11 / 41
問題発生!?
しおりを挟む
エミリオは急いで駐屯所に戻ると、リュードを探して訓練場へとやって来た。
リュードは全体の朝練が終わった後、配属されたばかりの新人たちに稽古をつけていたはずである。
「たいちょー、戻りましたよ…って、うわあ!」
エミリオが訓練場に足を踏み入れると、30人ほどの新人たちがへとへとになって地面に転がっていた。
「ちょ、ちょっとみんなどうしたの。大丈夫?」
エミリオが驚きのあまり声を上げると、その声で新人たちはやっとエミリオの存在に気が付いたらしい。
「あ、あ、エミリオさん戻ってらっしゃったんですね。」
「っは、っはあはあ。おかえりなさい。」
「あ、エ、エミリオさんが帰ってきたこと、つ、伝えにいか、なきゃ。」
「ぼ、ぼくが行くよ。」
新人たちは次々に口を開いた。
「待って、待って。伝えにいかなきゃってどういうこと?隊長はもうここにいないみたいだけど、それならそれで自分で伝えに行くから大丈夫だよ。」
「だから君たちは休んでて。」エミリオはそう続けようとした。
しかし、新人たちの言葉でエミリオは用意していた言葉を続けることは無かった。
「リュ、リュード隊長は先ほど任務に行かれました!」
「僕たちに稽古を付けてくださっているときに、通報が入り…。」
「第一部隊の十数名を連れて国境付近の山間部に!」
「分かった、ありがとう。」
エミリオはそれだけ言うと執務室へと急いだ。
リュードがここにいない今、自分がやるべきことは分かっている。
「エミリオ・ザルク。ただいま戻りました!」
エミリオが勢いよく執務氏のドアを開けるとそこには難しい顔をした部下たちや馴染みの顔が。
「エミリオさん!」
エミリオに気付き、安堵混じりの声を上げる騎士たち。
「状況は?いつもの山賊じゃないの?」
エミリオが状況を聞くと部下たちは急に深刻な顔つきになった。
ただの山賊なら、当番で警備に当たっている騎士たちが検挙して終わりだ。わざわざリュードが出ていく必要がない。
「場所は東側。山の傾斜が緩やかになり視界が開けたいつもの場所です。」
「ただの山賊なら良いのですが、どうやら常人では無い様子らしく。」
「警備にあたっていた当番の騎士から伝書鳩が飛んできたのです。」
「目が血走り、廃人のようになっていると。」
「被害を受けた国民は?」
「いません。」
「そっか、良かった。後援の準備は?」
「出来ています。いつでも出立可能です。出立させますか?」
「いや、隊長からの鳩を待とう。下手に人数を増やしてもこちらが不利になるだけだから。」
「わかりました。ではそう伝えてきます。」
そういうと部下はバタバタと執務室を出て行った。
この国の東側の山は西側・北側の山と比べて標高が低く、規模も小さい。東側の山を越えるとしばらく平野が続き、北側の川から枝分かれした穏やかな川を越えると隣国のフルーウェ国に着く。この平野を商人たちが利用するので、東側の山には山賊が潜伏しやすい。また不法侵入者もこの東側からやってくる。
隣国のフルーウェ国は最近まで王位継承でもめていたらしく治安が悪くなりっぱなしだったらしい。そのために山賊が増えてしまったのだ。
「隊長なら大丈夫だと思うけど…。」
エミリオは窓の外を見ながらひとり呟いた。いくら強いリュードでも心配なものは心配である。
エミリオは思わず胸の前で手を組み、リュードや皆の無事を願っていた。
いつもの調子で帰ったきたリュードに拍子抜けしたのはそれから十数分後のことである。
リュードは全体の朝練が終わった後、配属されたばかりの新人たちに稽古をつけていたはずである。
「たいちょー、戻りましたよ…って、うわあ!」
エミリオが訓練場に足を踏み入れると、30人ほどの新人たちがへとへとになって地面に転がっていた。
「ちょ、ちょっとみんなどうしたの。大丈夫?」
エミリオが驚きのあまり声を上げると、その声で新人たちはやっとエミリオの存在に気が付いたらしい。
「あ、あ、エミリオさん戻ってらっしゃったんですね。」
「っは、っはあはあ。おかえりなさい。」
「あ、エ、エミリオさんが帰ってきたこと、つ、伝えにいか、なきゃ。」
「ぼ、ぼくが行くよ。」
新人たちは次々に口を開いた。
「待って、待って。伝えにいかなきゃってどういうこと?隊長はもうここにいないみたいだけど、それならそれで自分で伝えに行くから大丈夫だよ。」
「だから君たちは休んでて。」エミリオはそう続けようとした。
しかし、新人たちの言葉でエミリオは用意していた言葉を続けることは無かった。
「リュ、リュード隊長は先ほど任務に行かれました!」
「僕たちに稽古を付けてくださっているときに、通報が入り…。」
「第一部隊の十数名を連れて国境付近の山間部に!」
「分かった、ありがとう。」
エミリオはそれだけ言うと執務室へと急いだ。
リュードがここにいない今、自分がやるべきことは分かっている。
「エミリオ・ザルク。ただいま戻りました!」
エミリオが勢いよく執務氏のドアを開けるとそこには難しい顔をした部下たちや馴染みの顔が。
「エミリオさん!」
エミリオに気付き、安堵混じりの声を上げる騎士たち。
「状況は?いつもの山賊じゃないの?」
エミリオが状況を聞くと部下たちは急に深刻な顔つきになった。
ただの山賊なら、当番で警備に当たっている騎士たちが検挙して終わりだ。わざわざリュードが出ていく必要がない。
「場所は東側。山の傾斜が緩やかになり視界が開けたいつもの場所です。」
「ただの山賊なら良いのですが、どうやら常人では無い様子らしく。」
「警備にあたっていた当番の騎士から伝書鳩が飛んできたのです。」
「目が血走り、廃人のようになっていると。」
「被害を受けた国民は?」
「いません。」
「そっか、良かった。後援の準備は?」
「出来ています。いつでも出立可能です。出立させますか?」
「いや、隊長からの鳩を待とう。下手に人数を増やしてもこちらが不利になるだけだから。」
「わかりました。ではそう伝えてきます。」
そういうと部下はバタバタと執務室を出て行った。
この国の東側の山は西側・北側の山と比べて標高が低く、規模も小さい。東側の山を越えるとしばらく平野が続き、北側の川から枝分かれした穏やかな川を越えると隣国のフルーウェ国に着く。この平野を商人たちが利用するので、東側の山には山賊が潜伏しやすい。また不法侵入者もこの東側からやってくる。
隣国のフルーウェ国は最近まで王位継承でもめていたらしく治安が悪くなりっぱなしだったらしい。そのために山賊が増えてしまったのだ。
「隊長なら大丈夫だと思うけど…。」
エミリオは窓の外を見ながらひとり呟いた。いくら強いリュードでも心配なものは心配である。
エミリオは思わず胸の前で手を組み、リュードや皆の無事を願っていた。
いつもの調子で帰ったきたリュードに拍子抜けしたのはそれから十数分後のことである。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる