ゴミ掃除は復讐と共に

第1章

やぁ、魔法くん

この世界では魔法を授かる儀式が教会で行われている。それは人生で一度、5歳の誕生日にのみ出来るという。

火、水、土、風。これが基本的な属性だ。
中には光、闇といった特別な力を授けられる場合もある。1%に満たないのだが。

そして授かる属性は普通は１つ、中には２つ合せ持つケースもあるのだとか。２つを持った子は［神童］と呼ばれ、王国魔術師や騎士団などの試験は免除される。まぁ希ではあるが魔法を授かれず［無能］と呼ばれることもあるらしい。

これまで最高で3属性の力を授かった少年がいたらしいが、広大な力 故、他国から命を狙われ幼くして亡くなった。

(嫌な話だ。力があるから殺される、なんてな。
俺は転生者、頼むから女神は余計に属性を授けるんじゃないぞ？２つで十分だからな？)

心の中でそう呟くユリファスに父、ベルモスが声をかける。

「なんだ、ユリファス。心配なのか？安心しろ、俺とルーシアは２つ持ちの神童だったんだぜ？」

「はい。僕もお父さまとお母さまの様な神童になりたいです」

「慣れるさ、もしかしたら3属性かも知れないぞ？ハッハッハ」

「その時はご迷惑をおかけしますね」

「もう少しで教会に着くぞ、まぁ気楽にな」

「ユリちゃんなら大丈夫ですよっ」

そう言うと母ルーシアは笑顔でユリファスの頭を撫でる。母の温もりが心地良い。


ユリファスは貴族の長男に生まれた為、アイリスト家の跡取りとして光か闇、もしくは2属性持ちの神童にならなければいけない。

(最悪基本属性１つでも極めればメンツに問題は無いのかな？)
と甘い考えを抱いていた。






結末から言おう、彼。ユリファス・ファン・アイリストは［無能］だった。