“ゲスな男”は異世界の王道を歩む

三流フラグ設計士 mako17

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第3節 ~主人公、状況について行けず~

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「おい、起きろ不審人物」

近くで聞こえたその声に俺は重たい瞼をゆっくり開いた。
まだ寝足りないが、どうせ夢佳の奴が起こしに来たんだろう。

抵抗しても意味はないので布団は無抵抗で手放―――・・・布団が無い。
それに俺はなぜ石の床で寝ているんだろうか。

「お、起きたか」

それにこの声は夢佳の声じゃない。
そもそも女ですらない。

ここまで来て俺の頭がやっと動き始める。
目の前の鉄格子越しに見える厳つい西洋の鎧を着た騎士風な男を見上げながら、俺は現状を整理していく。

「あぁ、夢か」
「おい!何また寝ようとしてんだ!」

俺が再び目を閉じようとすると騎士風の男が慌てたように声を上げた。

「うるさい・・・zzzZZZ」

それでも寝ようとする俺を見て、騎士風の男は鉄格子を持っていた剣で強く叩く。

――――――ギィィィィィィィィィィン

甲高い音が響き渡った。
さすがの俺もこの不快な音を聞かされて黙っているほどお人好しではない。

「ちょっ!何してんの!?うるさいんだけど!寝れないんだけど!」
「いや、寝るなよ。牢屋に放り込まれてるのにどんだけ図太いんだお前は」
「ははっ、何が牢屋の中だ!俺はいつも通りベッドの上で―――・・・どこだここ?」

目の前には鉄格子越しに帯剣した騎士風の男が立ち、足元は石造りの簡素な床が広がり同じ材質で部屋の壁と天井も囲われていた。
まるで罪人を捕えておくための牢屋みたいだな、と俺は思った。

「あの、幼馴染を泣かせるのってそんなに重い罪なんですかね・・・」

冷静を取り戻した俺は真剣な表情のまま目の前の騎士に自分の罪状を訪ねる。

「何?幼馴染を泣かせたのが罪かって?ある意味罪深くはあるが、捕まりはしないと思うぞ?」

よかった、どうやら『幼馴染を泣かせてしまった罪』で捕まってしまったわけでは無い様だ。
じゃあ、どうしてこんな状況になっているのか?

「あの、俺は何でこんな風に捕まってるんですか?俺の秘めたる力に国が気付いて幽閉したんですか?それとも、どこかのドッキリ番組が『幼馴染にぎゃふんと言わせちゃうぞスペシャル』とかやってるんですか?」
「お前が何を言ってるかはよくわからんが、アホな奴だってことはよくわかった」

思ったよりひどい言われ様だった。
自分なりに現状を分析してありえそうなことを言ってみただけなんだが、どれも間違っていた様だ。

俺がお手上げだとばかりに両手を上げると、騎士風の男が用事を思い出したように腰から鍵の束を取り出した。

「あぁ、忘れてた。そうだ、お前に事情を聞くために監査騎士殿がお待ちだ。ほら、大人しくついて来い」

騎士風の男がそう言うと、牢屋の扉が開かれ俺の手枷が引っ張られる。

「手枷!!?いつの間に!!」
「うるさい奴だな。牢屋に入れられた時から付けてただろ。あ、そうか、気を失った状態で放り込んだから気付かなかったのか」

何か騎士風の男が重要そうなことをぽろっと言った気がする。
俺をグイグイと引きながら石造りの階段を上がっていき、頑丈そうな扉を開くと騎士風の男はその中へと俺を放り込んだ。

「戻ってくんじゃねぇぞ?」

そう告げると騎士風の男は俺の目の前でその頑丈そうな扉を閉めていく。

「やめて!なにそのフラグ!牢屋フラグ!?」

しかし、現実は無情にも俺の声は騎士風の男には届かず、扉の閉まる音だけが部屋に響いた。
俺は迫り来る恐怖に脅えながら目の前の机を見上げる。

机の向こう側に誰かが座っているようで、床に倒れた俺からでも甲冑の足の部分と椅子だけは見ることが出来た。
その座った騎士の左右に1人づつ同じような甲冑の足が見える。
椅子が見えないので、おそらくこの2人は立っているのだろう。

「おい、不審者。監査騎士殿がお待ちだ。早く立ち上がり、その椅子に腰掛けろ」

机の向こう側から声が聞こえた。
不審者とは俺の事だろうか?俺からしたらよっぽどこの人達の方が不審者なんだが、拘束されている状態でそんな事を言えるような立場じゃないのは理解している。

手が使えないのでのそのそと身をよじるとうまく立ち上がり、椅子に倒れこむように座った。
一言でも言い方をミスしただけで殺されかねないような嫌な雰囲気の中、俺は目の前の騎士風達に目を向ける。

そんな俺を確認すると、監査騎士と呼ばれていた中央に座っている騎士が“透き通るような綺麗な声”で話を始める。

「こんにちは、言葉は通じますか?私は王国監査騎士のフィリアと申します」

俺は予想もしなかった展開にポカンと口を開けたまま、目の前のフィリアと名乗った女性から目が離せずにいた。
質問に答えるのも忘れて、ただ単純に見惚れる。

「あの、えっと、言葉は通じてますか?通じてない?あれ?」

それほどに目の前に座る女性は美しかった。
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