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結局昼休みは感じたことの無い胸の痛みを感じながら2人のやり取りを見て、更に落ち込んでしまった。
僕は伊代みたいに可愛くないし、蘭くんのタイプに当てはまらない。だからこそ、今現在でも片思い中なまま。まぁ、薄々自分の気持ちに気づいていた。最初は見てるだけでいい。挨拶だけでも、1文字だけでも言葉を交わせれば満足だと思ってた。けど、時間が進むにつれてどんどん、欲が大きくなっていった。その気持ちを抑えるのに必死で、ずっと心の奥底で隠してた。なのに、転校生が来てもう限界になってしまったんだ。
憂鬱な状態でまた蘭くんを眺めながら取り敢えず授業を頑張ることにした。
放課後、また蘭くんは伊代の所へ行った。
でも伊代は早く帰らないといけないと言って急いで帰ってしまい、当然蘭くんは残念がっていた。まぁ僕にとっては絶好のチャンスだけど.....。
「ねぇ、蘭くん....。」
「おお、夏月。どうした?」
「あのさ、もし良かったら一緒に帰らない?」
話しかける事さえ緊張しすぎておかしくなりそうなのに一緒に帰ることを誘うなんて自分には無理があった。断られるのが怖くて声も震えてしまった。でも蘭くんは何故かクスッと笑った。
「っはは、何でそんな声震えてんだよ。良いよ、丁度今暇になった所だし。」
「ッ......!!!!あ...あり、がと...。」
こうやって僕なんかにも笑顔を向けてくれる。
伊代みたいに、触れてはくれないけど.....。
一緒に帰ってくれる許可も貰って、隠すことの出来ない頬を赤く染めたまま2人で教室を出た。
「お前が俺と一緒に帰るなんて珍しいな。というか、初めてだな。どったの?」
「あ....えと....、別に、理由は無いけど....。」
「ふーん。」
理由?君のどタイプな超イケメン君が転校してきて君を取られたくないから焦ってこうやって誘ったんだよ!!!!!.......とは絶対に言えない.....。
ので、取り敢えずぎゅっと鞄を握る手に力を入れて踏み入った質問をすることにした。
「蘭くんは、伊代くんの事好きなの?」
「伊代?あー....、好きっていうか興味はある。流石にまだ初めて会ったのに好きとは言えないじゃん。」
「そっか....。」
てっきり好きという言葉が出てくると思った為内心ホッとした。まぁ、いくら蘭くんでも流石に初対面で相手をすきになることは無いのか。
いやでも、世の中には一目惚れというワードがある。
内心ブツブツつぶやいていると少し間が空いてまた蘭くんから喋り出す。
「あ、でも抱きたいとは思ったよ。あいつ何から何までちょー可愛いんだよなぁ。」
「っ.....!!」
思いもよらぬ彼の言葉に肩を揺らす。
抱きたい....。
またお昼の時に感じた痛みが走った。
そう思われてる伊代が羨ましくて仕方がなかった。悪戯に笑う蘭くんに無理矢理合わせて「確かに可愛いよね」と言葉を放つ。
「じゃあ、僕はこっちだから....、またね。」
「おう、じゃーな。」
ばいばい、と手を振って肩を落として歩き出す。好きな人の口から誰かを抱きたい、とか誰かのことを可愛いとか聞くのってこんなに辛いんだって初めて実感した。
片思いしてる時が1番楽しい時期って誰かが言ってたような気がするけど、嘘じゃん。
こんなの、辛いばかりだよ......。
僕は伊代みたいに可愛くないし、蘭くんのタイプに当てはまらない。だからこそ、今現在でも片思い中なまま。まぁ、薄々自分の気持ちに気づいていた。最初は見てるだけでいい。挨拶だけでも、1文字だけでも言葉を交わせれば満足だと思ってた。けど、時間が進むにつれてどんどん、欲が大きくなっていった。その気持ちを抑えるのに必死で、ずっと心の奥底で隠してた。なのに、転校生が来てもう限界になってしまったんだ。
憂鬱な状態でまた蘭くんを眺めながら取り敢えず授業を頑張ることにした。
放課後、また蘭くんは伊代の所へ行った。
でも伊代は早く帰らないといけないと言って急いで帰ってしまい、当然蘭くんは残念がっていた。まぁ僕にとっては絶好のチャンスだけど.....。
「ねぇ、蘭くん....。」
「おお、夏月。どうした?」
「あのさ、もし良かったら一緒に帰らない?」
話しかける事さえ緊張しすぎておかしくなりそうなのに一緒に帰ることを誘うなんて自分には無理があった。断られるのが怖くて声も震えてしまった。でも蘭くんは何故かクスッと笑った。
「っはは、何でそんな声震えてんだよ。良いよ、丁度今暇になった所だし。」
「ッ......!!!!あ...あり、がと...。」
こうやって僕なんかにも笑顔を向けてくれる。
伊代みたいに、触れてはくれないけど.....。
一緒に帰ってくれる許可も貰って、隠すことの出来ない頬を赤く染めたまま2人で教室を出た。
「お前が俺と一緒に帰るなんて珍しいな。というか、初めてだな。どったの?」
「あ....えと....、別に、理由は無いけど....。」
「ふーん。」
理由?君のどタイプな超イケメン君が転校してきて君を取られたくないから焦ってこうやって誘ったんだよ!!!!!.......とは絶対に言えない.....。
ので、取り敢えずぎゅっと鞄を握る手に力を入れて踏み入った質問をすることにした。
「蘭くんは、伊代くんの事好きなの?」
「伊代?あー....、好きっていうか興味はある。流石にまだ初めて会ったのに好きとは言えないじゃん。」
「そっか....。」
てっきり好きという言葉が出てくると思った為内心ホッとした。まぁ、いくら蘭くんでも流石に初対面で相手をすきになることは無いのか。
いやでも、世の中には一目惚れというワードがある。
内心ブツブツつぶやいていると少し間が空いてまた蘭くんから喋り出す。
「あ、でも抱きたいとは思ったよ。あいつ何から何までちょー可愛いんだよなぁ。」
「っ.....!!」
思いもよらぬ彼の言葉に肩を揺らす。
抱きたい....。
またお昼の時に感じた痛みが走った。
そう思われてる伊代が羨ましくて仕方がなかった。悪戯に笑う蘭くんに無理矢理合わせて「確かに可愛いよね」と言葉を放つ。
「じゃあ、僕はこっちだから....、またね。」
「おう、じゃーな。」
ばいばい、と手を振って肩を落として歩き出す。好きな人の口から誰かを抱きたい、とか誰かのことを可愛いとか聞くのってこんなに辛いんだって初めて実感した。
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こんなの、辛いばかりだよ......。
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