50 / 215
イオにとっての誕生日 ハル視点
しおりを挟む
「あの…皆様は何故お誕生日をお知りになりたかったのです?」
その質問をしたイオに俺の事を意識してないんだなと分かっていたのに落ち込んだ。
俺はイオが好きだと自覚していた。
絶対そんな事にならないと自信があったのにな。
最初はイオの境遇に同情したのかもしれないとも思った。
でも一緒に過ごして本が好きなイオと話すのが楽しくて…本当は脆いくせに強くあろうとしていて…その弱い所を見せようとはしなくて…見せずに笑うんだよ…楽しそうに…でも偶に寂しそうに…。
報われない恋をしているって知って…辛くて…それで俺はイオが好きなんだって気付いて…
でも、初めてイオに会った時にイオを妻にする事はないと…俺を選ぶなと言ってしまったから…それもあって普段通りを装っていた。
普段通りとは言ってもあんまり触れないように気をつけたりした程度で……まぁ少しはぎこちなくなったかもしれないし、思わず触れてしまう事もあるんだけど…
俺だけが意識している事にイライラしたりして情けなくなる日も多かった。
「お誕生日ってお祝いするものなんですか?」
でもこの質問でイオの今までの境遇を思い出した。
「イオは今まで誕生日はどう過ごしてきたの?」
「いつも通り…」
いつも通り侯爵家の離れで1人で過ごして来た?
5歳からずっと?
だから誕生日に特別な思いがない?
家族の前なのに抱きしめたくて仕方ない気持ちになる。
「いつも通り…です。」
何か言おうとして、やめてしまった。
また、寂しそうな笑顔を浮かべている。
イオが無理して笑わなくて良いように、そういう事を言ってもらえるようになりたいのに…。
「まぁ!それじゃあ今年は皆で楽しく過ごしましょう!イザベル嬢も来てくれるのでしょう?それならお祝いしない手はないわね!」
「あの…」
母さんの言葉に遠慮しているのか申し訳なさそうにするイオ。
「それ良いな!」
「でも…」
エドに対しても同じ反応…
「イオ!誕生日はお祝いするもんなんだよ。貴族の中にはパーティーを開く人達もいるくらいなんだから気にすんなって!」
「そうなんですか?」
こういう時のダニーは前向きだよな…イオも気持ち遠慮が消えてるし…
「そうよ!そうと決まれば、お祝いしましょう!」
「ありがとうございます。」
そして、またこの笑顔…
もしかしたら遠慮してるだけじゃなく何か他にも不安な事があるのか?
「それじゃあイオ何が欲しい?」
「えっ?」
「誕生日なんだからプレゼント!イオの欲しいもの言ってよ!」
「エド兄!それは当日の楽しみにとっておくものだろう?」
「それもそうだな。まぁイオにとっては姉ちゃんが来てくれる事が1番のプレゼントか!」
「はい。」
やっぱり心なしか元気がないような…イオにとっての誕生日って何かあるのだろうか?
母さんも知らないような何かが?それとも単純に遠慮している?
イザベル嬢が来る事は喜んでいたから"誕生日"に何かあるんだろうな…
今度、一緒に過ごす日に聞いてみた方が良さそうだな。
あとイザベル嬢を自分からお茶会に誘ったり来る事を喜んでいるなら、イオが好きな奴は義妹の婚約者なんだろうな…
「ハルどうした?」
「イオに何をプレゼントしようか考えていたんだよ。」
本当に何をあげようかな…日にちが少ないから急がないとな!
その質問をしたイオに俺の事を意識してないんだなと分かっていたのに落ち込んだ。
俺はイオが好きだと自覚していた。
絶対そんな事にならないと自信があったのにな。
最初はイオの境遇に同情したのかもしれないとも思った。
でも一緒に過ごして本が好きなイオと話すのが楽しくて…本当は脆いくせに強くあろうとしていて…その弱い所を見せようとはしなくて…見せずに笑うんだよ…楽しそうに…でも偶に寂しそうに…。
報われない恋をしているって知って…辛くて…それで俺はイオが好きなんだって気付いて…
でも、初めてイオに会った時にイオを妻にする事はないと…俺を選ぶなと言ってしまったから…それもあって普段通りを装っていた。
普段通りとは言ってもあんまり触れないように気をつけたりした程度で……まぁ少しはぎこちなくなったかもしれないし、思わず触れてしまう事もあるんだけど…
俺だけが意識している事にイライラしたりして情けなくなる日も多かった。
「お誕生日ってお祝いするものなんですか?」
でもこの質問でイオの今までの境遇を思い出した。
「イオは今まで誕生日はどう過ごしてきたの?」
「いつも通り…」
いつも通り侯爵家の離れで1人で過ごして来た?
5歳からずっと?
だから誕生日に特別な思いがない?
家族の前なのに抱きしめたくて仕方ない気持ちになる。
「いつも通り…です。」
何か言おうとして、やめてしまった。
また、寂しそうな笑顔を浮かべている。
イオが無理して笑わなくて良いように、そういう事を言ってもらえるようになりたいのに…。
「まぁ!それじゃあ今年は皆で楽しく過ごしましょう!イザベル嬢も来てくれるのでしょう?それならお祝いしない手はないわね!」
「あの…」
母さんの言葉に遠慮しているのか申し訳なさそうにするイオ。
「それ良いな!」
「でも…」
エドに対しても同じ反応…
「イオ!誕生日はお祝いするもんなんだよ。貴族の中にはパーティーを開く人達もいるくらいなんだから気にすんなって!」
「そうなんですか?」
こういう時のダニーは前向きだよな…イオも気持ち遠慮が消えてるし…
「そうよ!そうと決まれば、お祝いしましょう!」
「ありがとうございます。」
そして、またこの笑顔…
もしかしたら遠慮してるだけじゃなく何か他にも不安な事があるのか?
「それじゃあイオ何が欲しい?」
「えっ?」
「誕生日なんだからプレゼント!イオの欲しいもの言ってよ!」
「エド兄!それは当日の楽しみにとっておくものだろう?」
「それもそうだな。まぁイオにとっては姉ちゃんが来てくれる事が1番のプレゼントか!」
「はい。」
やっぱり心なしか元気がないような…イオにとっての誕生日って何かあるのだろうか?
母さんも知らないような何かが?それとも単純に遠慮している?
イザベル嬢が来る事は喜んでいたから"誕生日"に何かあるんだろうな…
今度、一緒に過ごす日に聞いてみた方が良さそうだな。
あとイザベル嬢を自分からお茶会に誘ったり来る事を喜んでいるなら、イオが好きな奴は義妹の婚約者なんだろうな…
「ハルどうした?」
「イオに何をプレゼントしようか考えていたんだよ。」
本当に何をあげようかな…日にちが少ないから急がないとな!
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから
えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。
※他サイトに自立も掲載しております
21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ
Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.
ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います
りまり
恋愛
私の名前はアリスと言います。
伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。
母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。
その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。
でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。
毎日見る夢に出てくる方だったのです。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる