“ゲスな男”は異世界の王道を歩む

三流フラグ設計士 mako17

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第23節 ~黒き守護~

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ニーナと初めて言葉を交わした(?)翌日、さっそく俺はニーナを連れて街の外へとやってきていた。
ニーナに案内してもらいながら目的の森へと向かう。

最初宿から出たばかりの時は俺が地図を握っていたのだが、なぜかニーナが必死に自分が案内すると訴えかけてきたので今は案内を任せている。
相変わらず口数は少ないが、昨日よりは会話が成り立つようになってきた。

「ニーナ、本当にこっちであってるのか?こっちの道の方が近道な気がするんだけど」
「あってる」

元から口数は少ない様で、必要な事を端的に言う子だった。
先ほどからずっとこんな感じなので、俺はしゅんとしながらニーナの後ろについて行く。

街を出る前に武器屋で1本の短剣を買ってニーナに渡しておいた。
本当は直剣を使わせたかったのだが、持たせてみたら重そうにしていたのでとりあえず短剣である程度のレベルまでは頑張ってもらう事にした。

「ついた」

ニーナの声に目線を上げる。

街道から少し外れたところにあるこの森は初級レベルのモンスターが多い。
なので初心者のレベル上げにぴったりなのだが、それは森の外周部に限るとスイナは言っていた。
理由は簡単だ。
森の中央部、山頂の洞窟内に奴がいるからだ。

圧倒的脅威。

通常のモンスター達はその強者の周りに近寄ろうとはせず、弱いモンスターのみがその驚異の影に隠れるようにして森の周囲に集まっていた。

さて、そんな訳なのでニーナにはこの山で効率よくレベルを上げてもらおう。
初戦だけ俺が戦闘を手伝って、その後は自力で頑張ってもらうつもりだ。

森の周囲にちらほらと見える他の冒険者達を横目に見ながら、地図を持ったニーナの案内を頼りにレベル上げに最適な場所へと向かう。

「どこ?」
「ん?どこに向かってるのかって?そりゃ、レベル上げしやすいとこだよ」
「そこにいる」
「ゴブリンの事?あいつら中々強いよ?」
「頑張る」
「まぁ、初戦終わらせてからならいいよ」
「ん、わかった」

物分かりのいい子は好きだ。
俺はニーナを連れて森を進む。
しばらく歩いていると周りに冒険者達の姿は見当たらなくなり、モンスターの姿もなくなった。

「ここ危ない」

ニーナが少し怯えたように俺の袖を掴む。
俺は安心できるように頭を撫でてやりながら、「大丈夫」とだけつぶやいた。
やがて、2人の前に洞窟の入り口が見えてくる。

洞窟の奥に赤い光が浮かび上がるのを見たニーナが、肩を震わせながら情報を拾おうと忙しなく耳を動かす。
耳の良いニーナには奴の足音が聞こえているのだろう。
もちろん【超感覚】があるので俺も聞き取ることが出来た。

ズンッ――――――

地面が揺れる感覚と共に、洞窟の入り口から1体の黒いゴーレムが姿を現す。

「っ・・・」

さすがのニーナでも奴の事は知っていたらしい。
そして、その脅威についても。

ギルド指定、上級討伐対象『黄泉の門番』

黒い甲冑を着こんだ細身のゴーレムで、手には大型のハルバードを持ち兜の間から赤い眼光がこちらの様子を伺っている。

通常ゴーレム型のモンスターは意思を持たず命令に忠実なのが当たり前なのだが、目の前に立つこの門番は意思を持った上で命令に忠実な特殊なモンスターである。
着こんだ甲冑は一切の斬撃を阻み、弓矢などの遠距離武器ももちろんほぼ効果が無い。
唯一打撃系の攻撃は効果があるらしいが、ゴーレム自身が打撃攻撃に強いのでこちらも大きくダメージを与えるのは難しいようだった。
それなら魔法なら効果があるのではないかと考えるわけだが、甲冑の表面に施された魔法耐性上昇の文様を見ては落胆するしかない。
その上、持った得物が超攻撃型のハルバードである。
下手に近接戦を演じようものなら、ガードの上から真っ二つにされてしまう。

まさにチートモンスター。
俺の横で震えるニーナが勝てるはずのない相手だ。

じゃあ、なぜここに来たのか。
理由は幾つかある。

まず1つ目はニーナのレベルアップの為。
2つ目は俺のスキルを検証する為。
そして3つ目は単純に好奇心。

街を出る前にギルドで情報を集めていた時、このモンスターについてスイナに話を聞いたところ「山頂に近づく者を迎撃する最強のゴーレム」と表現していた。
「山頂に近づく者を迎撃する」と言うのは、要するに“何かを守っている”と言う事だろう。
それならば、“何を”守っているのか。
俺の質問に答えれる者はギルドにはいなかった。

正直に言えば黄泉の門番と言う名前からして何を守っているのかは大方予想が付いている。
しかし、誰も俺の質問に答えられないという事は、その場所に入った事のある者がそこにいなかったという事である。
それを踏まえた上で、守っているのがこのチートだと考えれば、未だ誰も到達したことの無い未知の空間である事は目に見えて明らかだった。

そう考えたら、行かないはずがない。

「よし、じゃあアイツ倒すからな」
「え?」

それもそうだろう、今回ニーナには「レベル上げをしに行く」としか伝えていない。
相手がまさかこんな上級討伐対象だとは思わないだろう。

「えっと、作戦説明だけど・・・」
「・・・・・・」

あぁ、ニーナが腐ったゴミを見る様な目で俺を見てる・・・。
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