(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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突きつけられたもの シャーロット視点

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「そっくりですね。」

徐に公爵様はそう言いました。
お父様が直ぐに聞き返します。

「何がですか?」

「母娘揃ってという意味ですよ。」

その言葉にお母様と私を見るお父様。
どう意味なのか考えるより先にお母様が声を荒げました。

「どういう意味ですの?勝手なことを言わないで下さいませ。」

「どういう意味も…キャサリン夫人が1番よく分かっているのでは?私は相手の方までは存じ上げないので。」

「な?」

お母様の顔が青く見えます。
一体何の話をしているのでしょうか?

「ニ、ニコ…」

「動揺する必要はないだろう?本当のことだから。」

「…っ。」

「あなた方の関係に口を挟む義理はないのは分かっているのでこの話はこの辺で…それよりも先程の事は一体どういう事でしょうか?ハロルドは婚約を控えた身なのにあんな騒ぎを起こされるなんて…」

そんな…ハロルド様が婚約されるなんて…
この時の私の頭にはネイオウミの事などありませんでした。
その位、私にとってはちっぽけな存在だったのです。
ですがそれはこの時までだったのです。

「ハロルド様は婚約されるのですか?一体誰と?」

「誰って…」

そう言って私を憐れむように見る公爵。
まさか!?私?婚約者になるのにそれを知らないから公爵は私を哀れに思っていらっしゃる?
まだその幸せの瞬間を知らないから?婚約者になるのにあの女がハロルド様のお側にいらから?
そんな考えは直ぐに打ち消されることとなります。

「今、私の息子達の婚約者候補はネイオウミ嬢なのだから彼女に決まっているだろう?その中でも私はハロルドの可能性が一番高いと思っているのだが?」

「な…ネイオウミ?あの女がハロルド様の婚約者になる?」

公爵様が私を憐れんだ目で見ていたのはそれが理由?

「そうだよ。だからネイオウミ嬢がシャーロット嬢のお義姉さんだからって呼び捨てにしたりあの女呼ばわりは今後は控えてもらえるかな?何故かはわかるよね?王家に連なる家のものになるんだし…それに私の義娘になるんだから。」

どうして?私は?ハロルド様のお嫁さんになりたいのに?ネイオウミはたまたまサミュエル家に行ったのに?どうして?どうして?どうして?

「それよりも話を戻そう。私の息子に対する数々の暴言についてレナイト家ではどのようにするつもりかな?ニコラス殿。」

ハロルド様への数々の暴言?誰がそんなことをしたの?お父様が責任を問われているって事は…さっきの私の言動?
私はハロルド様に暴言なんて言ってないわ。なのにどうして?…分かった。ネイオウミのせいね。あの女が公爵様に有る事無い事言ったに違いないわ。

「私は暴言なんて言ってません。」

「いや、シャーロット嬢は私の息子に対して言っただろう?君のお腹の中の子供はハロルドの子供だと。婚前の男女の間に子供ができるという事がどういう意味か分からない訳じゃないだろう?君はハロルドの名を存分に傷つけたんだよ。君にその責任を取る事は出来ないだろうから君の父上と話をつける事にしたんだよ。」

私…何を言われているの?何が起きているの?こんな事…信じられない…信じたくないわ…

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