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chrono-21:視力は、スネーク……ピンゾロ鋭くハート貫けスネークアイズ!の巻
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「……立てるか? そしてこちらの妥協案を飲んでくれるか?」
そののちの反発は思ったより静かだった。と言うよりは総意は既に整いつつさらには一点に集中していたようで、高らかに言い放った僕の肩を軽く叩いて立ち上がらせた無言の灰炉から凪いだ視線を浴びたまま左膝関節側部に、流れ作業のような素振りだったくせにとんでもなく腰の入ったローを打ち込まれ、さしもの【筋力】でも受け切れず、骨伝導をしたかのような衝撃のパルスが痛みより先に脊髄を痺れさせ、僕は所々がそこまで目線が下がるとよく分かるほどに毛羽立っている緑と白のカーペットへと伏し蹲っていくのであった……
よ、よろこんで……と折れてないか不安で殊更にゆっくりとした動作にて、生まれたての仔鹿もかくやと思わせるほどのよろぼいの舞いを踏みつつ、何とか平静を保って再び席に着くけど。
「まず胸揉みは無しで。ありえんし、倫理・社会・公序良俗・あと何か的にもダメだから」
杜条の冷静な言葉……いかな我が渾身なる六大能力でも突き破り覆せなかった……まあそりゃせやなェ……が、がだッ……!!
「……」
ここまでも計算通り……まあほんの少しいけるかもとか思ってたところはあるけれど。それでも最悪こうなることまでは【分析】できていたことなんだよね……交渉事の初っ端は、ハッタリ吹っ掛けが常套……!! こちらが「折れた上で呑んだ」条件なんかは意外にするっと承諾しがちなんだよね……さらには陰キャぶった僕がトチ狂ったかのように提示した「胸揉み」……そのインパクトの鮮烈さに、「妥協案」のハードルが下がったように感じさせられたのなら……!!
……僕の勝ちだ。
「え、えーとえーとじゃあ、軽く抱擁なんかで納めるってのはどうでしょうかねい? げへ、げへへへへ」
極めて下手に出つつ、下衆い感じは敢えてわざとで「代替案」を切り出す僕。さあ食いつけ……って言うかもう呆れて流してくれっ・
「あーもーわかたある。どのみちアシタカに負ける要素は無いのこと。もうこれは五人の中での勝負いうことになるな。であれば、ささと始めようある」
銀鈴も明らかに面倒くさくなってきているよなオーケー謝々。
「じゃ、じゃあこんな感じで……えー『来野アシタカが最初に5ptに達した場合、他の五人の中から任意の者を抱擁する権利が与えられる』、と……ど、どうでやんしょ?」
ルーズリーフにしたためてそれを他の五名にへりくだりつつ見せつつ僕は言う。そして、いいからもう早くやるぞ、との灰炉の言質を取ったところで遂に「対局」は始まるのであった……
<勝算はあるのかい? だいぶここまでで能力を使わされてしまったようけど……残りちょうど『10発』。用心してくれよ、サーティーン>
脳内に響くファイブの心配は当然だね……まあ、ダメもとで六連発は少しやり過ぎた感はあるけど、布石としてしょうがなかったと切り捨て切り替えよう。決して本当に能力の力で押し通せるとか思ってたわけじゃないんだからねっ。……うん、そして勝算は……もちろん我に有り。
準備の方も整ったみたいだ。ここに来るまでにまたしても寄っていた百均で仕入れた「カード」……というよりは白い素っ気ないプラスチックの名札(二センチ×五センチくらい)、それら計六枚のうち一枚に<キラー>を赤い油性ペンで、残る五枚に<市民>を黒い奴で明日奈に書いてもらっていた。同じく「チップ」はルーレットとかのゲームで使う直径三センチくらいのちゃちい奴、レモンイエローが目に眩しいのを計三十枚。その裏側に各々の名前<杜条><灰炉><銀鈴><朋有><明日奈><来野兄>が五枚ずつ、赤字で記されているのを確認し確認させ、自分以外の名前の書いてある五枚ずつをそれぞれに配布する。
「プレートに目印が無いか、調べてくれても構わない。無論そんな卑怯なことはしていないけどね」
ようやく膝付近の痛みが和らいできたところで、僕は改めて場を見渡し余裕の口調でそうのたまう。実際に本当にサマは仕掛けてはいないし、そもそも僕はその「プレート」には現段階では触れてもいないのだけれど。それでもそれ以前に既に仕込みが入っていると考えられたらと思い、そう言った。もちろんあからさまに正当感を匂わせただけだけどね。戦いはもう始まっている……ッ!!
