(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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夜会の始まり

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私は今シャーロットの他にも多数の御令嬢に睨まれながらハル様の腕に自分の腕を絡ませ夜会会場に立っています。
招待客が全員フロアに集まると主催者であるジェダイナ公爵夫妻が入ってきます。
一度は夫妻に視線が移りますが…フロアに入ってきた夫妻の目も私とハル様に向けられます。
その為かまた御令嬢達だけでなく招待客全ての目がこちらに向けられているように感じます。
なぜこんな状況になったのでしょうか?


お義母様は私を拐った人達には私が笑顔で夜会に参加する事が一番効果的だと言われました。
その言葉を聞いたアリーさん達は私をまた着せ替えます。
この日のために用意して頂いたドレスは一着のはずだったのですがお義母様達は夜会中に何か起きた時のためにと同じものをもう一揃えしていたようで時間のない中、私を拐われる前の私に戻して下さったのです。
正直に申しますと『ハル様に抱きつてしまった…‼︎』と内心焦ってる中ではありましたが、頭の片隅で『このまま邸に帰られるかも…?』と思っていたのは言うまでもありません。
なのに夜会に参加するように言われました。
元々そのために来ているのですが、拐われ姿もボロボロになったのにまさか参加するように言われるとは思っていませんでした。
お義母様のお声かけでアリーさん達が私をものすごい勢いで整えていきます。
今日は朝早くから準備をしていたのですから間に合うはずがないと思っていたのですが…みるみるうちに完成されていきます。
一生懸命準備をして下さっている方には絶対に言えませんが『こんなに早く準備できるなら朝からの準備はなんだったのでしょうか?』と思ったのですが…アリーさんに『お嬢様、朝から準備をしていたから今こんなに早くご用意できるのですよ?ですから苦手だとしても普段からお手入れをもっとさせて下さいね?』と言われてしまいました。
私は心の中を読まれたのかと思って苦笑いしてしまったら『ご理解いただけて嬉しいですわ。』と言われてしまいました。
私は『ほどほどにお願いします。』と言うほかありませんでした。

お義母様とアリーさん達の事もでしたがハル様達も…
私が着替える時以外はずっと部屋にいらっしゃったのです。
『お義母様もアリーさん達も一緒にいるから問題ありません。』と話しても全く聞く耳を持ってもらえませんでした。
それどころか『一度あることは、またあるかもしれあいだろう?今度は絶対に側を離れない。』とそう仰るのです。
勝手に拐われてしまった私に何を言う権利もありませんが…終始見られているのは本当に恥ずかしかったです。
ただそれ以上にそれほど心配させてしまったのだということが心苦しかったのですが…
そんな感じで準備は進みたくさんの御令嬢に睨まれながら今ここに私はいるのです。

…はい。

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