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本編
2 航海を続けようよ*
今から約四ヶ月前。
彼がこの宇宙船に乗りこんだとき、乗組員は他に四人いた。
人工知能技師。船体技師。通信技師。医師。彼は航法コンピュータの技術者だった。
――ノン・オペレータ・システム。
文字どおり、人間のオペレータの代わりに、人工知能が宇宙船の運航・管理を行うシステム。これが実用化されれば、最小限の人員で宇宙船を航行できるようになる。
会社が彼ら五人に与えた任務は、このシステムを搭載した船を一年間実際に航行させ、システムの最終チェックを行うことだった。
『はじめまして』
船の管制室で、初めて〈アル〉と対面したとき、彼は人間の若い男としか思えない声で流暢に挨拶をした。
『私のことは〈アル〉とお呼びください。これから一年間、よろしくお願いいたします』
「あ、ああ……こちらこそよろしく……」
とまどいながらも挨拶を返すと、〈アル〉は彼が想像もしなかった反応をした。
くすくすと楽しげに笑ったのだ。
「な、何だ?」
『いや。君は真面目に応えてくれたから。……改めて、よろしく』
そう挨拶しなおした〈アル〉の口調は、別人のようにくだけていた。
ますます対応に困った彼は、結局、何も言わずにうなずき返すことしかできなかった。
*
乗船後、彼は自分の部屋のユニットバスで自慰をしていた。
ここならいきなり誰かに踏みこまれる心配はないし、出したものも汚れた体もすぐに洗い流せる。
シャワーカーテンをきっちり閉めて、空のバスタブの中に座りこみ、立ち上がりかけている自分のものを握って、激しく扱く。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……」
誰か特定の女を思い浮かべながらすることは少なかった。
彼にとってこれは、朝になったら顔を洗うのと同じくらいごく日常的な行為だったが、排泄行為のように決して人には見られたくないそれだった。
「はっ、はっ、はっ、はっ」
彼の先端から透明な液体がこぼれ落ちた。
ここまできたら、もう止まらない。
精液が一気に尿道を駆けのぼる。
「はっ………………はぁ、はぁ……」
白い粘液がバスタブの内側にへばりついた。達した後も余韻を味わうようにゆっくりと擦りつづけていたが、やがて根元から強く扱いて、最後の一滴まで搾り出した。
満足の溜め息を吐き出してから、立ち上がってシャワーのコックをひねる。心地よい温度の湯が、彼が吐き出したものをすべて消し去ってくれた。誰にも見られていないし、聞かれてもいない。
この船の中でたった一人の人間となり、人工知能にあの部屋に招かれるまで、彼はそう信じていた。
*
宇宙に飛び立ってから三ヶ月目に入った頃。
彼は〈アル〉に叩き起こされた。
「何だよ……まだ起床時間前だろうが……」
ベッドサイドのデジタル時計を見て文句を言うと、〈アル〉は緊張した声で答えた。
『非常事態だ。落ち着いて聞いてくれ。――管制室で、君以外の乗組員が全員死亡した』
彼はシーツをはねのけて起きた。
「管制室? 死亡? どうして?」
『引き継ぎの途中だった。原因はまだわからない。とにかく……彼らは全員死亡した』
ベッドから飛び降りた彼は、裸足のまま個室の外に出ようとしたが、自動ドアはぴくりとも動かなかった。
「アル! どうした! 故障か!」
彼は苛立って、両手でドアを叩いた。
『いや、私が閉じている。確認が済むまで、君はここにいてくれ』
「確認? 何の?」
『空気感染の伝染病の恐れもある。今から船内の空気を分析して、必要があれば浄化する。安全が確認できたら、このドアを開けるから』
「そんな馬鹿な……俺は何ともないのに……」
自動ドアの前で呆然と呟いたが、〈アル〉は作業に入ったのか、彼の疑問には答えてくれなかった。彼は舌打ちすると、ベッドに腰かけて、ひたすら〈アル〉の報告を待った。
『待たせたね』
〈アル〉の声とともに自動ドアが開いたとき、彼が目覚めてから五十七分が経過していた。
『でも、管制室には入れないよ』
部屋を飛び出してまっすぐ管制室に向かおうとしていた彼は、スピーカーに向かって叫び返した。
「どうして!」