念のための「プレート改め」を杜条が代表してさくりと終わらせ、先生の手によって混ぜられたそれらはA4くらいの大きさの季節限定メニューの上に六つ並べられてテーブルの中央に置かれる。めいめいひとつづつを引いて、自分の胸元辺りで素早く確認すると自分の前に伏せておいて、これで完全準備完了だ。
「それじゃあ第一局を開始するよ……会話は自由。時間無制限。『キラー告発』か『市民三名死亡』で終局、いいね? では……スタート」
僕の合図と共についにこの渾身の「ゲーム」が始まる……けど、やはり最初は静かな立ち上がり。全員がゆっくりと視線を左右に流しながら、相手の様子をうかがっている状況だ。
キラーは初期段階のこの時点で焦って殺しにいくと、最大であるところの他五人の監視の目がある。誰かにウインクしている瞬間を他の誰かに捉えられる危険度はいちばん高い。よって……最初は目が合ったとしてもウインクしてくることは無いと踏んでいる。それよりも表情や仕草から怪しい挙動をしている奴を特定していくことの方が先だ。
今回僕は「市民」。仕込みはしていない。六分の一の確率でキラーとなることはあっただろうけど、それは免れた。どうしても疑われる立場だからね……初っ端から目立つことは避けたかったからそれは良しだ。が、もちろんカラ手でこの勝負に臨むほど馬鹿じゃない。仕掛けはただ一点だけ打った。
「……」
左斜め奥の明日奈と一瞬視線が交錯する。めずらしく緊張して真面目くさった顔つきをしてるけど、瞬間、その華奢ですべらかな質感の首が、ほんの少しだけ傾げられた。
それは、「自分がキラー」だというサイン。「初っ端目が合った時にキラーであれば首を傾ける」、というのを事前に明日奈に頼んでいた。それだけ。それ以上の「通し」は周りに感づかれるという点で、やらない。明日奈に「僕が何か」ということも伝えない。明日奈の挙動がおかしくなるから。
でもただこれだけの情報で、途端に有利になる。今回のように「明日奈がキラー」の場合、明日奈が順当に「告訴」をかいくぐり三人を仕留めることが出来たらそれでよし。明日奈に1pが入るけど、緊急手段として明日奈を「5p優勝」させるという手も範疇にある。
二人仕留めた時点で、僕以外の誰かに感づかれて「告訴」を受けたら……? その場合は僕が「同意」し、明日奈じゃない方を指名して、告訴者をアウトにさせる。それで明日奈の勝ち。
一人仕留めた時点でも同じこと。告訴者をアウトにさせた上で、僕が即座に虚偽の「死にました」宣言をすれば明日奈の勝ちとなり終わる。あるいは僕が「告訴」し、明日奈を指名すれば、同意者も明日奈を当ててきたら告訴者の僕に2pが入るし、外した場合も僕がアウトとなり被害者が三名に至って明日奈の勝ちとなり、盤石。
ま、この方法は何度もは使えないかも知れないけど……なぜなら僕と明日奈が組んでいるということがバレるから。にしても、それまではイニシアチブを取って立ち回れる。し、バレたとしてもその裏をかくことも戦略に組み込まれるから、マイナスにはならない。それにそもそも杜条あたりは最初から察しているかもだし、それ込みで僕なんか余裕で屠れるとかそんな風に思っているんだろう。ならそれでOK。そんな感じだ。
一方、僕がキラーの場合、明日奈にはそのことは伏せておくけれど、自由に泳がせておく。もちろん明日奈を僕が仕留めるということはしない。明日奈には事前に、「自分がキラーでない場合、僕を絶対に指名しないこと」「自分がキラーである場合は、僕を必ず指名すること」と言い含めてある。僕ら二人以外がキラーの場合は的確に動いて欲しいし、僕がキラーなら告訴者に言い当てられるという可能性がゼロではないにしろ(明日奈の「同意」より先に他の者に「同意」されてしまった場合)、若干、防げる。
ふたりともキラーでない場合のメリットは少ないは少ないけれど……運よく二人アウトの時点で僕と明日奈も生き残っていた場合、残る二人のうちどちらかが必ずキラーだから、そのどちらかが「告訴」をしてきた場合、キラーを確定することができて確実に仕留める、あるいはわざと外すことにより、他者のどちらかにポイントは入ってしまうものの、そのどちらかに入れるかはコントロールできることになる。
そしてこれがいちばん大事なんだけど、最大の目的は「トレース」にあるわけで。目線を合わせる、それだけでDLは捗るはず……さらに【魅力】を上乗せてウインクでもカマすことが出来たりしたのなら……ッ!!
