あの時の風景〜私は初めて恋をした。

旭side

やっぱ大輝、井上さんのこと好きなんだな。
それにしても、わかり易すぎでしょ。
井上さん、本当に気づいてないのかな？
あの二人、お互い鈍感すぎんだろ。
俺も、
自分のこと考えないとな。

「旭おはよう」
「おう。おはよう。」

相手は、希樹だ。
今にも心臓が飛び出そうなくらいだが、抑えて。抑えて。
ってか、明日希樹の誕生日じゃね！？
日付を見ると今日は、4月12日。
希樹の誕生日だ。

区切り。というか、何がするなら持ってこいの日だけど、告白しようかな。
どうしよう。
どちらにしても、誕プレ買いに行かないと。

「旭ちょっといい？」

希樹から呼ばれた。
こんなこと、初めてだ。
しかも、真剣な顔。

「どうした？」
「あのさ、そんな重い話でもないんだけど。」
「うん」
「有馬くんって奈々のこと好きなのかな？」

やっぱ、希樹好きなんだ。大輝のこと。
でも。ここは本当のこと言った方がいいよな。
変な嘘つくより。

「うん。多分な」
「やっぱそうかー！」

急に希樹の顔が明るくなった。
ショックじゃないの？

「ごめんね。変な事聞いて。」
「いや、いいんだけどさ。なんで、聞いたの？」
「奈々のためにね。」
「どういうこと？」
「奈々さ。有馬くんのこと好きみたいなんだよねー。自分では、気づいてないっぽいなんだけど。だからさ、くっつけたいなーって」
「そういう事か！よかった。」
「よかったって？」
「いや、なんでもない。俺も協力するよ」
「ほんと？ありがと。頑張ろうね！」

頑張ろう。
そう言った希樹の笑顔に、俺は吸い込まれていくような感じになった。
そして、気がついたら、希樹を抱きしめていた。

「旭？」
「ごめん。少しだけ。」

この時。自分の気持ちを抑える事なんて不可能だった。
無理だった。

「希樹？」
「どうした？」

「俺、希樹が好きだ。初めて会った時からずっと。だから、俺と付き合って欲しい。」

言えた。
やっと言えた。
ずっと、モヤモヤしていた何かが一瞬でなくなった。

「私もだよ。旭の事ずっと好きだった。私で良ければよろしくお願いします。」
「ほんと？！」
「ふふっ。耳元はうるさいよ笑」
「ごめん。」

希樹は、嬉しそうにほほえんだ。
俺も、一緒にほほえんだ。