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28.どうして……?
「こうして、俺とノルンは勇者と聖女になったんだ」
俺がノルンとの運命の出会いを語り終えると、ガリアードはどこか困惑した表情で俺に言った。
「俺の知ってる一般的な聖女の姿と違いすぎる……。伝承やらおとぎ話に出てくる聖女はもっと、こう……」
「ノルンは優秀な聖女だからな。作り物の聖女なんかと比べて欲しくない」
俺が奴の言葉を遮ってそう言うと、ガリアードは口元を引きつらせながら、お、おう、と曖昧な返事を俺に返した。
「でもライの言うとうり、あの子の聖女としての能力は本物よ?ガリアもそれは認めてるでしょ?」
レイリィのその言葉にガリアードは素直に頷く。
「……そうだったな。確かにノルンにはかなり助けられた」
ノルンが聖女として覚醒し、勇者と聖女が揃った事で、すぐにまた悪魔達がどこからともなく現れ、襲いかかってきた事を思い出す。
ノルンが聖女になった翌日、最初に倒した悪魔とほぼ同格の悪魔が十数匹、ラギアン王国の街中に突如飛来して、無差別に破壊を始めたのだ。
丁度王宮へ向かう途中だった俺達はすぐに対処に当たった。
悪魔との初陣で、ノルンは逃げ惑う人々を得意の防御陣を使いこなし、誰一人死なせる事なく守り抜いた。
そして悪魔達を俺がすべて斬り捨てると、ボロボロに傷付いた兵士が悪魔達を倒した俺達の元へ駆け寄ってきた。
兵士は悪魔達に襲われているガリアス帝国から、ラギアン王国に救援要請に来た帝国兵だった。
すぐに俺達は王様へ報告し、レイリィを含めた何人かの手練の騎士達と共に、王家の所有する飛空船に乗り、隣国であるガリアス帝国に悪魔討伐に向かったのだった。
ーーそこで俺達は皇帝であるガリアードと出会い、ラギアン王国とガリアス帝国の支援を受けながら、悪魔達をすべて倒し平和を取り戻す為、世界中を旅する事になる。
「ノルンのおかげで、傷付いた民も兵達も皆、命が助かったしな。ノルンには感謝してるさ」
ガリアードのその言葉にノルンが徹夜で、傷付いた人々を回復魔法で助けて回ったのを思い出す。
誰に頼まれたわけでも、命令されたわけでもない。
悪魔に襲われ傷付いた人々をノルンは、自分から率先して癒やして回ったんだ。
両親が死にかけて泣いてる子供に優しく語りかけながら、懸命に治療を施し救おうとするその姿は、誰が何と言おうと本物の聖女だった。
ノルンは誰かが困っていると必ず手を差し伸べる、心の優しい子なんだ。
そこに打算も何もない。
手を伸ばす事で誰かを救えるのなら、ノルンは必ずその小さな手を差し出してきた。
彼女は人々に手を差し伸べ、皆を笑顔にしてくれる。
そんな彼女だからこそ、俺は……。
明日になったら、ノルンに会いに行こう。
一刻も早く、俺のこの想いを彼女に伝えたい。
そう心に決めた俺に、一人の男が大声で叫んだ。
「見つけたぞ勇者ああああっ!!貴様うちの娘に何をしたあああっ!!」
俺が振り返ると、ノルンの父親が剣を俺に向けて突撃してきた。
俺が振り下ろされた剣を真剣白刃取りで受け止め、興奮した様子のノルンの父親に尋ねる。
「ノルンのお父さん!!いきなり何をするんですか!?」
「貴様にお父さん呼ばわりされる覚えはないわ!!うちの娘を泣かせるとはどういう了見だ!!かわいそうに散々泣きはらして、修道院に行くなんて言い出したんだぞ!!」
「……えっ!?」
今、なんて言った?ノルンが修道院に……?
