(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

文字の大きさ
75 / 215

その頃の談話室② ダニー視点

しおりを挟む
「何だよそれ…。」

俺そんな話、知らないし…何で兄貴達は知ってるんだよ…

「ずっと一緒だと約束した5歳の誕生日…イオがお母さんと約束した後でお母さんは無理心中を図って自殺した。イオはずっとそう思っていた。」

「でもお母さんは約束を破っていなかっただろ。」

「だから余計にイオは約束を守るだろうな。イオには約束は守るものっていう強い強迫観念があるんだよ。」

でも、それじゃあイオの事諦めるか傷つけるかしかないってこと?そんなの…

「ハル兄はバカじゃないの?そんなの両想いになって幸せになるためなら破ったって良いだろう?」

そうだよ!そうであればイオだって納得するだろう!

「お前イオと過ごして本気でそんな事が言えるのか?」

「…っ。」

ハル兄がマジで怒ってる…

「まぁまぁ落ち着け2人共。ダニー確認するがお前の気持ちはどうなんだ?」

「俺は…」

俺はイオが好きだって気付いた…でもハル兄みたいに結婚したいとか、そんな風には思ってない。
でもイオと一緒に居たいと思っている。
そじゃあダメなのか?

「俺は…イオと一緒に居たいとは思っている。でも、結婚とかはまだ良く分かんない…。」

「なら諦めろ!」

「なっ…」

「まぁまぁ。私は直ぐに結婚したいと思ったハルの方がどうかと思うがな?」

「親父?」

「でもそれはハルだから…」

「母さん?どういう意味?」

「や、ハルは自分の内側に入れた人間にはとことん甘やかすし優しいだろう?」

「エドまで…」

それってハル兄が家族にだけ見せる顔って事だよね?何?イオの事をもう自分の妻にでもしたつもりなの?

「何それ?イオの事を家族認定したってこと?だから結婚?それなら俺と結婚したって家族だろう?ハル兄が諦めたらいいんじゃない?」

「ダニー少し落ち着きなさい。」

「ただ家族にしたいってだけで結婚するなんて言うかよ。」

「ハルも…」

「じゃあ、どういうつもりだよ!キスしたりそれ以上のことしたいって?そういう事?」

「な、ダニーいい加減にしなさい?」

「ダニーお前の頭の中にはそんな事しかないのか?」

「ハルも相手にしないの!」

「は?好きな女前にしてその位の事は考えるでしょ?ねぇエド兄?」

「何て事を…ロビンも見てないで止めて!」

「………………」

「顔真っ赤にして俯くとかエド兄どれだけ純情なんだよ。」

バキッ

何の音?

「もう良いかしら?昼間から聞くに耐えないんだけど?喧嘩なら後で思う存分して良いから本題に入りましょう?」

「ヴィッキー落ち着いて。扇子…折れちゃったね。今度新しいものをプレゼントするよ。お前達は後で俺と話し合おうな?」

「分かった。でもその前にダニー、俺はイオのことを始め地味なフリして公爵家の肩書きに釣られて来た傲慢で高飛車な女だと思っていた。だから何も考えずにイオと約束した。その事をずっと後悔している。」

「…………」

何だよ急に真面目になって…

「でもイオと過ごして穏やかに過ごせる事に気付いた。笑っていて欲しいし辛い事があるなら何でも話て欲しいと思うようになった。守りたいと思うようになった。イオの側にいれば抱きしめたくもなる。その事を否定する気はない。イオが愛しいんだ。ダニーが本気でイオを想っていたとしても負けるつもりはないから。まぁその前にイオの好きな男から俺に気持ちを向けて貰えるようにしないといけないけどな。」

そうだった…イオ好きな人いるんだった…ハル兄と争ってる場合じゃないんだった…

「あっ‼︎‼︎‼︎」
しおりを挟む
感想 93

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

【完】まさかの婚約破棄はあなたの心の声が聞こえたから

えとう蜜夏
恋愛
伯爵令嬢のマーシャはある日不思議なネックレスを手に入れた。それは相手の心が聞こえるという品で、そんなことを信じるつもりは無かった。それに相手とは家同士の婚約だけどお互いに仲も良く、上手くいっていると思っていたつもりだったのに……。よくある婚約破棄のお話です。 ※他サイトに自立も掲載しております 21.5.25ホットランキング入りありがとうございました( ´ ▽ ` )ノ  Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。

あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。 「君の為の時間は取れない」と。 それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。 そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。 旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。 あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。 そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。 ※35〜37話くらいで終わります。

【完結】どうやら私は婚約破棄されるそうです。その前に舞台から消えたいと思います

りまり
恋愛
 私の名前はアリスと言います。  伯爵家の娘ですが、今度妹ができるそうです。  母を亡くしてはや五年私も十歳になりましたし、いい加減お父様にもと思った時に後妻さんがいらっしゃったのです。  その方にも九歳になる娘がいるのですがとてもかわいいのです。  でもその方たちの名前を聞いた時ショックでした。  毎日見る夢に出てくる方だったのです。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。

Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。 そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。 そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。 これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。 (1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)

どうぞ、おかまいなく

こだま。
恋愛
婚約者が他の女性と付き合っていたのを目撃してしまった。 婚約者が好きだった主人公の話。

処理中です...