『管制室内の空気から、毒ガスが検出された。管制室内はもちろん、船内の空気は全部入れ換えたけれど、念のため、管制室は密閉することにした。乗組員四名の遺体も、冷凍カプセルに収めて管制室に置いてある』
「毒ガス?」
『冷却用のガスだよ。特に管制室周りで使われていた。冷却効果は高いが無臭で猛毒だ。調べてみたら、配管にいくつか破損箇所があった。そこから漏れたガスが換気口から管制室に流入した可能性が高い。ちなみに、その破損箇所はもう修繕したから、これ以上被害が広がることはないよ』
「……おまえには、わからなかったのか?」
〈アル〉のよどみない説明を聞いて、彼はそう問わずにはいられなかった。
「船内の安全管理もおまえの仕事だろ? 配管関係はともかく、何ですぐにそんな毒が入りこんでることに気づかなかった?」
『それを言われると返す言葉がないよ。言い訳になるけど、私はあのガスを毒ガスとして認識していなかった。……すまない』
「俺に謝られても……」
彼は困惑して額に手をやった。
詳細はわからないが、短時間で流入したのなら、たとえ〈アル〉がそのガスを検出できていたとしても、やはり乗組員たちは助からなかったかもしれない。
人工知能も万能ではない。そんな当たり前のことを、こんな最悪の形で思い知らされることになるとは。彼は溜め息をつくと、通路を歩きはじめた。
『どこに行くんだい?』
〈アル〉の声は、心なしか怯えているようだった。
「通信室。こんな事態が起こったら、上に報告しないわけにはいかないだろ。アル、管制室内の映像は見られるか?」
『見られるよ。でも……大丈夫? 私が代わりに報告しておこうか?』
「いや、これは人間の仕事だから……」
力なく彼は笑った。
「それに、これが俺がこの船でする、最後の仕事になるかもしれないから」
通信室は、管制室が使えなくなった場合に備えて設けられた、サブ的部屋の一つだ。したがって非常に狭く、人間二人がやっと入れるほどの広さしかない。彼はそこで、自分が寝ている間に起こった悲劇の一部始終をビデオで見た。
この船では、常に二人の人間が起きているようにシフトが組まれていた。彼はたまたま免れたが、もう少し時間がずれていたら、彼もこのビデオの中で胸を掻きむしりながら死んでいたに違いない。
乗組員たちが動かなくなってから数分後。管制室に冷凍保存カプセル四体分を積載した搬送ロボットが入室してきた。〈アル〉の遠隔操作によるものだ。搬送ロボットは、四本のアームを器用に使って四人の遺体を持ち上げ、カプセルの中に次々と収容した。
ビデオは、最後の一人のカプセルが閉じられたところで終わっていた。
彼はこのビデオを見せて、試験航海の担当者に事の顛末を報告した。担当者はもちろん驚いていたが、協議して連絡すると答えて通信を切った。
原因はともかく、四人もの人間が死んだのだから、彼は即時中止と帰還を命じられるとばかり思いこんでいた。しかし、担当者の口から伝えられた会社命令は、試験航海の続行だった。
――乗組員が一人でも、充分ことたりるだろう。そのためのシステムなのだから。
一方的に通信を切られた瞬間、彼は憤りから両手で装置を叩いた。
「あいつら……狂ってる……!」
『そうだね。私も君の言い分のほうが正しいと思うよ』
それまでずっと沈黙していた〈アル〉が穏やかに応じた。
『でも、私はあの会社のものだから、命令には逆らえない。……君は? 私を凍結して、会社に戻るかい?』
不可能ではなかった。〈アル〉に異常が起こった場合、手動で宇宙船を航行させるのが彼の役目だった。船体から〈アル〉を切り離すパスワードを彼は知っている。
しかし、それで会社に戻ってどうなる? 彼の帰還を歓迎してくれるのは、亡くなった乗組員の遺族たちだけだろう。彼にはもうそんな人間は一人もいない――
『とりかえしのつかないミスをしてしまった私に、こんなことを言う資格はないけれど』
彼が迷っていると、〈アル〉はそう切り出した。
『あと約十ヶ月。そうすればこの航海は終わる。会社を辞めたかったら、そのとき辞めればいい。きっと口止め料として、莫大な退職金が手に入るよ』
「アル……」
『だから、予定どおり航海を続けようよ。船体の修理なら、私が自分でできるから』
十ヶ月。
自分は、耐えられるだろうか?