……オトせる可能性も……ゼロでは無いはず……
ちょっと悦に入ってしまっていた、それがいけなかったのだろうか。否、完全に予想外のことが起こったのであった……ッ!!
「……!!」
ふと視線をやった明日奈の右目が、それは自然に横から見てたらまばたきと思わせるほどに自然に、僕に視線をロックしたまま一瞬閉じられていったのである……ッ!!
いや、えええ……? あ、明日奈どうした? 僕を真っ先に仕留めることは、まあ、のちの他者からの疑いを逸らすという意味ではありかもだけど、初手からそうする必要はなかったんじゃ……いや分かってんのか? これだと僕が告発者となって2p得る道が完全に閉ざされてしまったわけだよ……?
慌ててしまうが平静を装いつつ、たっぷり三秒以上待ってから「死にました」宣言をしてプレートを裏返す僕であったけど。
まさか。
万が一のまさかだけれど、明日奈は、僕が勝利することを防ごうとしているのでは……なんでか。……それは本当にまさかだけど、僕が勝って他の女性に抱擁するということがイヤとか、それを阻止したいとか、そういう偏重思考回路なんじゃないの……ええええ……それは読めなかったよ……
こちらを見てくる明日奈の、ちょっと真意の分からなくなってきた微笑みに初めての戸惑いを感じながらも、一局目はもう見守るしかない自分をただ自覚するばかりなのだけれど。ど、どうなるッ!?
そののちの反発は思ったより静かだった。と言うよりは総意は既に整いつつさらには一点に集中していたようで、高らかに言い放った僕の肩を軽く叩いて立ち上がらせた無言の灰炉から凪いだ視線を浴びたまま左膝関節側部に、流れ作業のような素振りだったくせにとんでもなく腰の入ったローを打ち込まれ、さしもの【筋力】でも受け切れず、骨伝導をしたかのような衝撃のパルスが痛みより先に脊髄を痺れさせ、僕は所々がそこまで目線が下がるとよく分かるほどに毛羽立っている緑と白のカーペットへと伏し蹲っていくのであった……
よ、よろこんで……と折れてないか不安で殊更にゆっくりとした動作にて、生まれたての仔鹿もかくやと思わせるほどのよろぼいの舞いを踏みつつ、何とか平静を保って再び席に着くけど。
「まず胸揉みは無しで。ありえんし、倫理・社会・公序良俗・あと何か的にもダメだから」
杜条の冷静な言葉……いかな我が渾身なる六大能力でも突き破り覆せなかった……まあそりゃせやなェ……が、がだッ……!!
「……」
ここまでも計算通り……まあほんの少しいけるかもとか思ってたところはあるけれど。それでも最悪こうなることまでは【分析】できていたことなんだよね……交渉事の初っ端は、ハッタリ吹っ掛けが常套……!! こちらが「折れた上で呑んだ」条件なんかは意外にするっと承諾しがちなんだよね……さらには陰キャぶった僕がトチ狂ったかのように提示した「胸揉み」……そのインパクトの鮮烈さに、「妥協案」のハードルが下がったように感じさせられたのなら……!!