「フォルシオン卿、落ち着きなさい!!民を守るべき王国の聖騎士が無関係の人々が大勢いる場所で、丸腰の相手に剣を向けるとは何事ですか!!この国の姫として命じます!!今すぐ剣を収めなさい!!」
レイリィが凛とした態度でそう告げると、ノルンの父親は渋々とレイリィに従う。
ノルンの父親に殺意の籠もった視線を向けられながら、俺は呆然と呟いた。
「ノルンが修道院に……行くだって……?なんで、そんな事に……?」
それはノルンが俺の前からいなくなり、その身を一生、神に捧げて生きていくと言う事だ……。
「ノルン……。どうして……?」
俺は愛しい彼女の悲しそうな顔を思い浮かべ、その場に立ち尽くすのだった……。
俺がノルンとの運命の出会いを語り終えると、ガリアードはどこか困惑した表情で俺に言った。
「俺の知ってる一般的な聖女の姿と違いすぎる……。伝承やらおとぎ話に出てくる聖女はもっと、こう……」
「ノルンは優秀な聖女だからな。作り物の聖女なんかと比べて欲しくない」
俺が奴の言葉を遮ってそう言うと、ガリアードは口元を引きつらせながら、お、おう、と曖昧な返事を俺に返した。
「でもライの言うとうり、あの子の聖女としての能力は本物よ?ガリアもそれは認めてるでしょ?」
レイリィのその言葉にガリアードは素直に頷く。
「……そうだったな。確かにノルンにはかなり助けられた」
ノルンが聖女として覚醒し、勇者と聖女が揃った事で、すぐにまた悪魔達がどこからともなく現れ、襲いかかってきた事を思い出す。
ノルンが聖女になった翌日、最初に倒した悪魔とほぼ同格の悪魔が十数匹、ラギアン王国の街中に突如飛来して、無差別に破壊を始めたのだ。
丁度王宮へ向かう途中だった俺達はすぐに対処に当たった。
悪魔との初陣で、ノルンは逃げ惑う人々を得意の防御陣を使いこなし、誰一人死なせる事なく守り抜いた。
そして悪魔達を俺がすべて斬り捨てると、ボロボロに傷付いた兵士が悪魔達を倒した俺達の元へ駆け寄ってきた。
兵士は悪魔達に襲われているガリアス帝国から、ラギアン王国に救援要請に来た帝国兵だった。
すぐに俺達は王様へ報告し、レイリィを含めた何人かの手練の騎士達と共に、王家の所有する飛空船に乗り、隣国であるガリアス帝国に悪魔討伐に向かったのだった。
ーーそこで俺達は皇帝であるガリアードと出会い、ラギアン王国とガリアス帝国の支援を受けながら、悪魔達をすべて倒し平和を取り戻す為、世界中を旅する事になる。
「ノルンのおかげで、傷付いた民も兵達も皆、命が助かったしな。ノルンには感謝してるさ」
ガリアードのその言葉にノルンが徹夜で、傷付いた人々を回復魔法で助けて回ったのを思い出す。
誰に頼まれたわけでも、命令されたわけでもない。
悪魔に襲われ傷付いた人々をノルンは、自分から率先して癒やして回ったんだ。
両親が死にかけて泣いてる子供に優しく語りかけながら、懸命に治療を施し救おうとするその姿は、誰が何と言おうと本物の聖女だった。
ノルンは誰かが困っていると必ず手を差し伸べる、心の優しい子なんだ。
そこに打算も何もない。
手を伸ばす事で誰かを救えるのなら、ノルンは必ずその小さな手を差し出してきた。
彼女は人々に手を差し伸べ、皆を笑顔にしてくれる。
そんな彼女だからこそ、俺は……。
明日になったら、ノルンに会いに行こう。
一刻も早く、俺のこの想いを彼女に伝えたい。
そう心に決めた俺に、一人の男が大声で叫んだ。
「見つけたぞ勇者ああああっ!!貴様うちの娘に何をしたあああっ!!」
俺が振り返ると、ノルンの父親が剣を俺に向けて突撃してきた。
俺が振り下ろされた剣を真剣白刃取りで受け止め、興奮した様子のノルンの父親に尋ねる。
「ノルンのお父さん!!いきなり何をするんですか!?」
「貴様にお父さん呼ばわりされる覚えはないわ!!うちの娘を泣かせるとはどういう了見だ!!かわいそうに散々泣きはらして、修道院に行くなんて言い出したんだぞ!!」
「……えっ!?」
今、なんて言った?ノルンが修道院に……?
「フォルシオン卿、落ち着きなさい!!民を守るべき王国の聖騎士が無関係の人々が大勢いる場所で、丸腰の相手に剣を向けるとは何事ですか!!この国の姫として命じます!!今すぐ剣を収めなさい!!」
レイリィが凛とした態度でそう告げると、ノルンの父親は渋々とレイリィに従う。
ノルンの父親に殺意の籠もった視線を向けられながら、俺は呆然と呟いた。
「ノルンが修道院に……行くだって……?なんで、そんな事に……?」
それはノルンが俺の前からいなくなり、その身を一生、神に捧げて生きていくと言う事だ……。
「ノルン……。どうして……?」
俺は愛しい彼女の悲しそうな顔を思い浮かべ、その場に立ち尽くすのだった……。
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