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第2節 ~幼馴染は今日も隠れゲスの為に働く~
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AM6:00
あたしは目覚ましの音で目を覚ますとベッドから起き上がり、寝る前に準備していた今日の服と化粧ポーチを抱えて1階のお風呂場へ向かう。
シャワーで体の隅々まで綺麗にしたあたしは、体にタオルを巻きながら洗面台へ向かった。
髪をドライヤーで乾かし枝毛が無いか確認してから、昨日選んでおいた服に着替える。
着替え終わると次は持ってきたポーチの中から各種メイク道具を取り出す。
とは言っても、あまりしっかりとしたメイクはしない。
ユウトは化粧が好きじゃないので、あくまでも薄化粧で終わらせる。
最後に髪を後ろで束ねてから、鏡の前で1回転して問題ないか確認した。
「よし、今日もこれでいいわね」
――――――AM6:50
あたしはいつも通りの時刻に家を出ると、隣の家のインターホンを押す。
「夢佳ちゃん?おはよ~」
「おはようございます。さゆりさん」
玄関を開けてくれたユウトのお母さんに挨拶して、家にお邪魔する。
「そう言えば、ユウトからあの話は聞いた?」
「?あの話って何ですか?」
「あれ?夢佳ちゃんは聞いてないの?ユウトが1人暮らしする話」
さゆりさんの言葉にあたしは衝撃を受ける。
全くそんな事聞いていなかったし、気付かなかった。
「え!?ユウトが?」
「そう。ユウ君が」
これは急いで起こして、話を聞く必要がありそうだとあたしは思った。
さゆりさんに「ユウトを起こしてきます」と一言告げると、上り慣れた階段を上がり左奥の部屋の扉を開ける。
「ちょっと、ユウト!」
あたしが部屋に入ると、ユウトが布団をかぶり直した。
「ねぇ!起きてるんでしょ?というか、起きなさい!話があるの!」
布団を少し引っ張ってユウトの上から引き離す。
今日は抵抗がないまま布団を取ることが出来た。
「むぅ、今回はあっさりと布団を・・・」
――――――午前7:00
いつも通り、幼馴染を起こすことが出来て、あたしは少しだけ満足感に浸る。
目の前のユウトはまだぼんやりしているのか、目覚ましを見ながらボーっとしていた。
チャンス!
あたしはそう思って、布団を顔に近づける。
・・・・・・ユウトのいい匂いがした。
ユウトが目覚ましを置いたのを見ながら、あたしは泣く泣く布団をベッドに戻す。
そして、まだボーっとしているユウトを引っ張りながら部屋を出た。
「そんで、話って何だ?」
階段を下りると、後ろからユウトが声をかけてきた。
話と言われてすぐには思いつかなかったが、居間に入ってさゆりさんを見た瞬間1人暮らしについて聞かなくちゃいけないことを思い出す。
「あ!そうだよ!それ!ユウト、1人暮らし始めるって本当!?」
一瞬、間が空いてからユウトが答える。
「そうだけど、それがどうした」
「あたし、聞いてないんですけど」
あたしの言葉に、ユウトがため息をついた。
「なんで言う必要があるんだよ」
「ひどい!教えてくれたっていいじゃない!幼馴染なんだし!」
ユウトの言葉にあたしは反論する。
しかし、そんなあたしを見ながらユウトが再びため息をつく。
「どうせ、家事とかやりに来るつもりなんだろ?」
その言葉にあたしはビクッと反応する。
核心をつかれた。
「そ、それはその・・・」
「1人暮らしなんだから家事全般は自分でやるし」
「何なら、その・・・2人暮らしでも・・・」
頑張って言った言葉は、声が小さすぎてユウトには届かなかった。
恥ずかしい・・・。
「ん?なんて?」
「何でもない」
あたしは熱い顔を隠すため少しうつむきながら、口を開く。
「でも、場所くらい教えてくれてもいいでしょ?」
「教えたら来るだろ?」
「そ、それは行くけど・・・」
「夢佳の場合、毎日来るだろ」
「・・・・・・」
ここまで教えてくれないとは思っていなかった。
もしかしたらユウトはあたしを遠ざけようとしているのかもしれない。
何で・・・?