……僕の勝ちだ。
「え、えーとえーとじゃあ、軽く抱擁なんかで納めるってのはどうでしょうかねい? げへ、げへへへへ」
極めて下手に出つつ、下衆い感じは敢えてわざとで「代替案」を切り出す僕。さあ食いつけ……って言うかもう呆れて流してくれっ・
「あーもーわかたある。どのみちアシタカに負ける要素は無いのこと。もうこれは五人の中での勝負いうことになるな。であれば、ささと始めようある」
銀鈴も明らかに面倒くさくなってきているよなオーケー謝々。
「じゃ、じゃあこんな感じで……えー『来野アシタカが最初に5ptに達した場合、他の五人の中から任意の者を抱擁する権利が与えられる』、と……ど、どうでやんしょ?」
ルーズリーフにしたためてそれを他の五名にへりくだりつつ見せつつ僕は言う。そして、いいからもう早くやるぞ、との灰炉の言質を取ったところで遂に「対局」は始まるのであった……
<勝算はあるのかい? だいぶここまでで能力を使わされてしまったようけど……残りちょうど『10発』。用心してくれよ、サーティーン>
脳内に響くファイブの心配は当然だね……まあ、ダメもとで六連発は少しやり過ぎた感はあるけど、布石としてしょうがなかったと切り捨て切り替えよう。決して本当に能力の力で押し通せるとか思ってたわけじゃないんだからねっ。……うん、そして勝算は……もちろん我に有り。
準備の方も整ったみたいだ。ここに来るまでにまたしても寄っていた百均で仕入れた「カード」……というよりは白い素っ気ないプラスチックの名札(二センチ×五センチくらい)、それら計六枚のうち一枚に<キラー>を赤い油性ペンで、残る五枚に<市民>を黒い奴で明日奈に書いてもらっていた。同じく「チップ」はルーレットとかのゲームで使う直径三センチくらいのちゃちい奴、レモンイエローが目に眩しいのを計三十枚。その裏側に各々の名前<杜条><灰炉><銀鈴><朋有><明日奈><来野兄>が五枚ずつ、赤字で記されているのを確認し確認させ、自分以外の名前の書いてある五枚ずつをそれぞれに配布する。
「プレートに目印が無いか、調べてくれても構わない。無論そんな卑怯なことはしていないけどね」
ようやく膝付近の痛みが和らいできたところで、僕は改めて場を見渡し余裕の口調でそうのたまう。実際に本当にサマは仕掛けてはいないし、そもそも僕はその「プレート」には現段階では触れてもいないのだけれど。それでもそれ以前に既に仕込みが入っていると考えられたらと思い、そう言った。もちろんあからさまに正当感を匂わせただけだけどね。戦いはもう始まっている……ッ!!
念のための「プレート改め」を杜条が代表してさくりと終わらせ、先生の手によって混ぜられたそれらはA4くらいの大きさの季節限定メニューの上に六つ並べられてテーブルの中央に置かれる。めいめいひとつづつを引いて、自分の胸元辺りで素早く確認すると自分の前に伏せておいて、これで完全準備完了だ。
「それじゃあ第一局を開始するよ……会話は自由。時間無制限。『キラー告発』か『市民三名死亡』で終局、いいね? では……スタート」
僕の合図と共についにこの渾身の「ゲーム」が始まる……けど、やはり最初は静かな立ち上がり。全員がゆっくりと視線を左右に流しながら、相手の様子をうかがっている状況だ。
キラーは初期段階のこの時点で焦って殺しにいくと、最大であるところの他五人の監視の目がある。誰かにウインクしている瞬間を他の誰かに捉えられる危険度はいちばん高い。よって……最初は目が合ったとしてもウインクしてくることは無いと踏んでいる。それよりも表情や仕草から怪しい挙動をしている奴を特定していくことの方が先だ。
今回僕は「市民」。仕込みはしていない。六分の一の確率でキラーとなることはあっただろうけど、それは免れた。どうしても疑われる立場だからね……初っ端から目立つことは避けたかったからそれは良しだ。が、もちろんカラ手でこの勝負に臨むほど馬鹿じゃない。仕掛けはただ一点だけ打った。
「……」
左斜め奥の明日奈と一瞬視線が交錯する。めずらしく緊張して真面目くさった顔つきをしてるけど、瞬間、その華奢ですべらかな質感の首が、ほんの少しだけ傾げられた。
