夜櫻に輝く君を想う。

1話

「何ぼーっとしてんだよ」

和樹が言った。

昨日の夜、櫻乃美月という女性に会ってから、彼女のことが頭から離れない。
あの時、なんで俺の名前を呼んだんだろう。いや、まずなんで知ってたんだ。

彼女は自分の名前を言うと、それ以上の事は何も言わず

「じゃあまたね。たまにここにいるから会いに来てね」

そう言い残して公園の奥へと歩いていった。
いや、消えていったの方が正しい表現なのかもしれない。

そんな彼女を追いかけることも無く、疑問が多く残る中家に帰った。

不思議な気持ちがずっと心に残るまま、今日を迎えてしまって、和樹にこう言われてしまった。

「おーい！ひーろーとーくーん！」
「あ、ん？」
「ん？じゃないよ笑、なんかあった？冷静な大翔にしては、落ち着きない笑」
「そう？別になんもないけど。ってか、お前よりは落ち着いてると思うけど笑」

「和樹、行くぞー。って、なんで櫻野といんの？」

和樹にそう言ってきたのは、同じクラスの結城雄斗。

結城も和樹と同じように、成績優秀で運動神経抜群。
俺にとっては、あまり話さない存在だ。

「いや、俺たち幼なじみだから」
「まじ？！」
「今更？笑」
「今更？って、お前言ったことないだろ。」
「確かに笑 じゃ、俺部活行ってくるわ」
「あ、うん」

ー1時間後ー

ま、今日も誰も帰る人いないから1人。
でも、俺はやっぱり昨日の彼女の存在が忘れられない。
一体彼女は何者なんだ。。

公園に近づくにつれ、恐る恐る桜の木を見てみると。

「大翔くん。久しぶり。」

彼女は昨日と同じように、桜の木の下に立っていた。

「久しぶりというか、昨日だけですけど」
「そっか、あのさなんで敬語？笑」
「だって、会ったばっかりだし年上だったら失礼だし…」
「大丈夫。同い年だから」

同い年か。
でも、俺の学年には少なくとも彼女はいない。
同じ苗字の人がいたら、すぐ分かるから。

「そっか…」

なんでか分からない。
でも、俺にとって彼女は……

「あのさ、」
「ん？」

なんだろ？


「私、大翔くんのことが好きなんだ。」


え、、
どういう状況！？！？