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  翌日ライディン王国の王宮の庭園では、華やかなお茶会が開かれていた
  エルバルトがリーザロッテを連れて国に帰って来た事を耳にした王妃様が張り切ったのだった
  
  「やっぱりエルバルトも、面食いなのねぇ」

  「なっ、何を言っているのですか。母上」

  セレスティアやアイリスに囲まれて、穏やかに微笑むリーザロッテを見ながら王妃が呟くと、それを聞いたエルバルトが真っ赤になって狼狽える

  「母上。エルバルトはまだ何もリーザロッテ嬢に伝えてないのですから、揶揄ったら可哀想ですよ」

  吹き出しそうになりながらエルバルトを王太子が庇うと

  「何も?何も言っていないの?本当なの?エルバルト」

  王妃は、息子が王宮に令嬢を連れ帰って来たという事は、そういう事なのだと思っていたのだ
  今まで、全くそういう方面に興味を向けることがなく、王太子とリドウィンの婚約者であるセレスティアとアイリス以外の令嬢との交流はおろか、会話すらまともにしない息子が、他国から令嬢を連れてきたのだから、そういう事なのだと確信していたのに

  「いやっ、そんなつもりは·····というか、リーザロッテ嬢は酷い状況で婚約破棄されて、傷ついているのです。そんな時に·····」

  必死に反論するエルバルトを王妃は遮って

  「そんな時に? そのすぐ後だろうと、次の日だろうと、一週間後だろうと1ヶ月後だろうと、同じ事よ」

  「急に言われても困るでしょう。彼女も」

  「自信がないのかしら?全く、あれだけの令嬢ですもの、シストラ王国の王太子との婚約破棄を知った他国の王族や貴族も放っておかないでしょうねぇ。あの国のアレに関しては既に各国に周知されてるもの。婚約破棄で彼女に瑕疵はつかないものね」

  呆れた顔をしながら息子を追い込む王妃に王太子は苦笑いしながら、さり気なくエルバルトの背中を押すようにフォローした

  「エルバルトが頑張れば、リーザロッテ嬢やリンドル公爵領を我が国で護りやすくなるなぁ。アレの顛末を考えれば、あの自称聖女の男爵令嬢がリーザロッテ嬢をこのままにしておくとは考えづらいだろうな」

  今までの婚約破棄劇があった国で捕らえられたヒロインを名乗る令嬢が、悪役令嬢といわれる元婚約者の令嬢に対して、処刑や拷問などといった極刑を下される事に固執している事が分かっている
  おそらく今回のルルアも同様だと思っていいだろう

  「·····っ、失礼します」

  王妃と王太子に頭を下げると、エルバルトが急いでリーザロッテのもとに走っていった

  満足気に口元を緩めた王妃が

  「全く、誰に似たのかしらねぇ」 

  ポツリと呟いた王妃に

   「父上ですよ」

  と王太子は呟き返した 
   
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