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第4章
アドバイスという名の(8)
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「はぁ? 何を言ってんだよ」
俺は口に運びかけていたアッサムティーをこぼしそうになる。
口に含んでいたら、大参事になるところだった。
「だからさ、俺と翔が付き合ったら涼さんにぎゃふんと言わせることができるなって」
ぎゃふんという言葉とカケルの顔にギャップがあり過ぎる。
「俺とカケルが付き合うなんて、ないだろうが」
カケルは食べながら話しているが、俺にはそんな余裕はない。
「まあ、俺はカッコいい人が好きだから、翔は好みとはかけ離れてるけど、話してみて付き合えなくもないかなって」
相変わらず自分本位の言い分で言葉を失いかける。
「俺はカケルと付き合うのは無理だよ」
「えっ?! 何で?」
俺の答えが予想外だったように、ロコモコを食べるスプーンが止まった。
「俺だってカッコいいタイプが好きなんだ」
言ってはみたものの、今まで心を惹かれた男性の顔に統一性がない。
しかも、それほど多くの人に惹かれてきわけでもないので統計も何もないけど。
本当は見た目ではなく、涼さんのことを考えたら絶対に付き合えるわけがない、というのが本音。
「確かに俺はワイルド系ではないけど、カッコいいことはカッコいいじゃんか」
カケルはスプーンを片手に力説する。その姿は、とてもカッコいいとは言えないが、やはり可愛らしい。
「綺麗な顔はしてるけど、好みじゃないから」
カケルは不本意とばかりに唇を尖らせて、不満げな顔をした。
「俺だって付き合ってる人がいるから、本気で翔と付き合おうと思ってるわけじゃない。例えで話してるだけさ」
「なんだ、ちょっと本気で考えちゃったよ」
俺はほっとしてアッサムティーを口に含んだ。
落ち着こうとしてが、すぐに別の疑問が頭を擡げる。
「えっ、付き合ってる人がいるの?」
「なんで驚くんだよ。俺に恋人がいて不思議ではないだろう」
「だって、今までの話だと、涼さんに振られたショックを未だに引きずってるのかと」
「引きずってるけど、彼氏がいるのとは別問題じゃない?」
カケルは別次元にいる。
俺の物差しでは、カケルは測ることができない。
「今の彼氏と上手くいってないの?」
「問題なく愛されてるよ」
「愛してるのではなく、愛されてる?」
「10ヶ月も付き合ってるから、愛着は出てきたよ。年下ですぐに甘えてくる、顔も性格も可愛い奴だよ」
10ヶ月って、涼さんと別れてから2ヶ月しか経たずに付き合ったのか。
言い方からして、相手から交際を迫られた、そんなところだろう。
「それなら、涼さんに固執することないんじゃない?」
「涼さんに再開するまでは、そう思ってた。島崎さんの店で涼さんを見て、色々と再燃しちゃったんだよ」
「再燃って、やっぱり涼さんのこと今でも好きなんじゃないの?」
「だから、それはわからないって。恋心かもしれないし、恨み心かもしれない」
カケルは思い出したようにスプーンを動かして、ロコモコのアボガドを口に運ぶ。
俺も半分溶けたバターの乗ったパンケーキにナイフを入れる。
俺たちは黙々と目の前のものを食べ始める。
俺はパンケーキにかけるメイプルシロップの量調整に神経を注ぎ、それ以外を考えないようにした。
半分ほどパンケーキを食べ終えた頃、カケルはテールブルのナプキンの上にスプーンを置いた。2人の間にカタっとスプーンがテーブルにあたる音が響く。
「俺、もう一度、涼さんと向き合いたいんだ」
それはどういう意味で?
俺は測り兼ねて、黙ってカケルの様子を伺う。
「彼のことが好きなのか、それとも振られたことそのものに固執しているのか、向かい合ったらわかったりしないかな?」
「俺にアドバイスを求められても」
俺はいつになく語尾を濁して口を閉じる。だけど、頭の中では、考えることを止めない。
カケルが一瞬ではなく、しっかりと涼さんと向かいあったら気持ちがわかって、その気持ちが涼さんに好意を抱いているとしたら……。
2人の仲は元に戻る可能性が高くなる。その時、俺はどうなる?
