破天荒聖女ノルン・フォルシオンが征く!!

マギレ公

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聖女と努力のお姫様

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 「シルフィアーナ様。どうしてこちらに?」
 「ん?私はいつもここで鍛錬しているんだ」
 「そうでしたか。もしかして毎日ですか?」
 「うむ。登校前の早朝と昼休憩と放課後は大抵ここに来ているぞ」

 ノルンの問いにシルフィアーナ姫はそう答えました。
 それでいつも昼休憩や放課後すぐに教室を出ていくのですね。

 「ところでそちらの二人は?」
 「私の妹達です」
 「ああ、この学園の伝統だったか。姉妹星だか、なんとかの」
 「プレデアスです」
 「なるほど。もう二人も妹がいるとはさすがだな」
 「いえ、そんな事は…」
 「私は聖女殿と同じクラスのシルフィアーナ・ステラ・レガウスだ。以後よろしく頼む」

 気さくにそう自己紹介するシルフィアーナ姫にリィナさんとアイラさんは慌ててご挨拶します。

 「リ、リィナ・シューベルと申します。ご挨拶が遅れて申し訳ございません」
 「はじめまして、シルフィアーナ王女殿下。アイラ・レイガンと申します」
 「うむ。よろしくな。二人とも」
 「「は、はい」」

 二人がそう返事をすると、シルフィアーナ姫はノルンに視線を戻して尋ねます。

 「それで聖女殿達はどうしてここに?」
 「来週の戦技実習に備えて、リィナさんの黒魔法がどの位のレベルなのかを確認に来ました」
 「なるほど。聖女殿は神聖魔法の使い手とは言え、邪神討伐の旅で勇者殿やレイリィ王女等様々な強者をその目で見てきた訳だしな。アドバイザーとしては適任だな」
 「いえ。私などそこまででは。ただ、この子達は姉妹の契りを交わした大切な妹ですから。私に出来る範囲で助けになってあげたいと思いまして」
 「なるほどなるほど。……ところで聖女殿。折り入って頼みがあるのだが」
 「なんでしょうか?」
 「少し私の剣を見てもらえないだろうか」
 「私がですか?生憎、剣技に関しては素人同然ですが……」

 聖女に剣技を見せても仕方ないと私も思いますが……。
 シルフィアーナ姫はそれでも食い下がってきました。

 「実は私には師がいないんだ。一人で剣術指南書を読んで、基本を練習してるだけで……。だから、勇者殿やレイリィ王女、ガリアード皇帝陛下といった強者と旅をして共に戦ってきた聖女殿に一度見てもらいたい。このとうりだ。頼む」

 そう言ってシルフィアーナ姫は頭を下げました。

 「シルフィアーナ様!!顔を上げてください!!私などでよろしければ、シルフィアーナ様の剣技を見させていただきますから!!」

 ノルンが慌ててそう言うと、シルフィアーナ姫は顔を上げてぱあっと表情をほころばせました。

 「そうか!!恩に着るぞ聖女殿!!」

 「それでは、まずシルフィアーナ様の剣技を見させていただきます」
 「うむ。ではいくぞ。はあっ!!たあっ!!」

 両手に構えた剣を振り下ろし、剣舞を披露するシルフィアーナ姫。
 思ったよりも綺麗な型で、剣撃の速さも中々の物です。
 しかし、剣を振るたびに速度が落ちていき、やがて剣がシルフィアーナ姫の手から離れて飛んでいきました。

 「はあ、はあ……。ど、どうだろうか……?」
 「……最初の斬撃はお見事でした。ただ、剣を振るたびにどんどん型が崩れていきましたね……。まるで剣の重さに振り回されているような……。失礼ですが、シルフィアーナ様の使っておられる剣はシルフィアーナ様には合ってないのでは?」
 「……聖女殿にはお見通しか。あの剣は城の兵士達が使う訓練用の鉄の剣なんだ」
 「やはり……。どうして、ご自身に合う剣を使われないのですか?あの剣は重さも長さも姫に合ってませんよ?」
 「……実は両親に剣を持つ事を良く思われてないんだ」

 シルフィアーナ姫はうつむきながら、ノルンにそう答えるのでした。

 「私の家系は皆、先祖代々黒魔法の使い手だった。父も母も兄も姉も妹もみんな優秀な黒魔法の使い手だ。なのに、私だけが黒魔法を使えない……。民を導き、有事の際は先陣を切るべき王家の一員が、何も出来ない無能で良いはずがない…。だから、せめて剣技を身に着けようと思ってな……。あの剣もこっそり兵舎から持ち出してきた物なんだ……」
 「……シルフィアーナ様!!」

 ノルンが目をキラキラさせながら、うつむくシルフィアーナ姫の手を両手で包み込み言いました。

 「ご立派です!!私、感動いたしました!!」
 「せ、聖女殿……?」
 「己に足りない物を他の事で補おうと努力するそのお姿!!とても素敵だと思います!!」
 「あ、うん……」
 「私、ぜひシルフィアーナ様のお力になりたいとそう思いました!!この不肖ノルン・フォルシオンにすべてお任せください!!」
 「あ、ああ……。ありがとう……」

 どうやら、シルフィアーナ姫の努力する姿がヒーローオタクとしてのノルンのツボにハマったようです。

 『リライザ、リライザ!!自分に足りない力を別の力で補おうと努力するこの姿勢!!まるでブレイブピンクみたい!!』
 『はあ。ブレイブピンク、ですか?』
 『うん。最初は泣き虫で弱っちくて、ブレイブブルーにお荷物扱いされてたんだけど、努力して自分にあった戦い方を見つけて、ブルーに背中を任せられる相棒として認められたの!!シルフィアーナ姫ってブレイブピンクみたい!!よーし!!ぼくがリィちゃんとシルフィアーナ姫を強くしてあげようっと!!』

 ノルンは私に向かって高らかにそう宣言するのでした……。
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