そんな風に考えたら、ある考えに思い至る。
同時に教えてもらえない悲しみと憤りを感じた。
1人暮らしを始めるという事は、自分のプライベート空間を持てるという事だ。
要するに、何でも好きなことが出来るという事。
ユウトも男だから“そう言う事”に興味が湧くのはしょうがない事だと思う。
もちろんダメなんて言わないし、理解もしてるつもりだ。
でも、それでもあたしは許せなかった。
理由は簡単だ。
『あたしはその場所に呼ばれていない』
それが意味する事を考えると冷静じゃいられなくなった。
ユウトが他の女と・・・
それだけは阻止しなくちゃと思った。
でも、新しい家の場所は教えてもらっていない。
どうすればいいのか分からなくなって、思わずあたしのほほを涙が伝う。
そんなあたしの顔をユウトが覗き込んできた。
泣き顔を見られちゃいけない、そう思って私は咄嗟に本心じゃない事を叫ぶ。
そして、その場にいるのが辛くなってあたしはユウトの家から逃げ出した。
「もうユウトなんか知らない!どこでも好きなとこに行っちゃえ!」
この時言った言葉をあたしはずっと後悔することになる。
次の日、大丈夫と自分に言い聞かせていつも通りユウトを起こしに来ると―――――――
―――――― ユウトがいなくなっていた。
あたしは目覚ましの音で目を覚ますとベッドから起き上がり、寝る前に準備していた今日の服と化粧ポーチを抱えて1階のお風呂場へ向かう。
シャワーで体の隅々まで綺麗にしたあたしは、体にタオルを巻きながら洗面台へ向かった。
髪をドライヤーで乾かし枝毛が無いか確認してから、昨日選んでおいた服に着替える。
着替え終わると次は持ってきたポーチの中から各種メイク道具を取り出す。
とは言っても、あまりしっかりとしたメイクはしない。
ユウトは化粧が好きじゃないので、あくまでも薄化粧で終わらせる。
最後に髪を後ろで束ねてから、鏡の前で1回転して問題ないか確認した。
「よし、今日もこれでいいわね」
――――――AM6:50
あたしはいつも通りの時刻に家を出ると、隣の家のインターホンを押す。
「夢佳ちゃん?おはよ~」
「おはようございます。さゆりさん」
玄関を開けてくれたユウトのお母さんに挨拶して、家にお邪魔する。
「そう言えば、ユウトからあの話は聞いた?」
「?あの話って何ですか?」
「あれ?夢佳ちゃんは聞いてないの?ユウトが1人暮らしする話」
さゆりさんの言葉にあたしは衝撃を受ける。
全くそんな事聞いていなかったし、気付かなかった。
「え!?ユウトが?」
「そう。ユウ君が」
これは急いで起こして、話を聞く必要がありそうだとあたしは思った。
さゆりさんに「ユウトを起こしてきます」と一言告げると、上り慣れた階段を上がり左奥の部屋の扉を開ける。
「ちょっと、ユウト!」
あたしが部屋に入ると、ユウトが布団をかぶり直した。
「ねぇ!起きてるんでしょ?というか、起きなさい!話があるの!」
布団を少し引っ張ってユウトの上から引き離す。
今日は抵抗がないまま布団を取ることが出来た。
「むぅ、今回はあっさりと布団を・・・」
――――――午前7:00
いつも通り、幼馴染を起こすことが出来て、あたしは少しだけ満足感に浸る。
目の前のユウトはまだぼんやりしているのか、目覚ましを見ながらボーっとしていた。
チャンス!
あたしはそう思って、布団を顔に近づける。
・・・・・・ユウトのいい匂いがした。
ユウトが目覚ましを置いたのを見ながら、あたしは泣く泣く布団をベッドに戻す。
そして、まだボーっとしているユウトを引っ張りながら部屋を出た。
「そんで、話って何だ?」
階段を下りると、後ろからユウトが声をかけてきた。
話と言われてすぐには思いつかなかったが、居間に入ってさゆりさんを見た瞬間1人暮らしについて聞かなくちゃいけないことを思い出す。
「あ!そうだよ!それ!ユウト、1人暮らし始めるって本当!?」
一瞬、間が空いてからユウトが答える。
「そうだけど、それがどうした」
「あたし、聞いてないんですけど」
あたしの言葉に、ユウトがため息をついた。
「なんで言う必要があるんだよ」
「ひどい!教えてくれたっていいじゃない!幼馴染なんだし!」
ユウトの言葉にあたしは反論する。
しかし、そんなあたしを見ながらユウトが再びため息をつく。
「どうせ、家事とかやりに来るつもりなんだろ?」
その言葉にあたしはビクッと反応する。
核心をつかれた。
「そ、それはその・・・」
「1人暮らしなんだから家事全般は自分でやるし」
「何なら、その・・・2人暮らしでも・・・」
頑張って言った言葉は、声が小さすぎてユウトには届かなかった。
恥ずかしい・・・。
「ん?なんて?」
「何でもない」
あたしは熱い顔を隠すため少しうつむきながら、口を開く。
「でも、場所くらい教えてくれてもいいでしょ?」
「教えたら来るだろ?」
「そ、それは行くけど・・・」
「夢佳の場合、毎日来るだろ」
「・・・・・・」
ここまで教えてくれないとは思っていなかった。
もしかしたらユウトはあたしを遠ざけようとしているのかもしれない。
何で・・・?
そんな風に考えたら、ある考えに思い至る。
同時に教えてもらえない悲しみと憤りを感じた。
1人暮らしを始めるという事は、自分のプライベート空間を持てるという事だ。
要するに、何でも好きなことが出来るという事。
ユウトも男だから“そう言う事”に興味が湧くのはしょうがない事だと思う。
もちろんダメなんて言わないし、理解もしてるつもりだ。
でも、それでもあたしは許せなかった。
理由は簡単だ。
『あたしはその場所に呼ばれていない』
それが意味する事を考えると冷静じゃいられなくなった。
ユウトが他の女と・・・
それだけは阻止しなくちゃと思った。
でも、新しい家の場所は教えてもらっていない。
どうすればいいのか分からなくなって、思わずあたしのほほを涙が伝う。
そんなあたしの顔をユウトが覗き込んできた。
泣き顔を見られちゃいけない、そう思って私は咄嗟に本心じゃない事を叫ぶ。
そして、その場にいるのが辛くなってあたしはユウトの家から逃げ出した。
「もうユウトなんか知らない!どこでも好きなとこに行っちゃえ!」
この時言った言葉をあたしはずっと後悔することになる。
次の日、大丈夫と自分に言い聞かせていつも通りユウトを起こしに来ると―――――――
―――――― ユウトがいなくなっていた。
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