あの時の風景〜私は初めて恋をした。

𝕞𝕚𝕫𝕦𝕜𝕚

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プロローグ

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「今年は希樹となるかな」

新学期のクラス発表のワクワク感。
全校生徒がワクワクするこよ時間。
そんな中、クラス発表板を眺める女子がいた。

今日は、4月6日。
井上奈々は、親友である七瀬希樹と同じクラスになるかドキドキしながら、発表板を見ていた。

その時、奈々の目には自分のクラスの板に
『23番 七瀬希樹』
の文字を見つける。

「やったー!」
そう叫んでしまった。でも、それと同時に隣から
「よっしゃっ。」
という声が聞こえた。

「あっ」
「あっ」

隣を見ると、有馬大輝がいた。
その後、すぐ有馬は奈々に話しかけた。

「えっと、井上さん。?」
「あっ、はい。」
「あの同じクラスになった、有馬です。」
「あっ、井上奈々です。よろしくお願いします。」
「こちらこそ」

そう、他愛もない話をしていると、後ろの方から、また1人の男の人の声が聞こえた。

「よっ!えっ?!2人仲良いの?!」

そう急に話しかけてきた声の主は、四谷旭だ。
その隣には、希樹もいた。

「えっと、いやっ、えっ!?なんで希樹?!」
「お久ー!今年同じクラスじゃん」
「う、うん」

奈々は、なぜ希樹が四谷旭と一緒にいるか理解できなかった。
第一。
奈々は、極度の人見知りだから、四谷旭とはあまり話したことがなかったからだ。
しばらく、それ以上の言葉が出ることなく戸惑っていると、

「もう。旭。井上さん困ってんだろ」
「えっ!だって仲良さそうだったし、大輝が女子と話すなんて珍しいから、てっきり仲良いのかと」
「まー話はしないけど。。そんな事いいだろ。たまたま会ってって感じなだけだから。」
「そうです。たまたま一緒に発表板見てただけで」
「ふーん。そっか」
「そうだよ。で、隣の方は?」

大輝は、希樹を見て旭に問いかけた。
こうして4人で話している間にも、王子様二人が揃ってるともあって、周りには2人を見に来る女子で、人だかりができていた。
でも、4人は話に夢中でそんなこと気にもしていない。

「あ、七瀬希樹って言います。旭とは家が近くて、あと奈々とは幼なじみで結構一緒にいるんだ」
「そうなんですね」

少し距離感のある挨拶だと思ったのか、大輝が「そうなんですね」と言った瞬間、すかさず希樹は言った。

「敬語じゃなくていいんじゃない?笑」
「確かに、同級生だし」

旭も直ぐにつっこみ、タメで話すことになった。

その後も、少し4人で話しているうちに、いつしか旭は4人のいじられキャラとなった。
そして、教室に向かうと、ほとんどの人が席に着いて話していた。

「みんな早くない?」

旭が言うと、4人は直ぐに空いている自分の席に座った。

「あっ」
「あっ」

ほんと数十分前にあった、このやり取りが再び起こった。
大輝と奈々は隣の席だったのだ。

「井上さん、隣だったね」

そう微笑んだ大輝は、少し奈々に顔を近づけた。
その瞬間、クラスは少しどよめいた。
2人に注目が集まったが、すぐおさまった。

「うん。あ、なんて呼べばいいかな?」
「大輝でいいよ。」
「いや、でもほとんど初対面だし」
「じゃ、苗字?」
「それでお願いします」

奈々は、ほとんど男子との関わりがなかったため少し緊張した様子で、大輝と言葉を交わした。
大輝は、苗字で呼ばれるとなった時、何故か気持ちが沈んだ。
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