この人工知能と、四人の遺体との航海に。
「とりあえず、続けてみる」
うなだれて、彼は嘆息した。
「あと、アル。今回のことは、おまえが悪いわけじゃない。……人間だよ。船の設計をしたのも、おまえのプログラミングをしたのも、みんな俺たち人間だ。さっきはおまえを責めて悪かった。許してくれ」
『謝らなくていいよ。君の言うとおり、船内の安全管理も私の仕事だった。これからは、何があっても君だけは守り抜く。約束するよ』
「あ、そう……それはありがたいけど……それよりも、船体の保守のほうをしっかりやってもらいたいんだけど……」
〈アル〉の異様な迫力に、彼は思わずたじろいだ。
『もちろんするよ。そうじゃなきゃ、君を守れない』
「はあ……」
『ところで、お腹はすいてない? そろそろ朝食の時間だよ』
「あ、そういえば」
通信室内の時計を見て、彼は自分の空腹に気がついた。
「何があっても、腹はしっかり減るんだな……」
何となくむなしい気持ちになって、彼は通信室を後にした。
彼がこの宇宙船に乗りこんだとき、乗組員は他に四人いた。
人工知能技師。船体技師。通信技師。医師。彼は航法コンピュータの技術者だった。
――ノン・オペレータ・システム。
文字どおり、人間のオペレータの代わりに、人工知能が宇宙船の運航・管理を行うシステム。これが実用化されれば、最小限の人員で宇宙船を航行できるようになる。
会社が彼ら五人に与えた任務は、このシステムを搭載した船を一年間実際に航行させ、システムの最終チェックを行うことだった。
『はじめまして』
船の管制室で、初めて〈アル〉と対面したとき、彼は人間の若い男としか思えない声で流暢に挨拶をした。
『私のことは〈アル〉とお呼びください。これから一年間、よろしくお願いいたします』
「あ、ああ……こちらこそよろしく……」
とまどいながらも挨拶を返すと、〈アル〉は彼が想像もしなかった反応をした。
くすくすと楽しげに笑ったのだ。
「な、何だ?」
『いや。君は真面目に応えてくれたから。……改めて、よろしく』
そう挨拶しなおした〈アル〉の口調は、別人のようにくだけていた。
ますます対応に困った彼は、結局、何も言わずにうなずき返すことしかできなかった。
*
乗船後、彼は自分の部屋のユニットバスで自慰をしていた。
ここならいきなり誰かに踏みこまれる心配はないし、出したものも汚れた体もすぐに洗い流せる。
シャワーカーテンをきっちり閉めて、空のバスタブの中に座りこみ、立ち上がりかけている自分のものを握って、激しく扱く。
「はぁ…はぁ…はぁ…はぁ……」
誰か特定の女を思い浮かべながらすることは少なかった。
彼にとってこれは、朝になったら顔を洗うのと同じくらいごく日常的な行為だったが、排泄行為のように決して人には見られたくないそれだった。
「はっ、はっ、はっ、はっ」
彼の先端から透明な液体がこぼれ落ちた。
ここまできたら、もう止まらない。
精液が一気に尿道を駆けのぼる。
「はっ………………はぁ、はぁ……」
白い粘液がバスタブの内側にへばりついた。達した後も余韻を味わうようにゆっくりと擦りつづけていたが、やがて根元から強く扱いて、最後の一滴まで搾り出した。
満足の溜め息を吐き出してから、立ち上がってシャワーのコックをひねる。心地よい温度の湯が、彼が吐き出したものをすべて消し去ってくれた。誰にも見られていないし、聞かれてもいない。
