夢見の楽園

花畑

序

　夢見。
　人々の夢を渡り歩く存在。
　何百、何千、何万、数え切れない程夢の世界を彷徨い歩く、人ではないもの。
　もし夢見を定義づけるなら、妖怪というのが一番近いのであろう。
　かくいう私も夢見の一人である。
　望郷、理想、悲哀、落胆…人間の夢は時に感情に支配される。
　楽しい夢も恐ろしい夢も、傍観者の立場になればこれ程面白いものはない。
　私はあらゆる夢を渡ってきた。
　今日は、実に興味深いある夢について記すことにする。
　私が巡り会ったその夢は、美しく、しかしながらどこか歪なものだった。