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分かっていても…
しおりを挟む~ダニー視点~
俺で良かったと思っていたが、やっぱり簡単にはいかなかった。
間違いなく公爵の手の者が俺の後を追ってくる。
このまま皆んなにイオの危険を知らせて、事を進めたかったがそうはいかないみたいだ。
でも流石に最低でもハル兄には伝えたいな。
このまますんなりと会場に行くことが出来れば良いが…回り込まれてるな。
あぁこのまま俺が居なくなったことに誰か気づいてくれるかな?
いや、諦めるわけにはいかないんだよ。
俺だってイオが好きなんだから。
イオのことは諦めるとしても…この想いが叶わなくても俺だって好きな人を守ったんだって思いたいから。
だからこういった場ではマナー違反だろうけど本気で走らせてもらうよ。
俺が走るとは思っていないだろうから少しは隙をつければ良いけど油断してくれるような相手じゃなさそうだよな。
こういうことは武闘派な事はエド兄が得意なのになぁ。
まぁ文句言っていても仕方ないからやるか!
…………って気合十分だったけど相手はそういう訓練している人達だから、当然俺が敵う相手ではなかった。
今の俺ができる事は緊急事態だと伝えることだけかな。
それなら少し派手に音を出したりする方が有効かな?
ガタンっ!ガタガタっ!!
~ハル視点~
会場の外で大きな音がした気がした。
会場は音楽もなっているため気付かなかった人の方が多い。
俺もこんな状況じゃなければ気にも止めなかっただろう。
何か起きたのだろうか?
少し前からダニーの姿を確認することができない。
何か起きたのかもしれない。
エドではなくダニーに何かあったとしたら予定外に公爵が動いた可能性が高い。
つまりイオに危険が迫っている可能性が高い。
こんな所でシャーロット・レナイトの相手をしている場合じゃないな。
誰かシャーロット・レナイトの相手をしてくれないかな。
イオの父親と話をしている親父に目配せすると、直ぐに察してくれる。
こういうところが王弟ってだけに留まらないところなんだろうな。
単に王弟ってだけなら親父を気にかける人は多くはなかっただろう。
それこそ叔父に媚びたい奴らだけだっただろう。
親父が俺の側に来てくれた。
「あら、お義父様!」
は?
「本当に失礼で礼儀もマナーもないんだね。私は君の義父になった覚えもこれからなる覚えもないよ。迷惑だから口を慎みなさい。」
あぁ親父も結構頭にきているようだ。
口調は柔らかくしているが言ってる事は辛辣だ。
「え?どうしてそんな事を…」
「君の相手をしている暇はないんだよ。息子も迷惑していることが分からないかな?」
もう当初の計画とか吹っ飛ばしてるな。
つまり親父もイオが危険だと判断したってことだよな。
急がないと。
「ハロルド様は迷惑などされていませんよね?」
そんな事を言いながら不意に俺の腕に触れようとする。
一歩シャーロット・レナイトから離れ距離をとる。
彼女の腕が宙をかく。
「悪いけど俺は君の気持ちに応えることはないよ。俺が想っているのはネイオウミ・レナイト唯1人だから。」
「ネイオウミを想っているですって?そんなの嘘よ…」
力なくそう言ったシャーロット・レナイトは思ったよりも冷静に見えた。
大声で叫ばなかったことがその証拠のように思えた。
「君も気づいていたんだろう?なのにどうしてそんなに頑なに認めないのかな?」
親父の言葉に彼女は無言だった。
俺はその場を離れた。
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