(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

プレゼントを口実にデートを計画しました ハル目線

昨日はエドとダニーのおかげで長くかからず部屋で休む事ができた。
クラレンスに聞いたら2人は随分と粘っていたらしく結局朝まで親父の話に付き合ったらしい。
つまり今日はイオを独り占めする事が可能になったという事だ。
俺も昨日付き合わされていたら寝ないでイオに会う事も考えていたんだけど本当に助かった。
ダニーには悪いが感謝しかないな。
そんな事を考えながらイオの部屋にたどり着く。

トントン

イオの部屋のドアをノックするとアリーが扉を開いた。

ガチャ

「ハロルド様！」

「イオはいるかな？」

「お嬢様にご用でございますね。少々お待ちくださいませ。」

アリーは本当にイオを大事に思っているのが分かる。
良い侍女がイオの側にいてくれることに安心する。

「お嬢様、ハロルド様がお越しでございます。」

「は、はい‼︎」

「お会いになりますよね？」

中からイオの声が聞こえてくるだけで嬉しくなってしまう。

「は、はい‼︎」

「ではご案内いたしますね。」

「お、お願いします‼︎」

「畏まりました。」

ここでイオに断られる可能性もなくはなかったがイオは会ってくれるようでホッと胸を撫で下ろす。
イオの姿が見えると嬉しさで自然と笑顔になってしまう。
イオは席を立ち出迎えてくれる。
今日も俺のプレゼントした髪留めを使ってくれていいるのを見え所有欲が満たされるようで自分でもこんなに執着心が強い事に驚いてしまう。

「おはよう、イオ。昨日はよく眠れた？今日は会う日ではなかったのに来てごめんね。」

「あっ、いえ。あの昨日はありがとうございました。それにこれも…選んでいただいた本、とても面白いです。ありがとうございます。」

俺のプレゼントした本を手に取りペコリと頭を下げてお礼を言うイオに更に近づく。
ガバッと頭を上げたイオの顔が直ぐ側にあってそのまま口付けをしてしまいたくなる。
そんな事はしないが、どういう訳かイオの顔が赤くなっていく。
心の声でも聞こえてしまったのではないかと焦ってしまう。

「イオ大丈夫？」

「な、何がですか？」

「顔、赤くない？具合悪い？」

「い、いえ。元気です。本当に大丈夫です。」

もしかしてイオは照れている？そうなら嬉しいんだけどな…

「そう？イオが大丈夫なら今日は外に出掛けないか？」

「えっ？外ですか？」

「うん。イオが良ければ街を見に行かないかと思っているんだけど。」

「街にですか？」

「そう。一緒に本を見に行かないか？」

ただ一緒に買い物デートがしたいのだけど本を見に行こうと言った方がイオは来てくれるかなと思った。

「邸に持ってきてもらってもいいけど、イオなら自分で選びたいかなと思ってね。」

「本を…自分で選んで良いんですか？」

「そう。どうだろう？」

「ですが…」

うん、知っているよ。
きっとイオは本を選んでも買うことが出来ないと思っているのだろう。

「本は俺からのプレゼントだから気にしないで。」

「本でしたら頂いています。」

「本棚の本は…実は俺のなんだよね。」

「へ？」

これは半分は本当で半分は嘘だ。
俺の私物だった本でイオの好きな物もプレゼントしたが、イオを思って買った本もある。

「つまり俺が持っていた本。イオにあげたのは本当なんだけど、俺としてはイオだけの本を買ってあげたくて実は初めから今日は一緒に出かけようと思っていたんだよね。だから、これから一緒に買いに行かないか？」

こういう口実でもないとイオは素直に俺とデートはしないだろうからね。
ダニーが休んでいる隙にイオを外に連れ出したいという気持ちもあるし。

「さぁ準備してイオ！」

イオに断る隙を与えず連れ出すことにする俺はかなり打算的だな。