悪役令嬢の長所はスタイルだけってあんまりですのよ!

神楽坂ゆい

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「お嬢様。早速ですが、いくつか妙案を考えてまいりました」

 

 レナータの部屋にマリアナがやってきたのは、翌日の朝だった。いつもより鼻息荒く、まるで戦略家のような目つきをしている。

「妙案って……何かしら」

 

 レナータは朝のストレッチをしながら問いかける。マリアナが手に持っているノートには、びっしりと何かが書き込まれているようだ。

「まず一つ目。『学園の美容講習会を開く』。お嬢様のエクササイズやスキンケア方法を、多くの生徒に知ってもらうのです」

 

 そう言ってマリアナは胸を張る。なるほど、レナータの美容法は最近注目を集めつつある。興味を持っている生徒を一気に取り込めれば、“悪役令嬢”のイメージを変える足がかりになるかもしれない。

「でも……そんなことをして、私を妬む人たちが邪魔してこないかしら」

 

 レナータが心配げに聞くと、マリアナはにんまりと笑う。

「だからこそ、あえて公にやるのです。陰でこそこそするよりも、堂々とイベントとして開きます。参加者を増やせば、反対派も迂闊に手を出しにくいでしょう」

 

 レナータはなるほどと頷く。確かに目立つ行動にはリスクもあるが、同時に多くの味方を得られる可能性も高い。

「わかったわ。私の美容法が役立つなら、どんどん広めたいもの。ほかには?」

 

 マリアナはノートをめくり、二つ目の案を示す。

「『アメリア様との共同企画』。実際にアメリア様もお嬢様のやり方に興味をお持ちですし、協力していただければ“悪役令嬢が公爵令嬢をいびる”という噂は真っ向から否定できます」

 

 その案にレナータは瞳を輝かせる。アメリアが味方になってくれれば、世間の目を一気に変える強い証明になるだろう。

「確かに……アメリア様が協力してくれるなら、それだけで大きな意味があるわ。彼女も何とかしたいと思っているみたいだし」

 

 レナータは思い出す。あの純粋な瞳で自分を信じてくれたアメリアの姿を。きっと話を持ちかければ、真っ先に手を貸してくれそうだ。

「とはいえ、お嬢様があまりに直接動くと、妨害される恐れもあります。そこで私たちは綿密に作戦を立てる必要がありますわ」

 

 マリアナの言葉に、レナータは気合いを入れ直す。行動を起こすなら、徹底的に準備をすることが大事だ。

「そうね。しっかり練ってから動きましょう。私、これまで受け身で噂に翻弄されてきたけど、今度は私が周囲を巻き込んで変えていく番だわ」

 

 レナータの瞳には力強い光が宿る。美容の研究で培った自信と、悔しさをバネにした行動力を武器に、彼女は新しい一歩を踏み出そうとしていた。
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