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真夜中の事件
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食事を終えたら部屋を掃除するから風呂は後回しにした。
部屋に戻ってくると、嫌でも現実を突き付けられる。
ガラス片を集めただけで何も変わってはいない。
小さく深呼吸をして、寝床を確保のために掃除を再開した。
謎のダイイングメッセージのような悲痛な床の文字をブラシで擦って掃除した。
それさえないと気持ちが楽になる。
夜に見ると余計に怖いものがあるな、ブラシをバケツに入れると真っ赤な汚れのせいで水が赤くなるから余計に…
殺人事件とか、さすがに兵舎の中では起きてないよな。
カノンさんの深刻そうにこの部屋の話をした顔が脳内から離れない。
でも、一部だけなら掃除も早く終わりそうだ。
床にあるものを布袋に入れれば、布団一枚くらいなら敷くスペースが出来る。
変な事を考えると、些細な事も気になってくる。
たとえば、隣から聞こえる小さな物音とか…
いっぱいになった布袋の口を縄で結んで閉じていた手を止めた。
隣から物音?あれ、隣って確か物置じゃなかったっけ。
誰かが物置に用がある、ただそれだけだ…何でもゆ…うれいだとは思うな。
気にせず掃除をしようと思って、布袋を廊下に出すために部屋を出た。
まとめて明日外の焼却炉に入れるためで、3袋にまでなった。
そういえば布団敷くって思っても、布団がなかった。
物置なら、使っていない布団があるかもしれない。
布団がある事を確認するだけだ、それに誰かいたら安心出来る。
幽霊なんているわけない、掃除で疲れて考えすぎなだけだ。
チラッと開いた扉から物置の中を覗き込む。
そこには木箱が積み重なっていて、布袋も見えた。
しかし、そこには誰の姿もなかった。
見なきゃ人がいると思えたんだ、真実は知らない方が幸せな時がある。
情けない事に、腰が抜けて尻餅を付いてしまった。
「…イルト、そんなところで何してるんだ?」
「…は、え?」
聞き覚えがある声が聞こえて、視界に足が見えた。
上を見上げると、ここに居るはずのないルイスの姿が見えた。
それとも俺の知らないところで兵舎に出入りしていたのかな。
ルイスは私服で袖を捲って木箱を持っていた。
床にずっしりと重い木箱を置いて、俺に手を差し伸ばしていた。
それをしっかりと握り、起き上がる手伝いをしてくれた。
騎士服じゃないから仕事で兵舎を訪れたわけではなさそうだ。
理由はなんであれ、誰かに側にいてほしかったからホッと安堵した。
「こんなところで何をしていたんだ?」
「そ、その物置で音がして」
「あぁ…それは」
ルイスがなにかを言おうとする前に、また大きな物音がしてルイスの服にしがみついた。
後ろの物置を見ても、やはり誰もいなかった。
お祓いとかってこの世界だと教会に行けばいいのかな。
ルイスはそれよりももっと凶悪な魔物を相手にしているからか、動じてはいなかった。
上を見上げてルイスの顔を見ると、俺と目が合いすぐに逸らされた。
顔も少し赤いような気がしたが、気のせいか?
ふと、横を見てここは廊下だと思い出した。
もう夜遅いから廊下をうろついている人はいないが、誰かに見られたらルイスが大変な事になる。
ルイスの立場は、俺とは天と地の差で全然違う。
慌ててルイスから体を離して、頭を下げる。
「ご、ごめん!暑苦しかったよね!」
「いや、暑くはないが…イルトはなにが怖いんだ?」
ルイスには全てお見通しのようで、俺の顔をまっすぐと見つめていた。
彼の前では、嘘も誤魔化しも通用しないと思わせる。
視線を物置の方に向けて「音が聞こえて」と素直に答えた。
ルイスならどんな事でも馬鹿にしたりはしない。
物置の方に振り返り、確認のためにルイスが入っていった。
いくらルイスが強くても、実態のない幽霊相手だったら勝てるか分からない。
俺も布袋を振り回してルイスの手伝いをする事くらいなら出来る。
さっき廊下に置いた布袋を手にして、サンタクロースのように担いだ。
ルイスがなにかを見つけたようで、しゃがんだ。
「空ビンが落ちただけだな」
「そ、そうだったんだ…でも少し前も物音が聞こえて…」
「空ビンうるさかったか?悪かった、俺のせいだ」
ルイスはそう言って、空ビンのガラス片を風の魔術で集めて炎で燃やし尽くして消していた。
便利だな、俺も魔術が使えたらいいけど魔術が使えるのは龍人と魔物だけだ。
しかし、ルイスは今なんて言ったのか考える。
「俺のせい」ってどういう意味なのか、物音の正体はルイス?
