(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

ネイオウミの髪の秘密

何故なのか理由は分からないが昔からそうだったのです。
王家の血が濃いとその髪は綺麗なグラデーションになる。
髪がグラデーションになるという事は、つまり王家の血が流れているという事。
お父様は私の髪がグラデーションになっていると言いました。
私はそう思った事はありません。
きっと何か勘違いしているのでしょう。
早く訂正しなければ…

「レナイト侯爵はその事をいつ知ったのですか？」

サミュエル公爵様がお父様に聞きます。

「サミュエル公爵は知っていたのですか？」

「えぇ、知っていましたよ。」

え？サミュエル公爵様は私の髪がグラデーションだと思っている？いえ、知っていたと言っていたという事は…そうなのですか？

「イオの髪は短く切られて目立たないけど、黄色からオレンジに綺麗に変化しているよ。今日は目立たないようにアリー達にも隠れるように結ってもらっているけどね。」

「ハ…ル…様？」

「ごめん。俺も知ってた。イオが知らない事も含め知ってた。隠していた訳じゃないけど…言わずにいてごめんね。」

ハル様も知ってた？という事はそうなのでしょうか？だとしたら私は本当にお父様の子供ではないのでしょうか？

「サミュエル公爵が知っているという事は、ネイオウミの父親は王族の血が流れているという事ですか？」

お父様の声には少し怒気が含まれているようです。
当然だと思います。
お父様はお母様を愛していて、産まれた子供は自分の子だと信じていたはずです。
でも…私はお父様の子供ではなかった。
しかも王家の血が流れているかもしれないと…お父様はそれをいつ知ったのでしょう？
その時のお気持ちはどうだったのでしょう？

「髪が綺麗なグラデーションになるのは王家の血が濃い証拠ですからね。ネイオウミ嬢に王家の血が流れているのは間違いないですよ。と言っても私も聞いただけですが…」

「つまり、ネイオウミの父親は…」

「あぁ兄ではないですよ。もちろん私も違います。」

お父様は国王様かサミュエル公爵様を疑っていらしたという事ですよね？でもお2人共違うと公爵様は仰られました。
どういう事でしょうか？

「ど、どういう事ですか？ネイオウミの父親はあなた方ではない。でも、ネイオウミには王家の血が流れている？」

「えぇ。その通りですよ。」

どういう…事ですか？

「やはりそうでしたのね。」

そう声を出したのはジェダイナ公爵夫人でした。

「どういう事ですか？」

「簡単な事ですよ。ネイオウミ嬢の父親はレナイト侯爵、貴方で間違いないという事ですよ。そうですよね、サミュエル公爵。」

え？どういう事ですか？

「その通りですよ、ジェダイナ公爵夫人。ネイオウミの父親はニコラス・レナイト侯爵です。そして母親はパトリシア・レナイト夫人ですよ。」

どういう事ですか？

「何を…それじゃあネイオウミのあの髪は……？王家の血は関係ないという事ですか？」

「いえ。ネイオウミ嬢には王家の血が流れていますよ。」

「何を言っているんですか？」

私もお父様の意見に賛成です。
何を言っているんですか？
会場にいる大半の人がその話に興奮し騒めいていました。
その中で私に王家の血が流れていると知り、青ざめている人達がいた事に私は気づきませんでした。