この船の中でたった一人の人間となり、人工知能にあの部屋に招かれるまで、彼はそう信じていた。
*
宇宙に飛び立ってから三ヶ月目に入った頃。
彼は〈アル〉に叩き起こされた。
「何だよ……まだ起床時間前だろうが……」
ベッドサイドのデジタル時計を見て文句を言うと、〈アル〉は緊張した声で答えた。
『非常事態だ。落ち着いて聞いてくれ。――管制室で、君以外の乗組員が全員死亡した』
彼はシーツをはねのけて起きた。
「管制室? 死亡? どうして?」
『引き継ぎの途中だった。原因はまだわからない。とにかく……彼らは全員死亡した』
ベッドから飛び降りた彼は、裸足のまま個室の外に出ようとしたが、自動ドアはぴくりとも動かなかった。
「アル! どうした! 故障か!」
彼は苛立って、両手でドアを叩いた。
『いや、私が閉じている。確認が済むまで、君はここにいてくれ』
「確認? 何の?」
『空気感染の伝染病の恐れもある。今から船内の空気を分析して、必要があれば浄化する。安全が確認できたら、このドアを開けるから』
「そんな馬鹿な……俺は何ともないのに……」
自動ドアの前で呆然と呟いたが、〈アル〉は作業に入ったのか、彼の疑問には答えてくれなかった。彼は舌打ちすると、ベッドに腰かけて、ひたすら〈アル〉の報告を待った。
『待たせたね』
〈アル〉の声とともに自動ドアが開いたとき、彼が目覚めてから五十七分が経過していた。
『でも、管制室には入れないよ』
部屋を飛び出してまっすぐ管制室に向かおうとしていた彼は、スピーカーに向かって叫び返した。
「どうして!」
『管制室内の空気から、毒ガスが検出された。管制室内はもちろん、船内の空気は全部入れ換えたけれど、念のため、管制室は密閉することにした。乗組員四名の遺体も、冷凍カプセルに収めて管制室に置いてある』
「毒ガス?」
『冷却用のガスだよ。特に管制室周りで使われていた。冷却効果は高いが無臭で猛毒だ。調べてみたら、配管にいくつか破損箇所があった。そこから漏れたガスが換気口から管制室に流入した可能性が高い。ちなみに、その破損箇所はもう修繕したから、これ以上被害が広がることはないよ』
「……おまえには、わからなかったのか?」
〈アル〉のよどみない説明を聞いて、彼はそう問わずにはいられなかった。
「船内の安全管理もおまえの仕事だろ? 配管関係はともかく、何ですぐにそんな毒が入りこんでることに気づかなかった?」
『それを言われると返す言葉がないよ。言い訳になるけど、私はあのガスを毒ガスとして認識していなかった。……すまない』
「俺に謝られても……」
彼は困惑して額に手をやった。
詳細はわからないが、短時間で流入したのなら、たとえ〈アル〉がそのガスを検出できていたとしても、やはり乗組員たちは助からなかったかもしれない。
人工知能も万能ではない。そんな当たり前のことを、こんな最悪の形で思い知らされることになるとは。彼は溜め息をつくと、通路を歩きはじめた。
『どこに行くんだい?』
〈アル〉の声は、心なしか怯えているようだった。
「通信室。こんな事態が起こったら、上に報告しないわけにはいかないだろ。アル、管制室内の映像は見られるか?」
『見られるよ。でも……大丈夫? 私が代わりに報告しておこうか?』
「いや、これは人間の仕事だから……」
力なく彼は笑った。
「それに、これが俺がこの船でする、最後の仕事になるかもしれないから」