それは、「自分がキラー」だというサイン。「初っ端目が合った時にキラーであれば首を傾ける」、というのを事前に明日奈に頼んでいた。それだけ。それ以上の「通し」は周りに感づかれるという点で、やらない。明日奈に「僕が何か」ということも伝えない。明日奈の挙動がおかしくなるから。
でもただこれだけの情報で、途端に有利になる。今回のように「明日奈がキラー」の場合、明日奈が順当に「告訴」をかいくぐり三人を仕留めることが出来たらそれでよし。明日奈に1pが入るけど、緊急手段として明日奈を「5p優勝」させるという手も範疇にある。
二人仕留めた時点で、僕以外の誰かに感づかれて「告訴」を受けたら……? その場合は僕が「同意」し、明日奈じゃない方を指名して、告訴者をアウトにさせる。それで明日奈の勝ち。
一人仕留めた時点でも同じこと。告訴者をアウトにさせた上で、僕が即座に虚偽の「死にました」宣言をすれば明日奈の勝ちとなり終わる。あるいは僕が「告訴」し、明日奈を指名すれば、同意者も明日奈を当ててきたら告訴者の僕に2pが入るし、外した場合も僕がアウトとなり被害者が三名に至って明日奈の勝ちとなり、盤石。
ま、この方法は何度もは使えないかも知れないけど……なぜなら僕と明日奈が組んでいるということがバレるから。にしても、それまではイニシアチブを取って立ち回れる。し、バレたとしてもその裏をかくことも戦略に組み込まれるから、マイナスにはならない。それにそもそも杜条あたりは最初から察しているかもだし、それ込みで僕なんか余裕で屠れるとかそんな風に思っているんだろう。ならそれでOK。そんな感じだ。
一方、僕がキラーの場合、明日奈にはそのことは伏せておくけれど、自由に泳がせておく。もちろん明日奈を僕が仕留めるということはしない。明日奈には事前に、「自分がキラーでない場合、僕を絶対に指名しないこと」「自分がキラーである場合は、僕を必ず指名すること」と言い含めてある。僕ら二人以外がキラーの場合は的確に動いて欲しいし、僕がキラーなら告訴者に言い当てられるという可能性がゼロではないにしろ(明日奈の「同意」より先に他の者に「同意」されてしまった場合)、若干、防げる。
ふたりともキラーでない場合のメリットは少ないは少ないけれど……運よく二人アウトの時点で僕と明日奈も生き残っていた場合、残る二人のうちどちらかが必ずキラーだから、そのどちらかが「告訴」をしてきた場合、キラーを確定することができて確実に仕留める、あるいはわざと外すことにより、他者のどちらかにポイントは入ってしまうものの、そのどちらかに入れるかはコントロールできることになる。
そしてこれがいちばん大事なんだけど、最大の目的は「トレース」にあるわけで。目線を合わせる、それだけでDLは捗るはず……さらに【魅力】を上乗せてウインクでもカマすことが出来たりしたのなら……ッ!!
……オトせる可能性も……ゼロでは無いはず……
ちょっと悦に入ってしまっていた、それがいけなかったのだろうか。否、完全に予想外のことが起こったのであった……ッ!!
「……!!」
ふと視線をやった明日奈の右目が、それは自然に横から見てたらまばたきと思わせるほどに自然に、僕に視線をロックしたまま一瞬閉じられていったのである……ッ!!
いや、えええ……? あ、明日奈どうした? 僕を真っ先に仕留めることは、まあ、のちの他者からの疑いを逸らすという意味ではありかもだけど、初手からそうする必要はなかったんじゃ……いや分かってんのか? これだと僕が告発者となって2p得る道が完全に閉ざされてしまったわけだよ……?
慌ててしまうが平静を装いつつ、たっぷり三秒以上待ってから「死にました」宣言をしてプレートを裏返す僕であったけど。
まさか。
万が一のまさかだけれど、明日奈は、僕が勝利することを防ごうとしているのでは……なんでか。……それは本当にまさかだけど、僕が勝って他の女性に抱擁するということがイヤとか、それを阻止したいとか、そういう偏重思考回路なんじゃないの……ええええ……それは読めなかったよ……
こちらを見てくる明日奈の、ちょっと真意の分からなくなってきた微笑みに初めての戸惑いを感じながらも、一局目はもう見守るしかない自分をただ自覚するばかりなのだけれど。ど、どうなるッ!?
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