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第二章:人魚の肉
(4)そして腹の中に
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「で、あれからどうだ」
そう切り出したのは電話口での藤崎だった。
「昨日は、すみませんでした……」
新也は兎にも角にも謝った。
先日の、人魚の店での醜態のことである。
新也は記憶にないのだが、席の途中で倒れてしまったらしい。なにか、肉を口に含んだのは覚えている。意識のなくなった新也は藤崎の方へ倒れ込み、どうも寝てしまったようで、寝息を立てていた。そんな新也を、藤崎は料理を途中にタクシーで家まで送ってくれたと言うのだ。
酒のせいだろうと店主も言い、藤崎は何度も詫びを口にする新也を許してくれた。
「それで、せんぱ……藤崎さん」
「なんだ」
「その、体調とか……悪いところはないですか?」
心配はそこだ。
意識のなくなる寸前まで、やんややんやと囃し立てる店の連中……見えない何かの声を新也は聞いていた。あれらが何者にせよ、人魚を口にした2人を笑っていたことには違いない。
「悪いところはないけど……あれか。気にしてんのか、人魚を」
電話の向こうでニヤリと笑う藤崎が見えるようだった。
新也はむっとして言い返す。
「心配して悪いですかね。先輩には何も感じられないようだからあれですけど、あの店は絶対おかしいですよ」
新也はムキになって言い返した。が、よく考えれば藤崎をすごく心配していると言うようで恥ずかしかった。咳払いをしてごまかす。
「兎に角ですね、体調は悪くないんですね?」
早口で新也は訊ねた。
「悪くないどころか絶好調だね」
へっと藤崎が笑う。
「なら良かったです……けど」
「大丈夫だろ。人魚の肉ってあれだろ。不老不死になるっていう」
「ですよね……」
「なら、良いじゃないか。病気になるもんでなし」
また行こうと、気軽に藤崎は新也に言う。
絶対行きませんからね、と反論しかけた新也と藤崎の半年後の健康診断の結果が、オールAだということは2人はまだ知る由もなかった。
【end】
そう切り出したのは電話口での藤崎だった。
「昨日は、すみませんでした……」
新也は兎にも角にも謝った。
先日の、人魚の店での醜態のことである。
新也は記憶にないのだが、席の途中で倒れてしまったらしい。なにか、肉を口に含んだのは覚えている。意識のなくなった新也は藤崎の方へ倒れ込み、どうも寝てしまったようで、寝息を立てていた。そんな新也を、藤崎は料理を途中にタクシーで家まで送ってくれたと言うのだ。
酒のせいだろうと店主も言い、藤崎は何度も詫びを口にする新也を許してくれた。
「それで、せんぱ……藤崎さん」
「なんだ」
「その、体調とか……悪いところはないですか?」
心配はそこだ。
意識のなくなる寸前まで、やんややんやと囃し立てる店の連中……見えない何かの声を新也は聞いていた。あれらが何者にせよ、人魚を口にした2人を笑っていたことには違いない。
「悪いところはないけど……あれか。気にしてんのか、人魚を」
電話の向こうでニヤリと笑う藤崎が見えるようだった。
新也はむっとして言い返す。
「心配して悪いですかね。先輩には何も感じられないようだからあれですけど、あの店は絶対おかしいですよ」
新也はムキになって言い返した。が、よく考えれば藤崎をすごく心配していると言うようで恥ずかしかった。咳払いをしてごまかす。
「兎に角ですね、体調は悪くないんですね?」
早口で新也は訊ねた。
「悪くないどころか絶好調だね」
へっと藤崎が笑う。
「なら良かったです……けど」
「大丈夫だろ。人魚の肉ってあれだろ。不老不死になるっていう」
「ですよね……」
「なら、良いじゃないか。病気になるもんでなし」
また行こうと、気軽に藤崎は新也に言う。
絶対行きませんからね、と反論しかけた新也と藤崎の半年後の健康診断の結果が、オールAだということは2人はまだ知る由もなかった。
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