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最終章
第一章:深淵からの脱却、鏡面の浮上
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暗黒の底で、方舟『アーク・ノア』は咆哮を上げていた。スズカとアユが心血を注ぎ、突貫で組み上げた古代の核熱エンジンは、沈みゆく浮島が作り出す巨大な重力渦を強引に振り切り、垂直に上昇を開始した。
外壁を叩く海水は、深度が上がるにつれて重圧を減じ、漆黒から群青へ、そして鮮やかなコバルトブルーへとその色を変えていく。ハッチに額を押し当て、力尽きたように崩れ落ちていたセリーヌは、覗き窓から差し込んできた「光」に目を焼かれた。
次の瞬間、衝撃と共に方舟は海面へと躍り出た。
窓の向こう側に広がっていたのは、鏡のように凪いだ、果てしない銀色の海だった。空には、物語の中でしか語られなかった「太陽」が、傲岸なまでの輝きを放って鎮座している。
「……これが、外の世界か」
操縦席から這い出してきたスズカが、眩しそうに目を細めた。隣には、煤まみれのアユと、衣服をボロボロに汚したビクトルもいた。
セリーヌは震える足で立ち上がり、デッキへと繋がる外部ハッチを自らの手でこじ開けた。流れ込んできたのは、腐敗した金属の匂いではない。塩気を含み、しかしどこまでも清涼な、本物の「風」だった。
「ルーク……見ていろ。お前が守りたかった空だ」
セリーヌは、もはや涙は流さなかった。ただ、その翡翠の海を見つめる瞳には、愛した男を冥府へ置き去りにしてきた者の、峻烈な覚悟が宿っていた。
外壁を叩く海水は、深度が上がるにつれて重圧を減じ、漆黒から群青へ、そして鮮やかなコバルトブルーへとその色を変えていく。ハッチに額を押し当て、力尽きたように崩れ落ちていたセリーヌは、覗き窓から差し込んできた「光」に目を焼かれた。
次の瞬間、衝撃と共に方舟は海面へと躍り出た。
窓の向こう側に広がっていたのは、鏡のように凪いだ、果てしない銀色の海だった。空には、物語の中でしか語られなかった「太陽」が、傲岸なまでの輝きを放って鎮座している。
「……これが、外の世界か」
操縦席から這い出してきたスズカが、眩しそうに目を細めた。隣には、煤まみれのアユと、衣服をボロボロに汚したビクトルもいた。
セリーヌは震える足で立ち上がり、デッキへと繋がる外部ハッチを自らの手でこじ開けた。流れ込んできたのは、腐敗した金属の匂いではない。塩気を含み、しかしどこまでも清涼な、本物の「風」だった。
「ルーク……見ていろ。お前が守りたかった空だ」
セリーヌは、もはや涙は流さなかった。ただ、その翡翠の海を見つめる瞳には、愛した男を冥府へ置き去りにしてきた者の、峻烈な覚悟が宿っていた。
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