(完)約束嫌いな私がしてしまった、してはいけない約束

奏直

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約束嫌いな私がしてしましまった、してはいけない約束

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あの日、国王様は1年間私とハル様に学ぶように言いました。
私達が決意を新たにしたその日、同じように決意した人達がいました。

エド様とイザベルお義姉様は正式に婚約しました。
レナイト侯爵家は社交界で噂の的ではありましたが、エド様の存在がお義姉様を守ったのは言うまでもありません。
半年の婚約期間を経てお二人は結婚されました。
今までエド様は脳筋でデリカシーのない傍若無人な悪魔と噂されてきましたが、お義姉様への甘い態度に結婚した今になっておもてになっているそうで、お義姉様がとても心配しているのですがその心配は無用に思います。
そんなお義姉様ですが、レナイト家当主に予定通りお就きになりました。
そしてエド様は以前より希望していた騎士になりました。
エド様曰くいつか弟であるハル様が国王になった時に、側で守る国王直属の騎士になるのだそうです。
そのために今は厳しい訓練にも励んでいるのだそうです。

それからヴィーですが、ジェダイナ公爵家の悪評を1人で背負い直向きに頑張っています。
ジェダイナ公爵夫人の厳しい指導もありますが、ヴィー自身ジェダイナ公爵家の当主として公爵とキャサリンお義母様の罪を背負うと決めたのだそうです。
ヴィーとは血の繋がらない姉弟ですが、今は話したことが殆どなかったのが嘘のようによく話をするようになりました。
ヴィーの今後が厳しいのは間違い無いのですが、社交界でのヴィー自身の評判はそんなに悪くないのが救いです。

そしてダニー様は絶賛公爵家当主修行中です。
朝から夜まで寝る暇も惜しんで、学んでいるそうです。
ダニー様は今まで女癖の悪く私利私欲のために女性に手を出す色欲魔神と噂されていましたが、今はその影も形もありません。
そんなダニー様には心に決めた女性がいるのでは?と社交界では噂になっていますが…どうなのでしょうか?
今はただ公爵家当主になるために集中しているのだと思います。
いつかダニー様も素敵な女性と婚約されるのでしょうね。
今から楽しみです。

それからシャーロットは修道院で男の子を産んだそうです。
1人で子供を育てる決意をしたシャーロットはただひたすらに強き母になったようです。
そしてお父様は、遠き地で静かに平民として暮らしていると聞きました。
まだ、お父様とは手紙のやり取りすらもできずにいます。
いつか、お会いして話をしたいのですが…まだまだ先の話になると思います。

そして、私とハル様なのですが…1年が過ぎた今も婚約をするに至っていません。
それは私の淑女教育が遅れているわけでも、ましてやハル様の王位を継ぐための準備が遅れているわけでもありません。
王妃様もサミュエル公爵様もヴィクトリアお義母様も『2人の婚約をお許しになっては?』と幾度となく言ってくださっているのですが『父娘で過後した時間があまりにも短いじゃないか。何れハルと結婚するのだとしたら今しばらく俺にネイオウミと過ごす時間を譲ってくれてもいいだろ?』と言う国王様の完全な我儘なのです。
しかもタチの悪いことに『せめて婚約は許して欲しい。』とハル様が言えば『お前はネイオウミとは結婚しないと約束したのだろう?』と言ってくるのです。
その件に関しては2人で話し合って解決していると言っても聞く耳を持ちません。
ハル様は近々立位すると噂もあり女性達からのアプローチをたくさん受けているとアリーからの報告で知っているため気が気ではないのに…

「あぁ、どうして私ハル様とあんな約束してしまったのかしら…やっぱり約束なんて大嫌い!」

私は王宮内に用意された私室で今日も叫ぶのでした。
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