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第1章
偶然的に平凡な再会(7)
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涼さんが相手というだけで、たわいもない話が楽しくて、嬉しくて、こそばゆくて仕方がない。
あっという間に3時間近く時間が過ぎていた。
料理も美味しく、生ビールの後にハイボールを5杯ほど飲んでいた。
涼さんは生ビール後、ウーロンハイを何杯か飲んでいた。
アルコールのせいで、俺は余計に饒舌になり、少しずつ箍が外れていく。
「それにしても、涼さんって、すっごいお洒落ですよね」
俺は完全に酔っ払いと化してるが、涼さんは涼しげな顔でいる。顔も赤くなっていない。
「そんなことをないよ」
「お洒落ですって!」
俺が全否定しても、涼さんはにこにこと笑っている。
「涼さん、モテるでしょう?」
「しょーちゃんは?」
「ずるい、俺が先に質問したんですよ」
俺は失礼にも、涼さんのことを指差して指摘する。彼は仕方がないというように笑って口を開いた。
「うーん、モテるわけではないけど、たまーに、たまーにだけど、言い寄られてるのかって思う瞬間はある」
それを世の中ではモテるっていうんだけど。
女にモテることは羨ましいと思わないが、涼さんに言い寄れる女性たちが羨ましい。
だから、つい余計なことをボヤく。
「で、そのまま、その女性に手を出す、と」
自分に何を言ってるんだ!とツッコむ冷静な俺もいるけど、酔ってる俺は制御できない。
「離婚する前はね」
やはり離婚してたんだ。
人の不幸なのに、無駄に浮き足立つ。
だから、それを隠すように嫌なことを言う。
「それって浮気じゃないですか。最低です」
「そう、最低だよな。だから、結婚生活も2年で終わった」
涼さんは口角を上げて笑うが、視線を下げる。寂しい表情。
彼にとっては嫌な話なのだろに、俺は何をやっているんだか。
「すみません、調子に乗りすぎました」
頭を下げて話を終わらせようとしたが、勢い余っておでこをテーブルに打つける。ガンッとなかなかの音がしたが、痛くはない。
これが酔っ払いのなせる技。
「すっごい酔ってますね、俺。本当にすみません」
「いいよ。酔ってるしょーちゃん可愛いし」
酔っていて、無防備な俺に、その言葉は真っ直ぐにささる。
や、やばい。
俺、超照れてる。
「そんなこと言って。涼さんも、酔ってるんですね」
「俺は酔ってないよ」
「お酒に強いんだ」
学生の頃の涼さんのことだって、僅かしか知らないけど、大人の涼さんのことはもっと知らないことに気付き、寂しい気持ちに襲われる。
「いや、俺、ビールしか飲んでないから」
「はあ?」
俺はぽっかりと口を開けた後、涼さんの前にあるウーロンハイを指さした。
「これはウーロン茶」
「マジですか?! ずっとウーロンハイかと思ってました」
「俺、今日は飲まないで話したかったんだよ」
「それ、早く言って下さい。俺、普通に飲んじゃったよ」
「酔ってるしょーちゃんと話しがしたかったから、わざと黙ってたの」
さすがに酔ってる俺でも、話のおかしさに気付く。
「俺を酔わせてどうする気ですか?」
軽く聞くが、心の中では警報が鳴る。
最大限の警戒をするが、お酒のせいで上手く行かない。
宗教への勧誘か?
それとも、何か売りつけられる?
俺、こんな無防備で涼さんに利用されたら、心が再起不能になるかも。
「しょーちゃん、本当にさっきの彩って人は彼女じゃないの?」
「そうですけど」
もしかして、美人局とか?!
それは今は1番辛いかも。
「恋人は?」
「いません」
「俺のことはどう思う? 」
次々と脈略のないことを言われて、ただでさえ上手く回らない頭が、余計にこんがらがる。
「どうって言われても」
テーブルに置いていた俺の左手に、涼さんは自分の手の平を重ねた。
左手が涼さんの熱を過敏に感じる。
全身を硬直させてしまうほどの、衝撃が走った。
「こういう意味で聞いてるんだけど」
「ど、どういう意味ですか?」
俺はもう、何も冷静に考えられない。
涼さんは俺の手首に視線を注ぐ。
そこには腕時計があった。
指先で、時計のガラス面をコツコツと叩く。
「先輩のだよね?」
その通りだ。
俺はオメガの時計なんて買わない。
正直、ブランドとか興味がないのだ。
「俺、先輩からしょーちゃんに対して接近禁止令が出てたの知ってる?」
俺は言葉に詰まった。
涼さんが何を言っているのか意味が全くわからないからだ。
もしかして、涼さん、本当はウーロンハイを飲んでいて酔っているんじゃないのか?