物置に用があって探し物をしていたって事か。
とりあえず担いでいた布袋を下ろして、物置の中に入る。
木箱で狭く見えるが、こんなに沢山の木箱を入れられるなら広そうだ。
もしかしたら、俺が今借りている部屋よりも広いかもしれない。
「なるべく音を立てないように掃除をしてきたが無造作に木箱を重ねる奴が多くてな、さっきのように物が落ちてばかりいたんだ」
「掃除?ルイスが掃除してるの?」
「今日からここに住むから、住めるようにな」
部屋に戻ってくると、嫌でも現実を突き付けられる。
ガラス片を集めただけで何も変わってはいない。
小さく深呼吸をして、寝床を確保のために掃除を再開した。
謎のダイイングメッセージのような悲痛な床の文字をブラシで擦って掃除した。
それさえないと気持ちが楽になる。
夜に見ると余計に怖いものがあるな、ブラシをバケツに入れると真っ赤な汚れのせいで水が赤くなるから余計に…
殺人事件とか、さすがに兵舎の中では起きてないよな。
カノンさんの深刻そうにこの部屋の話をした顔が脳内から離れない。
でも、一部だけなら掃除も早く終わりそうだ。
床にあるものを布袋に入れれば、布団一枚くらいなら敷くスペースが出来る。
変な事を考えると、些細な事も気になってくる。
たとえば、隣から聞こえる小さな物音とか…
いっぱいになった布袋の口を縄で結んで閉じていた手を止めた。
隣から物音?あれ、隣って確か物置じゃなかったっけ。
誰かが物置に用がある、ただそれだけだ…何でもゆ…うれいだとは思うな。
気にせず掃除をしようと思って、布袋を廊下に出すために部屋を出た。
まとめて明日外の焼却炉に入れるためで、3袋にまでなった。
そういえば布団敷くって思っても、布団がなかった。
物置なら、使っていない布団があるかもしれない。
布団がある事を確認するだけだ、それに誰かいたら安心出来る。
幽霊なんているわけない、掃除で疲れて考えすぎなだけだ。
チラッと開いた扉から物置の中を覗き込む。
そこには木箱が積み重なっていて、布袋も見えた。
しかし、そこには誰の姿もなかった。
見なきゃ人がいると思えたんだ、真実は知らない方が幸せな時がある。
情けない事に、腰が抜けて尻餅を付いてしまった。
「…イルト、そんなところで何してるんだ?」
「…は、え?」
聞き覚えがある声が聞こえて、視界に足が見えた。
上を見上げると、ここに居るはずのないルイスの姿が見えた。
それとも俺の知らないところで兵舎に出入りしていたのかな。
ルイスは私服で袖を捲って木箱を持っていた。
床にずっしりと重い木箱を置いて、俺に手を差し伸ばしていた。
それをしっかりと握り、起き上がる手伝いをしてくれた。
騎士服じゃないから仕事で兵舎を訪れたわけではなさそうだ。
理由はなんであれ、誰かに側にいてほしかったからホッと安堵した。
「こんなところで何をしていたんだ?」
「そ、その物置で音がして」
「あぁ…それは」
ルイスがなにかを言おうとする前に、また大きな物音がしてルイスの服にしがみついた。
後ろの物置を見ても、やはり誰もいなかった。
お祓いとかってこの世界だと教会に行けばいいのかな。
ルイスはそれよりももっと凶悪な魔物を相手にしているからか、動じてはいなかった。
上を見上げてルイスの顔を見ると、俺と目が合いすぐに逸らされた。
顔も少し赤いような気がしたが、気のせいか?
ふと、横を見てここは廊下だと思い出した。
もう夜遅いから廊下をうろついている人はいないが、誰かに見られたらルイスが大変な事になる。
ルイスの立場は、俺とは天と地の差で全然違う。
慌ててルイスから体を離して、頭を下げる。
「ご、ごめん!暑苦しかったよね!」
「いや、暑くはないが…イルトはなにが怖いんだ?」
ルイスには全てお見通しのようで、俺の顔をまっすぐと見つめていた。
彼の前では、嘘も誤魔化しも通用しないと思わせる。
視線を物置の方に向けて「音が聞こえて」と素直に答えた。
ルイスならどんな事でも馬鹿にしたりはしない。
物置の方に振り返り、確認のためにルイスが入っていった。
いくらルイスが強くても、実態のない幽霊相手だったら勝てるか分からない。
俺も布袋を振り回してルイスの手伝いをする事くらいなら出来る。
さっき廊下に置いた布袋を手にして、サンタクロースのように担いだ。
ルイスがなにかを見つけたようで、しゃがんだ。
「空ビンが落ちただけだな」
「そ、そうだったんだ…でも少し前も物音が聞こえて…」
「空ビンうるさかったか?悪かった、俺のせいだ」
ルイスはそう言って、空ビンのガラス片を風の魔術で集めて炎で燃やし尽くして消していた。
便利だな、俺も魔術が使えたらいいけど魔術が使えるのは龍人と魔物だけだ。
しかし、ルイスは今なんて言ったのか考える。
「俺のせい」ってどういう意味なのか、物音の正体はルイス?
物置に用があって探し物をしていたって事か。
とりあえず担いでいた布袋を下ろして、物置の中に入る。
木箱で狭く見えるが、こんなに沢山の木箱を入れられるなら広そうだ。
もしかしたら、俺が今借りている部屋よりも広いかもしれない。
「なるべく音を立てないように掃除をしてきたが無造作に木箱を重ねる奴が多くてな、さっきのように物が落ちてばかりいたんだ」
「掃除?ルイスが掃除してるの?」
「今日からここに住むから、住めるようにな」
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