(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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お茶会⑤

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「まず、イオちゃんに夜会の招待状が来るのは間違いないわ。」

「ですが私は社交界に出たことがありません。それなのにですか?」

「イオちゃんを知っている家からだからよ。」

「私の事を知ってる…?」

「私のお母様の生家よ。」

「ジェダイナ公爵家ですか?でも、どうして?」

「叔母の為よ…」

「お義母様の?」

「ねぇベル…イオちゃんにジェダイナ公爵家の事は話した方が良いわ。私達が守れない時にはイオちゃん自身に自分の身を守って貰わなければならないもの。勿論そんな事が起きないように最善の準備はするわよ。だからどう?」

「………分かりました。…ねぇ、ネイオウミ…貴女は子供の頃の事どこまで覚えている?」

「子供の頃?」

「そう。貴方がパトリシアお義母様と毒を飲む前の話よ。」

「それは………」

怖くて震えそうになる私の側にハル様が来て、私の隣に座って手を握って下さいました。

「なっ⁉︎」

ダニー様が何か言われたようですが私はそれどころではありません‼︎

「イオ、大丈夫だよ。大丈夫。」

優しく私に伝えて下さるハル様に勇気づけられ話を続けます。

「毒のせいかは分かりませんが、記憶が曖昧でした。5歳までの記憶が殆ど思い出せませんでした。でも、最近少しだけ思い出しました…お父様とお母様とお義姉様と一緒に過ごした事を…誕生日にお母様がこれからもずっと一緒に居て下さると約束して下さった事を…なのに私をお母様は…」

「それは違うわ。」

「何が違うのですか?」

「パトリシアお義母様は血の繋がらない私を本当の娘のように可愛がってくれた。ネイオウミと私は本当の姉妹のように育った。とても仲の良い姉妹だった。それに家族みんなで過ごす事も多かった。それは本当よ。でもね、パトリシアお義母様は自殺した訳じゃないのよ。恐らくジェダイナ公爵家に殺されたの。そして貴女も狙われた。だからお義母様が自分から約束を破った訳ではないのよ。」

「お母様が殺された?」

あの日…私はお母様から渡されたお菓子と飲み物を貰って…?あのお菓子は…あれ?誰かが持ってきた?誰が?……あの日は他にも誰か居た?

「イオ?大丈夫?」

ハル様が私を心配して覗き込んでいらっしゃいます。

「…大丈夫…です。でも…あの日…他にも誰か…居たような…」

「他にも誰か居たの?」

「分かりません。ハッキリとは…」

私はそれ以上は思い出せずフルフルと首を振りました。

「無理に思い出さなくても良いわ。今はただパトリシアお義母様はネイオウミとの約束を破った訳ではないと知って欲しかっただけだから。そして実行したのがジェダイナ公爵家だと知っていて欲しかったの。」

「そんな事をする邸の人間が開催する夜会にイオが招待されるって?」

「そうよ。」

「だから対策もしたいのよ!イオちゃんの誕生日を利用して申し訳ないけどベルと会える機会は中々作れないから許して欲しいわ。」

「私達の為にお義母様達が動いて下さってるのですよね?ありがとうございます!それで…私にも詳しくお話をして頂けませんか?私にも出来ることがあれば、頑張りたいんです。お願いします。」
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