“ゲスな男”は異世界の王道を歩む

三流フラグ設計士 mako17

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第16節 ~帰還~

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「ついた・・・」

ゴブリンとの接戦を制してから苦節1日。
非常に遠かった。
商人や冒険者に道を尋ねながら街を目指し、最後は夕闇の中街の光を頼りになんとかたどり着いた。

俺は門兵に挨拶しながら何気ない風を装い、街へと入ろうと試みる。
『隠密』スキルが使えたらもっと楽だったのに・・・。

「おい、そこのお前、止まれ」

案の定、門兵の1人に声をかけられた。
俺は恐る恐る振り返る。

「な、何でしょうか・・・?」
「乞食がこの街に何用だ」

門兵の言葉に俺は自分の体を見下ろす。
ボロボロの上下服にキャンプファイヤー後の様な焦げ臭いにおい。
確かに乞食だ、こりゃ。

このままじゃヤバいと判断した俺は、身振り手振りで何とかやり過ごそうと試みる。

「いえ、えっと自分は冒険者でして」
「じゃあ、タグを提示してくれるか?」
「・・・・・・」

くっ、手詰まりか。
盗まれてありません、と言いたいところだが言ったところで信じてもらえるはずがない。
こうなったら冒険者なんですアピールは諦めて、冒険者になりに来たんですアピールで再トライしてみる。

「じ、実は冒険者になる為にこの街に来まして・・・」
「ほう、じゃあ通行料を払うんだな」
「・・・・・・」

俺はズボンのポケットに手を突っ込んでみる。
・・・小石が1つあった。

ダメだ、この作戦も失敗だったか。
残る案は、知り合いがいるんです作戦と主も悪よのぅお代官様こそ作戦だ。
知り合いがいるんですは最後の砦として、ひとまず主も悪よのぅお代官様こそ作戦を試してみるか。

俺はススッと近づくと、そっと門兵のポケットの中に“お近づきの印”を忍ばせる。

「お?中々世の中の渡り方を心得ているようだな。仕方ない、今回は―――ってただの石じゃねぇか!バカにしてんのか、てめぇ!」

今の俺に出来る精一杯の親愛表現だったのだが、うまくいかなかったようだ。
失敗した。
石より枝の方がいい人だったか。

「おい、貴様!拘束する!」

あー、「お前」呼びから「貴様」呼びにランクアップしてしまったか・・・。
仕方ない、こうなってしまっては木の枝を追加した所で状況を覆すことは難しいだろう。
最終手段の知り合いがいるんです作戦に移行しよう。

「ちょ、ちょっと待って下さい!知り合いがこの街にいるんです!」
「はいはい、話は牢屋で聞いてやる」

聞く気ないね、この人!

「確認してください!その人に確認してもらえば俺の身元がわか――――――

いやちょっと待て、この世界に俺の身元を保証できる人間なんかいるのか?

――――――るかもしれません!」
「バカにしてんのか!?」

嘘はつくまいと上手く回避したと思ったんだが・・・。

「スイナさん!スイナさんに聞いてください!ユウトと伝えていただければ分かると思います」
「ほう、よりによってスイナ様の名前を出すか、下郎」

あっれー?遂に「下郎」呼ばわりになったぞ!?
それに、“様”ってなんだ、“様”って。

「いいだろう、聞いてきてやる。ただし、もし保証できなかった場合は、憶えてろよ?」

門兵の男はそう言うと、他の門兵に俺の身柄を引き渡して冒険者ギルドへと向かっていった。
頼みます、スイナさん!俺の運命がかかってるんです!

しばらくすると門兵が戻ってきた。
そして、真っ先に俺の前へと近づいてくる。

「スイナ様のお言葉を伝える」

ごくり、と生唾を飲み込みながら俺はその言葉を待った。

「「ユウトさんは2日前に、その・・・なくなられました。・・・・・・いい人でした・・・」との事だ」

スイナさーーーーーーーーーーん!?
死んでませんよ!生きてますよ!?ここにいますよ!助けてください!

槍を構えながら門兵の男はゆっくりと俺に近づいてくる。

「覚悟はできているな?スイナ様の親類を語った罪。償わせて――――――」
「もう1人!もう1人います!フィリアさんに話をしてください!」
「貴様、スイナ様には飽き足らず、二大女神の親類だとまで偽るつもりか!捕らえろ!」

何だか、スイナの名前を出した時といい、フィリアの名前を出した時といい、門兵たちの仕事意欲が凄いんだが・・・。
いや、もはや怖いんだが・・・。

「お願いします!話を聞いてください!」
「もういい加減聞き飽きたわ!大人しく捕まるんだな!」
「フィリアさんに聞いていただければわかりますから!」
「聞く価値すらない!それに、フィリア様とどんな関わりがお前にあるって言うんだ?」

どんな関係って・・・知人?
しかし、そんな事言っても話を聞いてくれるとは思えない。
仕方ないがここは少しばかり話を盛って、興味を引くしかないか。

知人以上となると、友人か。
いや、ここは一歩踏み込んで親友と言えば・・・そうなると男女間に友情がうんぬんかんぬんという話になるから、いっそのこと恋人と言ってしまおうか・・・。
流石に踏み込みすぎか?
だが、ここを抜け出さない事にはどうしようもないし、後で謝れば良いし・・・。

俺を羽交い絞めにする門兵が叫ぶ。

「どうだ!関係性を言ってみろ!言えないんだろ!」
「やめろ!俺は、俺はっ――――――

そんな門兵の言葉に俺は・・・

――――――フィリアの夫(予定)だぞ!」

ちょっと見栄を張ってみた。
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