20 / 36
お仕事
しおりを挟む
「もういいだろ」
「うーん、筋肉はもうちょっとほしいけどそれはそのうち僕が屈強な男に育てるとして、掃除とか雑用まで手が回らなかったから助かったよ!」
「俺、頑張ります!何でも言って下さい!」
「うんうん、ルイス様もいいどれ…げふんげふん、いい人を見つけてくれてありがとう!」
気のせいかな、今…奴隷って聞こえたような…
いや、ここで頑張るって決めたんだ…奴隷精神でやるんだ!
カノンさんはずっと持ち歩いているのか、契約書のような紙とペンを持っていたカバンから取り出して俺にサインするように言った。
これって、採用って事だよな…この世界で意外とあっさり採用するのか。
ルイスはカノンさんに「無茶はさせるなよ」と言っていた。
俺は大丈夫だよ、ルイスは昔から優しいな。
俺の今の目標はルイスに心配されないほど屈強な男になる事だ!
そしていつか再会した時にラルトに流されない強い精神も必要だ。
カノンさんは笑いながら「人間に不可能な事はさせないから大丈夫!」と言っていた。
どういう事かは、この時の俺は知らなかった。
「なにかあったら必ず言ってくれ」
「うん、ありがとう」
「ルイス様!そろそろ…」
2人しか聞こえない声で話しかけられて、俺は安心させるように笑った。
その時、突然大きな声でライがルイスを呼ぶからびっくりした。
忙しいのか、ルイスを急かしていてルイスは耳を押さえながら眉を寄せている。
引き止めるのも悪いから、大丈夫だと頷くとそれに応えてくれて、ルイスも頷いた。
ライは俺の方を見ていて、ここでお世話になるから挨拶をしとかないとと口を開いた。
しかし、俺の自己紹介が聞こえていないかのようにライは俺からすぐルイスに視線を戻して歩いていった。
ルイスの腕を引いて、引きずるように連れて行った。
ルイスとライが兵舎を出るまで、俺は後ろ姿に手を振った。
俺、なんかライに嫌われていないだろうか。
去り際に睨まれた気がしたが、気のせいであってほしいな。
ライはルイスの家で居候をしているから、家に帰る時も同じ方向だ。
漫画では補佐のような役割で、ほとんど共にいた。
あんなにライがルイスにべったりしているのを知らなくて驚いた。
漫画では語られない裏話ってこんな感じなのかな。
裏では親友同士だったとかかな、ルイスの顔から全くそうには見えないが…
ライだけ見ていると大親友だって言われても頷けるけど…
2人が見えなくなっても、ずっと見つめていたら肩を軽く叩かれた。
後ろを振り返ると、さっきとは違う雰囲気のカノンさんがいた。
人のいい顔とは違い、企んでいるような不安な気持ちになる顔。
「無理、出来ないは言わせないからね」
「…は、はい!」
「じゃあ早速ここの廊下を端から端まで拭いて、買い出しもお願いね!ちなみにお店は夜には閉まるからその前に全部終わらせてね」
カノンさんは早口でそう言い、廊下の端にある掃除用具室からほうきとブラシとバケツと拭き掃除の布を持ってきた。
それを全て俺に渡して、物凄くいい笑顔で「よろしくね!」と言って何処かに行ってしまった。
この道具からして、ほうきでゴミを取り除いてブラシで洗って布で拭くのか。
廊下を眺めると、端の壁が全く見えない。
今の時刻は昼過ぎくらい、高速でやらないと間に合わない。
早速バケツに水を入れようと思って水汲み場を探す。
自力で見つけるより、歩いている兵士に聞いた方がいい。
ちょうど歩いていた騎士の1人を見つけて声を掛ける。
「あの、水を汲める場所ってどこにありますか?」
「水?洗面台なら各部屋に一台あるだろ」
「えっと、それ以外は…」
「風呂の水なら大浴場だけど、他は外の訓練場にしかないけど…」
それを聞いて顔がみるみると青ざめるのが分かる。
大浴場の水を勝手に使うのは当然ダメだし、外の訓練場に行かないと水がない。
訓練場の場所を教えてもらい、急いで外に向かった。
初日で失敗するわけにはいかないと、俺の中でプレッシャーになっていく。
急いで訓練している人達の横を通らせてもらい、バケツいっぱいに水を蛇口から汲み廊下に戻った。
しかしまた仕事は始まってすらいない、ここからいかに効率よく終わらせるかが問題だ。
ブラシをバケツの中に突っ込んで、ホウキを取り出す。
小さく深呼吸をして、掃除をする廊下の奥を見つめる。
心の中で「衣食住のため、衣食住のため」と呪文のように繰り返しながらホウキで掃いた。
「うーん、筋肉はもうちょっとほしいけどそれはそのうち僕が屈強な男に育てるとして、掃除とか雑用まで手が回らなかったから助かったよ!」
「俺、頑張ります!何でも言って下さい!」
「うんうん、ルイス様もいいどれ…げふんげふん、いい人を見つけてくれてありがとう!」
気のせいかな、今…奴隷って聞こえたような…
いや、ここで頑張るって決めたんだ…奴隷精神でやるんだ!
