(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

ネイオウミとの再会 イザベル視点

ジェダイナ公爵家の夜会に婚約者のシオドア様と訪れました。
私の母の産まれた家であるジェダイナ公爵家が主催しています。
ネイオウミを招待していることから、何か企んでいる事は私も知っていました。
それから私をエスコートしているシオドア様も裏では悪事を働いていると聞き不安が募ります。
今回エドガード様もいらっしゃる事が私を安心させていました。
いつも通り私を会場までエスコートしたシオドア様は友人らしき人物と話すためどこかに行ってしまわれました。
名ばかりの婚約者である事は誰が見ても分かるでしょう。
私達の間に情は何一つ一切ないのだから当然です。
エドガード様と会うまではネイオウミのためという使命感だけで婚約者であり続けましたが、今は出来れば早く離れたいと願っています。
エドガード様も私を想ってくれていることを知ったからなので現金だと思われるなら仕方ないばかりです。
そんな事を考えながら会場に入ってくる人を見ていました。
私が公爵家に関わりがあろうと侯爵家の娘だろうと、社交場に集まる人達は私と関わりを持つには抵抗があるのだろう事は以前から感じていました。
確かに私は長女ではありますが、今のレナイト侯爵家には血の繋がりはなくともヴィンセントがいます。
シャーロットと叔母とは血の繋がりがあっても関係は微妙です。
だから現侯爵夫人である叔母とその娘であり、ジェダイナ公爵に溺愛されているシャーロットに人は集まり私は遠巻きに見られるのです。
それを直接言えないからシオドア様もお父様も私が綺麗だから皆が臆して近寄れないだのと揶揄します。
でも私は自分を客観的に見て面倒な女だと思っているのです。
はぁ…私はただネイオウミと楽しく過ごして、エドガード様を見つめていられたら幸せなのに…
ふと、会場の入り口付近が騒めきと静寂に包まれている事に気づきました。
相反する状況に思われるかもしれないですが本当にそうなのです。
その渦中にいたのはサミュエル公爵家の皆様とハロルド様にエスコートされるネイオウミでした。
ネイオウミは可愛らしい装いになるかと思っていましたがパトリシアお義母様に似てとても綺麗でした。
ただネイオウミ自身はそれどころではないほどに緊張している事が遠目に見ている私にも分かってしまいました。
対してハロルド様は周囲の人達に対して警戒心が強く出ていらっしゃるようです。
そしてエドガード様は今日も素敵です。
皆様が私の近くまで来られました。
ネイオウミが私の顔を見るなりあからさまにホッとした顔をしたのです。
あのお茶会以降久々の再会になるのですが、私達はあまり仲の良くない姉妹という事になっていますのに…ネイオウミを見つめるハロルド様も悩まれた顔をされています。
さて、どうしたらいいでしょうか？