超絶面食いな彼に片思いしてます

ひのきよ

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昼休みになってやっと授業も終われば早速蘭くんが席から立ち上がる。その様子をじっと見てるとやはり行先は転校生の伊代の席だった。

蘭くんは茶髪で耳にピアスを開けていて周りから見れば不真面目な見た目をしている。めちゃめちゃモテるし誰とでも仲良くするタイプだが特に伊代の様に可愛らしい子が好きな為、自分のタイプな子に対してはグイグイ近寄る。そしてスキンシップが多い。
人の好き嫌いは意外と激しくてハッキリものを言う。だけど、根は優しくて初めて僕に向けた無邪気な笑顔は忘れられない。

「ねー、伊代って彼女いんのー?」

「えっ?かの、じょ...?え、えっと....」

「ああ、俺は蘭。」

「蘭、くん。何で、そんなこと聞くの?」

転校生への開口一番が彼女いるのかの質問は驚いた。まぁそういう所も好きなんだけど。困るであろう質問されて戸惑う伊代の様子などお構い無しに近くにあった椅子に座り伊代の席でパンを食べ始める蘭くん。
ぶっちゃけ羨ましい。ずるい、てか席変われ。そう横目で2人の様子を見ながら取り敢えず僕もお弁当を食べ始める。

「え、ダメ?」

「ダメでは無いけど....。彼女はいないよ?僕、あんまりモテないし....。」

「えー、マジー?モテないとか嘘じゃん。」

「ほ、ほんとだよっ。」

喋り方、仕草、何から何まで蘭くんのタイプに当てはまってしまっている。完全に伊代は狙われているだろう。

「そうなんだ。結構可愛い顔してんのに....。」

そう言って伊代の顎下に手を当ててクイッと持ち上げる。

『え......。』

「かっ....可愛いって.....それじやぁ、逆にモテないじゃん....。」

「っはは、顔真っ赤。」

胸の奥がズキッと痛むのを感じた。お弁当を食べていた箸は止まって、ただただ感じたことの無いこの胸の痛みに疑問を抱く。
蘭くんがあんな風に誰かに触れるのは始めて見た光景。

「.....早くしないと......取られちゃう.......。」

誰にも聞こえない声でボソッと呟き食べかけのお弁当をしまった。
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