カノンさんはずっと持ち歩いているのか、契約書のような紙とペンを持っていたカバンから取り出して俺にサインするように言った。
これって、採用って事だよな…この世界で意外とあっさり採用するのか。
ルイスはカノンさんに「無茶はさせるなよ」と言っていた。
俺は大丈夫だよ、ルイスは昔から優しいな。
俺の今の目標はルイスに心配されないほど屈強な男になる事だ!
そしていつか再会した時にラルトに流されない強い精神も必要だ。
カノンさんは笑いながら「人間に不可能な事はさせないから大丈夫!」と言っていた。
どういう事かは、この時の俺は知らなかった。
「なにかあったら必ず言ってくれ」
「うん、ありがとう」
「ルイス様!そろそろ…」
2人しか聞こえない声で話しかけられて、俺は安心させるように笑った。
その時、突然大きな声でライがルイスを呼ぶからびっくりした。
忙しいのか、ルイスを急かしていてルイスは耳を押さえながら眉を寄せている。
引き止めるのも悪いから、大丈夫だと頷くとそれに応えてくれて、ルイスも頷いた。
ライは俺の方を見ていて、ここでお世話になるから挨拶をしとかないとと口を開いた。
しかし、俺の自己紹介が聞こえていないかのようにライは俺からすぐルイスに視線を戻して歩いていった。
ルイスの腕を引いて、引きずるように連れて行った。
ルイスとライが兵舎を出るまで、俺は後ろ姿に手を振った。
俺、なんかライに嫌われていないだろうか。
去り際に睨まれた気がしたが、気のせいであってほしいな。
ライはルイスの家で居候をしているから、家に帰る時も同じ方向だ。
漫画では補佐のような役割で、ほとんど共にいた。
あんなにライがルイスにべったりしているのを知らなくて驚いた。
漫画では語られない裏話ってこんな感じなのかな。
裏では親友同士だったとかかな、ルイスの顔から全くそうには見えないが…
ライだけ見ていると大親友だって言われても頷けるけど…
2人が見えなくなっても、ずっと見つめていたら肩を軽く叩かれた。
後ろを振り返ると、さっきとは違う雰囲気のカノンさんがいた。
人のいい顔とは違い、企んでいるような不安な気持ちになる顔。
「無理、出来ないは言わせないからね」
「…は、はい!」
「じゃあ早速ここの廊下を端から端まで拭いて、買い出しもお願いね!ちなみにお店は夜には閉まるからその前に全部終わらせてね」
カノンさんは早口でそう言い、廊下の端にある掃除用具室からほうきとブラシとバケツと拭き掃除の布を持ってきた。
それを全て俺に渡して、物凄くいい笑顔で「よろしくね!」と言って何処かに行ってしまった。
この道具からして、ほうきでゴミを取り除いてブラシで洗って布で拭くのか。
廊下を眺めると、端の壁が全く見えない。
今の時刻は昼過ぎくらい、高速でやらないと間に合わない。
早速バケツに水を入れようと思って水汲み場を探す。
自力で見つけるより、歩いている兵士に聞いた方がいい。
ちょうど歩いていた騎士の1人を見つけて声を掛ける。
「あの、水を汲める場所ってどこにありますか?」
「水?洗面台なら各部屋に一台あるだろ」
「えっと、それ以外は…」
「風呂の水なら大浴場だけど、他は外の訓練場にしかないけど…」
それを聞いて顔がみるみると青ざめるのが分かる。
大浴場の水を勝手に使うのは当然ダメだし、外の訓練場に行かないと水がない。
訓練場の場所を教えてもらい、急いで外に向かった。
初日で失敗するわけにはいかないと、俺の中でプレッシャーになっていく。
急いで訓練している人達の横を通らせてもらい、バケツいっぱいに水を蛇口から汲み廊下に戻った。
しかしまた仕事は始まってすらいない、ここからいかに効率よく終わらせるかが問題だ。
ブラシをバケツの中に突っ込んで、ホウキを取り出す。
小さく深呼吸をして、掃除をする廊下の奥を見つめる。
心の中で「衣食住のため、衣食住のため」と呪文のように繰り返しながらホウキで掃いた。
230
あなたにおすすめの小説
