(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

明かされる真実 イオ視点

ハル様はお父様に話を聞く必要があると言いました。
確かにお父様に話を聞く必要はあると思います。
だって私は色んな人に私の家族について話を聞きますが皆さん言うことが全然違うのです。
私がお父様に愛されていなかった事は事実として、何が本当の事なのか私は知りたいです。
だからお父様のところに話を聞きに行きます。
でもその場合アイザックさんはどうするのでしょうか？

「アイザック・ジョセフ、お前にも一緒に来てもらうからな。」

エド様がアイザックさんにそう言います。

「何故？」

「お前も聞くべきだ。報われないと分かっていながらここまで手を貸したんだ。本来俺達が来なかったらお前はイオを手にかけていたんだろう？だから聞くべきだ。お前が今まで何に振り回されていたのかをな。」

やっぱり私はアイザックさんに命を狙われていたのですね。

「エドそんなに優しく言わなくていい。こいつには絶対ついて来てもらう。それにこいつは嫌でもついてくるさ。愛しい人の最後を見届けるためにな。」

「………‼︎愛しいひとの最後って…まさか…お義母様を…」

「イオ！流石に手にかけたりはしないよ。ただ、社交界では生きてはいけないだろうけどね。」

「はぁ～それだけなんですね。良かった。」

「はぁ。それだけなわけがないだろう？一体貴女は令嬢としてどんな教育を受けてきたんだ…」

「令嬢としての教育は何も…ですので私に令嬢としての振る舞いを期待されましても…」

そう言った私の顔をじっと見てくるアイザックさん。

「確かに貴女も…いいでしょう。私にも見届ける義務も権利もあるようですからついて行きましょう。」

アイザックさんは何か諦めた感じで言いました。
そしてハル様とエド様が何故か『さすがイオだな。』と話されているのですが何がさすがなのでしょうか？
とにかく私達はアイザックさんを…仲間にして？人質にして？お父様のところに向かうことになりました。
会場に足を踏み入れると異様な雰囲気でした。
直ぐにハル様が私を庇われるように立たれました。

「何かあったのでしょうか？」

「あったみたいだな。あれだよ。」

そう言って視線でその場所を私に教えてくださいます。
その視線を辿るとシャーロットが号泣しています。
号泣しているシャーロットの側にはサミュエル公爵とヴィッキーお義母様がいらっしゃいます。
特にお二人はシャーロットを気にはかけていない様ですが周りの方々は気になって仕方ない様です。
公爵とお義母様はこちらに気づいたようですが私達が何をしに来たのか分かっているのか、そちらに行くように手を払われています。

「親父達に甘えて先にイオの父親のところに行こう。シャーロット嬢の相手を今はしている暇はないからな。」

そう言ったハル様に腕を引かれ私達は父の元へ向かったのですが…

「なんでネイオウミがハル様の側にいるのよ！あんたはどっかに行ったんじゃないの？何でいるのよ！」

と叫び始めました。
私だってシャーロットに構いたくなんてないわよ！
私は早くお父様に真実を聞きたいんだから！