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唯一の純血種
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「俺は純血種じゃないし、紋様なんか何処にもない!」
「分かっています、しかしベアトリス様に紋様が現れるまでイルト様が純血種だと思っておりました、オババ様に兄妹を見せた時にイルト様の後ろにベアトリス様がいましたので」
「…もう少し詳しく調べればいいのに」
「人類初の純血種なので、浮かれていたんでしょう」
浮かれていた、きっと純粋な喜びではなく道具としての喜びが強いんだろうな。
漫画のベアトリスは今まで何も知らずにいられた。
知っていたら、幼少期の頃自由に過ごせないし性格が歪んでいたのかもしれない。
それだと漫画のストーリーも始まらないと思うから、これで良かったと思う。
漫画の裏ではこういう事が行われていたのか。
俺はあくまで漫画の影に生きる一人のモブだ。
怪しい薬もしばらく運ぶものの中身をすり替えている、ルイスと出会う繋ぎになればいい。
これから辛い事も沢山あるが支えてくれる人が必ずいる。
俺にはそんな人はいないから、1人で生きていかないといけない。
「イルト様はずっと純血種としての実験として生きてきました」
「……」
「頭脳も身体能力もない、イルト様はこの家には不要な存在です」
「……っ」
「この家の事を知らぬままなら、このまま家を出て行く事を望んでいます」
「俺を逃すために、ここで待っていたのか?」
「そうですね、貴方にここに居てほしいと願っているのはラルト様だけなので」
セトはそう言い、俺に向かって頭を下げた。
こんなに話していて、俺達以外の人の気配がない。
ゆっくりセトに近付くと、俺の前になにかを出してきた。
びっくりして後ろに下がるが、セトがなにかをする気配はない。
セトの手には、銀色に赤い宝石が埋め込まれた短剣があった。
近付くと、その美しさに小さくため息が溢れた。
骨董品や価値のあるものは全然分からないし、目利きが出来るわけではない。
そんな俺でも分かるほど、美しい薔薇の模様の高価なものだ。
「アクトリス家は20歳になると継承の儀式を行います、これはイルト様が継承する家宝です」
「…俺は純血種じゃないのに、くれるのか?」
「手切れ金だと思っていただければ…これを売れば数日の宿代にはなります」
セトから短剣を受け取り、ギュッと鞘を握りしめた。
これをどうするかは俺次第か、1人で生きていくには必要な事か。
俺がセトの横を通っても引き止めるつもりはなさそうだ。
さっきまでの話は、とりあえず嘘偽りはなさそうだ。
後ろを振り返ると、俺の背中をジッと見つめていた。
余計なお世話だとしても、妹であるベアトリスには酷い事をするなよと言って奥に進んだ。
純血種は同じ血が流れていれば、家族でも純血種は生まれそうだが違う。
純血種が生まれた家庭でも、龍人と同じ血は全体の0.5%も満たない。
だからこそ完全に適合する人間はいなかった。
漫画でそう言われていたから、オババ様もベアトリスだけが純血種に見えた。
そして紋様もベアトリスにだけある。
俺はこれから漫画とは離れたところで生活する。
漫画に俺の名前が出なかったのも、そういう事だ。
地下を歩いていると、扉がポツンとそこにあった。
セトはここから来たのか、この地下は何のために作ったんだろう。
避難用?いや、考えても分からないから止めよう。
扉を開けると上に続く梯子が見えて、見上げると光が漏れる。
足元を確かめながら、ゆっくりゆっくりと上っていく。
地上に到着して、腕に力を込めて体を持ち上げる。
「ここは、森の中?」
まさかあの森に続いているとは思わなかった。
懐かしいな、あの雪の日から一度も戻る事はなかった。
きゅーちゃんはまだいるのかな、地下が家と繋がっているなら声を張り上げる事が出来ない。
小さな声で「きゅーちゃん」と呼んでも、誰も出てこない。
