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「セシリア、聞いてくれ。ライナス殿下が正式に謝罪を申し出た」
オスカーが慌ただしく公爵家を訪れ、セシリアにそう告げる。
彼女は母ローザの部屋から出てきたところで、思いもよらない知らせに唇を強く結んだ。
「ライナス殿下が……私に謝罪を?」
「はい。マーガレットの不正がすべて明るみに出て、彼女は王宮への出入りを禁じられたそうだ。殿下も自分が誤った判断を下したことを認めている」
セシリアは胸がかき乱されるのを感じる。
王太子の誤解が解けることは、彼女にとっても大きな意味を持つ。
家門を守るための“悪役”という役目が、ついに不要になるかもしれないのだから。
「オスカー、ありがとう。……これで、私が悪役でいなくても済む……?」
少し震える声でそう呟くセシリアの瞳に、オスカーは優しく微笑む。
「アレクシス殿下が尽力してくれたおかげだ。もちろん、おまえがいままで耐えてきたことも無駄じゃない。父上である公爵も、ようやくおまえの本心を理解し始めているはずだ」
「父様が……私の意志を認めてくれるかしら」
セシリアは不安そうに眉を寄せる。
しかしそのとき、廊下の向こうからテオドール公爵が姿を現した。
その表情は今までにないほど複雑な色を帯びている。
「セシリア。……お前には苦労をかけたな」
「父様……」
驚きと戸惑いが入り混じるセシリアに、テオドールはぎこちなくも優しげな口調で続ける。
「王太子殿下が謝罪を申し出てきた。マーガレットの所業も暴かれた今、ガーネット家が“悪役”を担う必要はなくなったのだ。……お前はもう、好きなように生きなさい」
ずっと厳格で冷たい父だと思っていたが、いまその声には明らかに娘を思う響きがある。
セシリアは思わず涙ぐみそうになるが、必死にこらえる。
「私が悪役でいることで、家門を守れるならと思っていました。でも、もう大丈夫……なのでしょうか」
「確かに、王太子派閥との微妙な均衡を保つために、お前には辛い役を演じさせてしまった。だが、その必要はなくなった。母ローザの病も、少しずつ快方に向かっていると聞く」
セシリアの視界がにじむ。
あれだけ必死に耐えてきた日々が、ようやく報われるのだろうか。
母を救いたい一心で続けてきた“悪役”が、やっと終わるかもしれない。
「父様……ありがとうございます」
「礼を言うのは余のほうだ。お前はよく踏ん張った。……そして、これからはもう少し、お前自身の人生を考えてもいい」
テオドールの声音には、わずかではあるが謝罪の響きも交じっている。
本当なら、父として娘をこんな苦しみから救いたかったのだろう。
セシリアは涙を拭い、深く一礼する。
その姿にオスカーも胸がいっぱいになる。
ようやくセシリアが自由になる道が開けたのだ。
「セシリア、おまえの悪役令嬢の仮面はもう必要ない。……おまえのやりたいことをしろ。それがこの家を守ることにも繋がるはずだ」
テオドールはそう言い残し、踵を返して去っていく。
オスカーはセシリアの肩に手を置き、微笑む。
「よかったな、セシリア。これでおまえは……」
「ええ。でも、まだ終わってないわ。ライナス殿下と、そしてアレクシス殿下にもきちんと向き合わなければ」
セシリアの瞳には、はっきりとした光が宿っている。
悪役を捨て、新しい一歩を踏み出す時が来た。
オスカーが慌ただしく公爵家を訪れ、セシリアにそう告げる。
彼女は母ローザの部屋から出てきたところで、思いもよらない知らせに唇を強く結んだ。
「ライナス殿下が……私に謝罪を?」
「はい。マーガレットの不正がすべて明るみに出て、彼女は王宮への出入りを禁じられたそうだ。殿下も自分が誤った判断を下したことを認めている」
セシリアは胸がかき乱されるのを感じる。
王太子の誤解が解けることは、彼女にとっても大きな意味を持つ。
家門を守るための“悪役”という役目が、ついに不要になるかもしれないのだから。
「オスカー、ありがとう。……これで、私が悪役でいなくても済む……?」
少し震える声でそう呟くセシリアの瞳に、オスカーは優しく微笑む。
「アレクシス殿下が尽力してくれたおかげだ。もちろん、おまえがいままで耐えてきたことも無駄じゃない。父上である公爵も、ようやくおまえの本心を理解し始めているはずだ」
「父様が……私の意志を認めてくれるかしら」
セシリアは不安そうに眉を寄せる。
しかしそのとき、廊下の向こうからテオドール公爵が姿を現した。
その表情は今までにないほど複雑な色を帯びている。
「セシリア。……お前には苦労をかけたな」
「父様……」
驚きと戸惑いが入り混じるセシリアに、テオドールはぎこちなくも優しげな口調で続ける。
「王太子殿下が謝罪を申し出てきた。マーガレットの所業も暴かれた今、ガーネット家が“悪役”を担う必要はなくなったのだ。……お前はもう、好きなように生きなさい」
ずっと厳格で冷たい父だと思っていたが、いまその声には明らかに娘を思う響きがある。
セシリアは思わず涙ぐみそうになるが、必死にこらえる。
「私が悪役でいることで、家門を守れるならと思っていました。でも、もう大丈夫……なのでしょうか」
「確かに、王太子派閥との微妙な均衡を保つために、お前には辛い役を演じさせてしまった。だが、その必要はなくなった。母ローザの病も、少しずつ快方に向かっていると聞く」
セシリアの視界がにじむ。
あれだけ必死に耐えてきた日々が、ようやく報われるのだろうか。
母を救いたい一心で続けてきた“悪役”が、やっと終わるかもしれない。
「父様……ありがとうございます」
「礼を言うのは余のほうだ。お前はよく踏ん張った。……そして、これからはもう少し、お前自身の人生を考えてもいい」
テオドールの声音には、わずかではあるが謝罪の響きも交じっている。
本当なら、父として娘をこんな苦しみから救いたかったのだろう。
セシリアは涙を拭い、深く一礼する。
その姿にオスカーも胸がいっぱいになる。
ようやくセシリアが自由になる道が開けたのだ。
「セシリア、おまえの悪役令嬢の仮面はもう必要ない。……おまえのやりたいことをしろ。それがこの家を守ることにも繋がるはずだ」
テオドールはそう言い残し、踵を返して去っていく。
オスカーはセシリアの肩に手を置き、微笑む。
「よかったな、セシリア。これでおまえは……」
「ええ。でも、まだ終わってないわ。ライナス殿下と、そしてアレクシス殿下にもきちんと向き合わなければ」
セシリアの瞳には、はっきりとした光が宿っている。
悪役を捨て、新しい一歩を踏み出す時が来た。
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