます。
上手く考えられません…

「おい。イオ？やっぱりどっか悪いんだろ？無理するな、な？」

ソファから起き上がり私の側に来て下さいます。

「エド様違うんです。」

「何が違うんだ？」

何が違うのでしょう？自分で言ったのに分からないなんて…

「私が5歳になるまで私達は仲の良い家族だったんです。でも…」

「でも何だ？」

「それは私がそう思いたいだけの事だったはずで…」

本当にそうかな？本当に私の想像なのかな？
でも、お義母様が泣きながら本当の事を話して下さいましたもの…やっぱり私の想像だわ…

「悪い。イオが何を言いたいか分からない。」

「すいません、何でもないです…あっ！エド様は寝ていて下さい。」

ぐいぐいとエド様を押して元のソファに寝てもらいます。

「それで…そう、お義姉様なんですが素敵な方なんです。前にエド様が話して下さった方がいますよね？エド様の想い人の方。あの方に似ている私の憧れの人とはお義姉様の事なんです。」

「はぁ？」

私の話にせっかく横になったエド様がガバッと起き上がられました。
一体どうしたのでしょうか？私が美しいお義姉様に憧れているのはやっぱりいけない事でしょうか？