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これが何の涙なのかも分からない。
怖いけど怖いわけじゃない。今の蘭くんが怒っているのか、それとも冗談で言っているのかも分からない。分からないけど何故か涙が零れた。だけど確実に言えるのは、初めて蘭くんがこんな至近距離にいるということだけは事実。
蘭くんが僕に触れてる。蘭くんが僕の目をじっと見てる。
嫌いになるまで抱いてあげようかと言われたけど、蘭くんにどんなことをされても嫌いになんか絶対にならない。
蘭くんの服をきゅっと握りしめて震える声で喋り出す。
「僕、蘭くんの事、嫌いになんかならないよ....。どんなに酷いことされたって、一方的に嫌われたって殺されようとしても、嫌いになんかなれない......。」
「お前怖すぎだろ。」
涙のせいで、蘭くんがどんな表情をしているのか分からない。多分困ってる。
それでもやっと想いを伝えられた。
これで嫌われるかもしれないけど良い機会だったかもしれない。
ぐすぐすと鼻を啜っているとぽんぽんと頭を撫でられ、親指で涙を拭ってくれた。
「っ....蘭くん....。」
「こーやって近くで見ると、結構可愛い顔してんだな。」
か.....かか...可愛いって......言われたッ!!!
ずっと言われたいって羨ましがってたけど言われるわけないって諦めてた僕が蘭くんに可愛いって言われた!!!!
あまりの嬉しさに更に涙がポロポロと零れ始めて顔を真っ赤に染める。
「泣くほど嬉しいの?」
その問いかけに必死にこくこくと頭を頷かせる。この気持ちはきっと誰にも分からない。僕だけにしか分からない嬉しさだ。
「もー、泣くなよー。俺が泣かせたみたいじゃん。」
「ぐすっ.....発端は、蘭くんだよ....うぅぅ。」
「確かに。」
ぐずぐずと泣いてる僕の事はよそに蘭くんはくすくすと笑っている。蘭くんが悪いことをして泣いた訳では無いけど蘭くんが嬉しくなるような事を言って泣いてしまったのは事実だ。
慰めてくれてるのか僕が泣き止むように頭を撫でてくれている。
「でさ、夏月は俺とどうしたいの?」
「え......。」
「俺の事好きなんでしょ?付き合いたいの?」
付き合うとか、そう言うの考えたこと無かった。僕と蘭くんが付き合える訳無いんだから。
もしここで付き合いたいって言ったとして断られたらしばらく僕は立ち直れない。
でもこんなチャンス二度と無い。
断られる覚悟をしてから深呼吸をしてやっと口を開いた。
「.....付き合いたい....です.....。
ずっとずっと好きだったから。誰かを好きになるのは蘭くんが初めてで蘭くんのお陰で毎日幸せを感じてた。」
「.........。」
「蘭くんと話せただけで嬉しくて、目が合っただけでドキドキして、蘭くんの笑顔を見るだけで僕も笑顔になれた......。」
話していくうちにどんどん涙が溢れ出して、断られるのがどんどん怖くなってきた。
もう元には戻れない。
気持ちを伝えないままでいるのも、伝えて振られるのもどっちにしろ辛いことを実感した。蘭くんはただ僕の話をじっと聞いてくれてる。
「本当に好きで好きで仕方ない。
......僕と、付き合ってくださいっ。」
やっと言えた。
言えたけど。
「.......そっか.....。ごめん、夏月。付き合えない.....。」
現実はやっぱり甘くなかった。
怖いけど怖いわけじゃない。今の蘭くんが怒っているのか、それとも冗談で言っているのかも分からない。分からないけど何故か涙が零れた。だけど確実に言えるのは、初めて蘭くんがこんな至近距離にいるということだけは事実。
蘭くんが僕に触れてる。蘭くんが僕の目をじっと見てる。
嫌いになるまで抱いてあげようかと言われたけど、蘭くんにどんなことをされても嫌いになんか絶対にならない。
蘭くんの服をきゅっと握りしめて震える声で喋り出す。
「僕、蘭くんの事、嫌いになんかならないよ....。どんなに酷いことされたって、一方的に嫌われたって殺されようとしても、嫌いになんかなれない......。」
「お前怖すぎだろ。」
涙のせいで、蘭くんがどんな表情をしているのか分からない。多分困ってる。
それでもやっと想いを伝えられた。
これで嫌われるかもしれないけど良い機会だったかもしれない。
ぐすぐすと鼻を啜っているとぽんぽんと頭を撫でられ、親指で涙を拭ってくれた。
「っ....蘭くん....。」
「こーやって近くで見ると、結構可愛い顔してんだな。」
か.....かか...可愛いって......言われたッ!!!
ずっと言われたいって羨ましがってたけど言われるわけないって諦めてた僕が蘭くんに可愛いって言われた!!!!
あまりの嬉しさに更に涙がポロポロと零れ始めて顔を真っ赤に染める。
「泣くほど嬉しいの?」
その問いかけに必死にこくこくと頭を頷かせる。この気持ちはきっと誰にも分からない。僕だけにしか分からない嬉しさだ。
「もー、泣くなよー。俺が泣かせたみたいじゃん。」
「ぐすっ.....発端は、蘭くんだよ....うぅぅ。」
「確かに。」
ぐずぐずと泣いてる僕の事はよそに蘭くんはくすくすと笑っている。蘭くんが悪いことをして泣いた訳では無いけど蘭くんが嬉しくなるような事を言って泣いてしまったのは事実だ。
慰めてくれてるのか僕が泣き止むように頭を撫でてくれている。
「でさ、夏月は俺とどうしたいの?」
「え......。」
「俺の事好きなんでしょ?付き合いたいの?」
付き合うとか、そう言うの考えたこと無かった。僕と蘭くんが付き合える訳無いんだから。
もしここで付き合いたいって言ったとして断られたらしばらく僕は立ち直れない。
でもこんなチャンス二度と無い。
断られる覚悟をしてから深呼吸をしてやっと口を開いた。
「.....付き合いたい....です.....。
ずっとずっと好きだったから。誰かを好きになるのは蘭くんが初めてで蘭くんのお陰で毎日幸せを感じてた。」
「.........。」
「蘭くんと話せただけで嬉しくて、目が合っただけでドキドキして、蘭くんの笑顔を見るだけで僕も笑顔になれた......。」
話していくうちにどんどん涙が溢れ出して、断られるのがどんどん怖くなってきた。
もう元には戻れない。
気持ちを伝えないままでいるのも、伝えて振られるのもどっちにしろ辛いことを実感した。蘭くんはただ僕の話をじっと聞いてくれてる。
「本当に好きで好きで仕方ない。
......僕と、付き合ってくださいっ。」
やっと言えた。
言えたけど。
「.......そっか.....。ごめん、夏月。付き合えない.....。」
現実はやっぱり甘くなかった。
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