平凡なぼくが男子校でイケメンたちに囲まれています
七瀬
BL
あらすじ
春の空の下、名門私立蒼嶺(そうれい)学園に入学した柊凛音(ひいらぎ りおん)。全寮制男子校という新しい環境で、彼の無自覚な美しさと天然な魅力が、周囲の男たちを次々と虜にしていく——。
政治家や実業家の子息が通う格式高い学園で、凛音は完璧な兄・蒼真(そうま)への憧れを胸に、新たな青春を歩み始める。しかし、彼の純粋で愛らしい存在は、学園の秩序を静かに揺るがしていく。
****
初投稿なので優しい目で見守ってくださると助かります‼️ご指摘などございましたら、気軽にコメントよろしくお願いしますm(_ _)m
普段「はい」しか言わない僕は、そばに人がいると怖いのに、元マスターが迫ってきて弄ばれている
迷路を跳ぶ狐
BL
全105話*六月十一日に完結する予定です。
読んでいただき、エールやお気に入り、しおりなど、ありがとうございました(*≧∀≦*)
魔法の名手が生み出した失敗作と言われていた僕の処分は、ある日突然決まった。これから捨てられる城に置き去りにされるらしい。
ずっと前から廃棄処分は決まっていたし、殺されるかと思っていたのに、そうならなかったのはよかったんだけど、なぜか僕を嫌っていたはずのマスターまでその城に残っている。
それだけならよかったんだけど、ずっとついてくる。たまにちょっと怖い。
それだけならよかったんだけど、なんだか距離が近い気がする。
勘弁してほしい。
僕は、この人と話すのが、ものすごく怖いんだ。
王様お許しください
nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。
気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。
性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
【完結】気が付いたらマッチョなblゲーの主人公になっていた件
白井のわ
BL
雄っぱいが大好きな俺は、気が付いたら大好きなblゲーの主人公になっていた。
最初から好感度MAXのマッチョな攻略対象達に迫られて正直心臓がもちそうもない。
いつも俺を第一に考えてくれる幼なじみ、優しいイケオジの先生、憧れの先輩、皆とのイチャイチャハーレムエンドを目指す俺の学園生活が今始まる。
アイドルのマネージャーになったら
はぴたん
BL
大人気5人組アイドル"Noise"
ひょんな事からそのマネージャーとして働く事になった冴島咲夜(さえじまさくや)。
Noiseのメンバー達がみんなで住む寮に一緒に住むことになり、一日中メンバーの誰かと共にする毎日。
必死にマネージャー業に専念し徐々にメンバーとの仲も深まってきたけど、、仲深まりすぎたかも!?
メンバー5人、だけではなく様々な人を虜にしちゃう総愛され物語。
【本編完結】おもてなしに性接待はアリですか?
チョロケロ
BL
旅人など滅多に来ない超ド田舎な村にモンスターが現れた。慌てふためいた村民たちはギルドに依頼し冒険者を手配した。数日後、村にやって来た冒険者があまりにも男前なので度肝を抜かれる村民たち。
モンスターを討伐するには数日かかるらしい。それまで冒険者はこの村に滞在してくれる。
こんなド田舎な村にわざわざ来てくれた冒険者に感謝し、おもてなしがしたいと思った村民たち。
ワシらに出来ることはなにかないだろうか? と考えた。そこで村民たちは、性接待を思い付いたのだ!性接待を行うのは、村で唯一の若者、ネリル。本当は若いおなごの方がよいのかもしれんが、まあ仕方ないな。などと思いながらすぐに実行に移す。はたして冒険者は村民渾身の性接待を喜んでくれるのだろうか?
※不定期更新です。
※ムーンライトノベルズ様でも投稿しています。
※よろしくお願いします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる