(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

続・令嬢達の妬み シャーロット視点

『…シャーロット様もそんな人に虐められているなんてお可哀想に…』
『そんな悪女と一緒に居なきゃならないなんてハロルド様はお辛いでしょうに…』

私はどうにかしてあの女をハロルド様から引き離すことを出来ないか考えながら会場を歩いていたときに聞こえてきた令嬢達の会話だった。

レイが私の婚約者になった事は実は公にはなっていません。
広まらないようにお母様に助けて頂いたから。
お父様も私を愛して下さっているから特に何も言われませんでした。
だから私が今回の夜会に私がエスコート役のパートナーを連れてきていなくても不思議には思われないのです。
レイと婚約解消する時には少し苦労しましたけどレイモンドのいるアッセル家は私と同じ侯爵家ですけど…正直に言って裕福ではないのでお爺さまにお願いして黙って頂くことにしましたの。
お腹の子供の父親は…レイの可能性は高いですけど今はハロルド様がお腹の子の父親になるのですから関係ありませんわ。
なのにあの女は今まで誰もエスコートすることのなかったハロルド様のパートナーとして会場にやってきた。
腹立たしいことこのうえないわ。

本当にいつも気に入らない女だわ…

お父様にもお母様にもそれにお姉様にも家族の誰からも愛されていないあの女は家族の中でも邪魔者だった。
いつも私が何を言っても私を憐れんだような目で見てくる。

あんたよりも私の方が幸せなのに…
あんたよりも私の方が愛されているのに…

なのにどうして私を憐れんだ目で見るの？
本当に腹立たしい女だわ。
誰にも愛されず見向きもされなかったのに私とお腹の子供の父親を奪おうとするなんて…
絶対にハロルド様から引き離してやるんだから…
そんな時に聞こえてきたのがあの話だった。

『…シャーロット様もそんな人に虐められているなんてお可哀想に…』
『そんな悪女と一緒に居なきゃならないなんてハロルド様はお辛いでしょうに…』

私と同じ気持ちの人間がこの会場には沢山いる。
好都合だわ。
この頭の悪い人達に協力して頂きましょう。
だってこの中の誰かがハロルド様と一緒にいられると本気で思っているんですもの。
でもハロルド様は私のものよ。
それは変わらない事実よ。
でもあの女が嫌いなのは私と一緒の様だから協力はさせてあ・げ・る！
可愛くてあの女に虐められている可哀想な私にね！
さてあの人達と仲良くしてきましょう！

「あの…その話、皆様もうご存知なんですか？」

まずは下手にでて様子見ね。

「まぁシャーロット様…今の話し聞いてしまわれました？」
「シャーロット様のご様子からして本当の事なんですね？」

「…はい。ですがお義姉様を悪く言わないで下さいませ。」

「まぁ。どうしてですの？」

「どんな方でも私の家族ですから…」

「なんてお優しい…」
「お辛いのはシャーロット様なのに…」
「それなのにお気にかけられるなんて…」

そうよ私は可愛くて心優しい令嬢なの！
でもまだスパイスが足りないかしら？
そうね…

「私のことは良いんです。ただ…」

「どうしましたの？」

「お義姉様は婚約者様と半ば無理やり婚約解消されまして…その理由が今回ハロルド様と一緒にいる事に繋がるんですの。サミュエル公爵家の皆様に…ハロルド様にご迷惑をお掛けするのだけは避けたいんです。」

「一体何がありましたの？」

そうねぇ…皆様はどんなお義姉様がお好みですの？