やっぱり引っ越したりしているのかな、ずっといるわけないか。
しばらく森の中で歩いていたが、何も変わらなかった。
「分かっています、しかしベアトリス様に紋様が現れるまでイルト様が純血種だと思っておりました、オババ様に兄妹を見せた時にイルト様の後ろにベアトリス様がいましたので」
「…もう少し詳しく調べればいいのに」
「人類初の純血種なので、浮かれていたんでしょう」
浮かれていた、きっと純粋な喜びではなく道具としての喜びが強いんだろうな。
漫画のベアトリスは今まで何も知らずにいられた。
知っていたら、幼少期の頃自由に過ごせないし性格が歪んでいたのかもしれない。
それだと漫画のストーリーも始まらないと思うから、これで良かったと思う。
漫画の裏ではこういう事が行われていたのか。
俺はあくまで漫画の影に生きる一人のモブだ。
怪しい薬もしばらく運ぶものの中身をすり替えている、ルイスと出会う繋ぎになればいい。
これから辛い事も沢山あるが支えてくれる人が必ずいる。
俺にはそんな人はいないから、1人で生きていかないといけない。
「イルト様はずっと純血種としての実験として生きてきました」
「……」
「頭脳も身体能力もない、イルト様はこの家には不要な存在です」
「……っ」
「この家の事を知らぬままなら、このまま家を出て行く事を望んでいます」
「俺を逃すために、ここで待っていたのか?」
「そうですね、貴方にここに居てほしいと願っているのはラルト様だけなので」
セトはそう言い、俺に向かって頭を下げた。
こんなに話していて、俺達以外の人の気配がない。
ゆっくりセトに近付くと、俺の前になにかを出してきた。
びっくりして後ろに下がるが、セトがなにかをする気配はない。
セトの手には、銀色に赤い宝石が埋め込まれた短剣があった。
近付くと、その美しさに小さくため息が溢れた。
骨董品や価値のあるものは全然分からないし、目利きが出来るわけではない。
そんな俺でも分かるほど、美しい薔薇の模様の高価なものだ。
「アクトリス家は20歳になると継承の儀式を行います、これはイルト様が継承する家宝です」
「…俺は純血種じゃないのに、くれるのか?」
「手切れ金だと思っていただければ…これを売れば数日の宿代にはなります」
セトから短剣を受け取り、ギュッと鞘を握りしめた。
これをどうするかは俺次第か、1人で生きていくには必要な事か。
俺がセトの横を通っても引き止めるつもりはなさそうだ。
さっきまでの話は、とりあえず嘘偽りはなさそうだ。
後ろを振り返ると、俺の背中をジッと見つめていた。
余計なお世話だとしても、妹であるベアトリスには酷い事をするなよと言って奥に進んだ。
純血種は同じ血が流れていれば、家族でも純血種は生まれそうだが違う。
純血種が生まれた家庭でも、龍人と同じ血は全体の0.5%も満たない。
だからこそ完全に適合する人間はいなかった。
漫画でそう言われていたから、オババ様もベアトリスだけが純血種に見えた。
そして紋様もベアトリスにだけある。
俺はこれから漫画とは離れたところで生活する。
漫画に俺の名前が出なかったのも、そういう事だ。
地下を歩いていると、扉がポツンとそこにあった。
セトはここから来たのか、この地下は何のために作ったんだろう。
避難用?いや、考えても分からないから止めよう。
扉を開けると上に続く梯子が見えて、見上げると光が漏れる。
足元を確かめながら、ゆっくりゆっくりと上っていく。
地上に到着して、腕に力を込めて体を持ち上げる。
「ここは、森の中?」
まさかあの森に続いているとは思わなかった。
懐かしいな、あの雪の日から一度も戻る事はなかった。
きゅーちゃんはまだいるのかな、地下が家と繋がっているなら声を張り上げる事が出来ない。
小さな声で「きゅーちゃん」と呼んでも、誰も出てこない。
やっぱり引っ越したりしているのかな、ずっといるわけないか。
しばらく森の中で歩いていたが、何も変わらなかった。
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