怪訝に思う気持ちがあるが、それより何より、左手に意識がいってしまい、重大なことを聞き逃すのではないかと二重に焦りだした。
あっという間に3時間近く時間が過ぎていた。
料理も美味しく、生ビールの後にハイボールを5杯ほど飲んでいた。
涼さんは生ビール後、ウーロンハイを何杯か飲んでいた。
アルコールのせいで、俺は余計に饒舌になり、少しずつ箍が外れていく。
「それにしても、涼さんって、すっごいお洒落ですよね」
俺は完全に酔っ払いと化してるが、涼さんは涼しげな顔でいる。顔も赤くなっていない。
「そんなことをないよ」
「お洒落ですって!」
俺が全否定しても、涼さんはにこにこと笑っている。
「涼さん、モテるでしょう?」
「しょーちゃんは?」
「ずるい、俺が先に質問したんですよ」
俺は失礼にも、涼さんのことを指差して指摘する。彼は仕方がないというように笑って口を開いた。
「うーん、モテるわけではないけど、たまーに、たまーにだけど、言い寄られてるのかって思う瞬間はある」
それを世の中ではモテるっていうんだけど。
女にモテることは羨ましいと思わないが、涼さんに言い寄れる女性たちが羨ましい。
だから、つい余計なことをボヤく。
「で、そのまま、その女性に手を出す、と」
自分に何を言ってるんだ!とツッコむ冷静な俺もいるけど、酔ってる俺は制御できない。
「離婚する前はね」
やはり離婚してたんだ。
人の不幸なのに、無駄に浮き足立つ。
だから、それを隠すように嫌なことを言う。
「それって浮気じゃないですか。最低です」
「そう、最低だよな。だから、結婚生活も2年で終わった」
涼さんは口角を上げて笑うが、視線を下げる。寂しい表情。
彼にとっては嫌な話なのだろに、俺は何をやっているんだか。
「すみません、調子に乗りすぎました」
頭を下げて話を終わらせようとしたが、勢い余っておでこをテーブルに打つける。ガンッとなかなかの音がしたが、痛くはない。
これが酔っ払いのなせる技。
「すっごい酔ってますね、俺。本当にすみません」
「いいよ。酔ってるしょーちゃん可愛いし」
酔っていて、無防備な俺に、その言葉は真っ直ぐにささる。
や、やばい。
俺、超照れてる。
「そんなこと言って。涼さんも、酔ってるんですね」
「俺は酔ってないよ」
「お酒に強いんだ」
学生の頃の涼さんのことだって、僅かしか知らないけど、大人の涼さんのことはもっと知らないことに気付き、寂しい気持ちに襲われる。
「いや、俺、ビールしか飲んでないから」
「はあ?」
俺はぽっかりと口を開けた後、涼さんの前にあるウーロンハイを指さした。
「これはウーロン茶」
「マジですか?! ずっとウーロンハイかと思ってました」
「俺、今日は飲まないで話したかったんだよ」
「それ、早く言って下さい。俺、普通に飲んじゃったよ」
「酔ってるしょーちゃんと話しがしたかったから、わざと黙ってたの」
さすがに酔ってる俺でも、話のおかしさに気付く。
「俺を酔わせてどうする気ですか?」
軽く聞くが、心の中では警報が鳴る。
最大限の警戒をするが、お酒のせいで上手く行かない。
宗教への勧誘か?
それとも、何か売りつけられる?
俺、こんな無防備で涼さんに利用されたら、心が再起不能になるかも。
「しょーちゃん、本当にさっきの彩って人は彼女じゃないの?」
「そうですけど」
もしかして、美人局とか?!
それは今は1番辛いかも。
「恋人は?」
「いません」
「俺のことはどう思う? 」
次々と脈略のないことを言われて、ただでさえ上手く回らない頭が、余計にこんがらがる。
「どうって言われても」
テーブルに置いていた俺の左手に、涼さんは自分の手の平を重ねた。
左手が涼さんの熱を過敏に感じる。
全身を硬直させてしまうほどの、衝撃が走った。
「こういう意味で聞いてるんだけど」
「ど、どういう意味ですか?」
俺はもう、何も冷静に考えられない。
涼さんは俺の手首に視線を注ぐ。
そこには腕時計があった。
指先で、時計のガラス面をコツコツと叩く。
「先輩のだよね?」
その通りだ。
俺はオメガの時計なんて買わない。
正直、ブランドとか興味がないのだ。
「俺、先輩からしょーちゃんに対して接近禁止令が出てたの知ってる?」
俺は言葉に詰まった。
涼さんが何を言っているのか意味が全くわからないからだ。
もしかして、涼さん、本当はウーロンハイを飲んでいて酔っているんじゃないのか?
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