通信室は、管制室が使えなくなった場合に備えて設けられた、サブ的部屋の一つだ。したがって非常に狭く、人間二人がやっと入れるほどの広さしかない。彼はそこで、自分が寝ている間に起こった悲劇の一部始終をビデオで見た。
この船では、常に二人の人間が起きているようにシフトが組まれていた。彼はたまたま免れたが、もう少し時間がずれていたら、彼もこのビデオの中で胸を掻きむしりながら死んでいたに違いない。
乗組員たちが動かなくなってから数分後。管制室に冷凍保存カプセル四体分を積載した搬送ロボットが入室してきた。〈アル〉の遠隔操作によるものだ。搬送ロボットは、四本のアームを器用に使って四人の遺体を持ち上げ、カプセルの中に次々と収容した。
ビデオは、最後の一人のカプセルが閉じられたところで終わっていた。
彼はこのビデオを見せて、試験航海の担当者に事の顛末を報告した。担当者はもちろん驚いていたが、協議して連絡すると答えて通信を切った。
原因はともかく、四人もの人間が死んだのだから、彼は即時中止と帰還を命じられるとばかり思いこんでいた。しかし、担当者の口から伝えられた会社命令は、試験航海の続行だった。
――乗組員が一人でも、充分ことたりるだろう。そのためのシステムなのだから。
一方的に通信を切られた瞬間、彼は憤りから両手で装置を叩いた。
「あいつら……狂ってる……!」
『そうだね。私も君の言い分のほうが正しいと思うよ』
それまでずっと沈黙していた〈アル〉が穏やかに応じた。
『でも、私はあの会社のものだから、命令には逆らえない。……君は? 私を凍結して、会社に戻るかい?』
不可能ではなかった。〈アル〉に異常が起こった場合、手動で宇宙船を航行させるのが彼の役目だった。船体から〈アル〉を切り離すパスワードを彼は知っている。
しかし、それで会社に戻ってどうなる? 彼の帰還を歓迎してくれるのは、亡くなった乗組員の遺族たちだけだろう。彼にはもうそんな人間は一人もいない――
『とりかえしのつかないミスをしてしまった私に、こんなことを言う資格はないけれど』
彼が迷っていると、〈アル〉はそう切り出した。
『あと約十ヶ月。そうすればこの航海は終わる。会社を辞めたかったら、そのとき辞めればいい。きっと口止め料として、莫大な退職金が手に入るよ』
「アル……」
『だから、予定どおり航海を続けようよ。船体の修理なら、私が自分でできるから』
十ヶ月。
自分は、耐えられるだろうか?
この人工知能と、四人の遺体との航海に。
「とりあえず、続けてみる」
うなだれて、彼は嘆息した。
「あと、アル。今回のことは、おまえが悪いわけじゃない。……人間だよ。船の設計をしたのも、おまえのプログラミングをしたのも、みんな俺たち人間だ。さっきはおまえを責めて悪かった。許してくれ」
『謝らなくていいよ。君の言うとおり、船内の安全管理も私の仕事だった。これからは、何があっても君だけは守り抜く。約束するよ』
「あ、そう……それはありがたいけど……それよりも、船体の保守のほうをしっかりやってもらいたいんだけど……」
〈アル〉の異様な迫力に、彼は思わずたじろいだ。
『もちろんするよ。そうじゃなきゃ、君を守れない』
「はあ……」
『ところで、お腹はすいてない? そろそろ朝食の時間だよ』
「あ、そういえば」
通信室内の時計を見て、彼は自分の空腹に気がついた。
「何があっても、腹はしっかり減るんだな……」
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