カケルは大きな少し茶色がかった瞳で、俺を上目遣いで見ている。
俺なんかより、涼さんとお似合いのカケル。難ありだけど、それでも可愛い性格だ。
俺が彼より優ってるところなんてあるのかな。
考えても無駄なような気がした。
カケルに気付かれないように、俺は小さく息を吐いた。
「涼さんと向き合ってみて、はっきりとさせた方がカケルにとってはいいんじゃないの?」
「それって、俺と涼さんが会ってもいいってことだよ?」
「俺が二人の会うことに反対する権利なんてないさ」
これは強がりだ。
無駄な強がりだ。
だけど、俺は経験上、自分のことがわかってる。
ここでカケルに涼さんと会って欲しくないと言ったら、俺はずっと後ろめたい気持ちに苛まれる。
そして、涼さんと俺が向かい合うことができなくなる。
「反対してもいいと思うよ、翔は涼さんの彼氏なんだから」
「カケルは反対して欲しいの?」
「そうじゃないけど」
何かを言いたげにカケルは口を閉じた。
「翔って、何考えてるかわからないな」
「お前にいわれたくないわ」
そうツッコミを入れてから、俺たちはまだ黙って黙々と食事を再開させた。
俺は口に運びかけていたアッサムティーをこぼしそうになる。
口に含んでいたら、大参事になるところだった。
「だからさ、俺と翔が付き合ったら涼さんにぎゃふんと言わせることができるなって」
ぎゃふんという言葉とカケルの顔にギャップがあり過ぎる。
「俺とカケルが付き合うなんて、ないだろうが」
カケルは食べながら話しているが、俺にはそんな余裕はない。
「まあ、俺はカッコいい人が好きだから、翔は好みとはかけ離れてるけど、話してみて付き合えなくもないかなって」
相変わらず自分本位の言い分で言葉を失いかける。
「俺はカケルと付き合うのは無理だよ」
「えっ?! 何で?」
俺の答えが予想外だったように、ロコモコを食べるスプーンが止まった。
「俺だってカッコいいタイプが好きなんだ」
言ってはみたものの、今まで心を惹かれた男性の顔に統一性がない。
しかも、それほど多くの人に惹かれてきわけでもないので統計も何もないけど。
本当は見た目ではなく、涼さんのことを考えたら絶対に付き合えるわけがない、というのが本音。
「確かに俺はワイルド系ではないけど、カッコいいことはカッコいいじゃんか」
カケルはスプーンを片手に力説する。その姿は、とてもカッコいいとは言えないが、やはり可愛らしい。
「綺麗な顔はしてるけど、好みじゃないから」
カケルは不本意とばかりに唇を尖らせて、不満げな顔をした。
「俺だって付き合ってる人がいるから、本気で翔と付き合おうと思ってるわけじゃない。例えで話してるだけさ」
「なんだ、ちょっと本気で考えちゃったよ」
俺はほっとしてアッサムティーを口に含んだ。
落ち着こうとしてが、すぐに別の疑問が頭を擡げる。
「えっ、付き合ってる人がいるの?」
「なんで驚くんだよ。俺に恋人がいて不思議ではないだろう」
「だって、今までの話だと、涼さんに振られたショックを未だに引きずってるのかと」
「引きずってるけど、彼氏がいるのとは別問題じゃない?」
カケルは別次元にいる。
俺の物差しでは、カケルは測ることができない。
「今の彼氏と上手くいってないの?」
「問題なく愛されてるよ」
「愛してるのではなく、愛されてる?」
「10ヶ月も付き合ってるから、愛着は出てきたよ。年下ですぐに甘えてくる、顔も性格も可愛い奴だよ」
10ヶ月って、涼さんと別れてから2ヶ月しか経たずに付き合ったのか。
言い方からして、相手から交際を迫られた、そんなところだろう。
「それなら、涼さんに固執することないんじゃない?」
「涼さんに再開するまでは、そう思ってた。島崎さんの店で涼さんを見て、色々と再燃しちゃったんだよ」
「再燃って、やっぱり涼さんのこと今でも好きなんじゃないの?」
「だから、それはわからないって。恋心かもしれないし、恨み心かもしれない」
カケルは思い出したようにスプーンを動かして、ロコモコのアボガドを口に運ぶ。
俺も半分溶けたバターの乗ったパンケーキにナイフを入れる。
俺たちは黙々と目の前のものを食べ始める。
俺はパンケーキにかけるメイプルシロップの量調整に神経を注ぎ、それ以外を考えないようにした。
半分ほどパンケーキを食べ終えた頃、カケルはテールブルのナプキンの上にスプーンを置いた。2人の間にカタっとスプーンがテーブルにあたる音が響く。
「俺、もう一度、涼さんと向き合いたいんだ」
それはどういう意味で?
俺は測り兼ねて、黙ってカケルの様子を伺う。
「彼のことが好きなのか、それとも振られたことそのものに固執しているのか、向かい合ったらわかったりしないかな?」
「俺にアドバイスを求められても」
俺はいつになく語尾を濁して口を閉じる。だけど、頭の中では、考えることを止めない。
カケルが一瞬ではなく、しっかりと涼さんと向かいあったら気持ちがわかって、その気持ちが涼さんに好意を抱いているとしたら……。
2人の仲は元に戻る可能性が高くなる。その時、俺はどうなる?
カケルは大きな少し茶色がかった瞳で、俺を上目遣いで見ている。
俺なんかより、涼さんとお似合いのカケル。難ありだけど、それでも可愛い性格だ。
俺が彼より優ってるところなんてあるのかな。
考えても無駄なような気がした。
カケルに気付かれないように、俺は小さく息を吐いた。
「涼さんと向き合ってみて、はっきりとさせた方がカケルにとってはいいんじゃないの?」
「それって、俺と涼さんが会ってもいいってことだよ?」
「俺が二人の会うことに反対する権利なんてないさ」
これは強がりだ。
無駄な強がりだ。
だけど、俺は経験上、自分のことがわかってる。
ここでカケルに涼さんと会って欲しくないと言ったら、俺はずっと後ろめたい気持ちに苛まれる。
そして、涼さんと俺が向かい合うことができなくなる。
「反対してもいいと思うよ、翔は涼さんの彼氏なんだから」
「カケルは反対して欲しいの?」
「そうじゃないけど」
何かを言いたげにカケルは口を閉じた。
「翔って、何考えてるかわからないな」
「お前にいわれたくないわ」
そうツッコミを入れてから、俺たちはまだ黙って黙々と食事を再開させた。
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