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リーザロッテと辺境伯令嬢エミリアは数ヶ月振りに再会して、お互いに無事に会えた事を喜びあった
リーザロッテは自分だけエルバルト達に助けてもらったことを心苦しく思っていたが、エミリアはリーザロッテを一人学園に残して領に帰っていた事を申し訳なかったと謝った
「謝らないでくださいませ。わたくしはエルバルト殿下方に助けていただきましたもの。エミリア様こそ、マーノ様とは·····」
「マーノ様とは婚約破棄されましたわ。破棄するという旨の書状が届きました。国王陛下の了承も出ていると」
「まあ··········書状一つで婚約破棄を」
「ええ、ミンス男爵令嬢を虐めたと。虐められた男爵令嬢は恐ろしくて泣いているんだぞ、と言うような罵詈雑言の手紙と共に」
「ルルア様を虐めなど·····マーノ様はエミリア様が辺境伯領に帰っていらっしゃた事を知らなかったのかしら」
「さあ?帰る前に伝えましたのよ。ミンス男爵令嬢とは入れ替わりで、二日程顔を合わせた程度で全く関わりもなかったのですけれどね」
「わたくしは、助けていただくばかりで何も出来ませんでしたわ。エミリア様の事も、何も出来ませんでしたの·····マーノ様にもしっかりと忠告しなければならない立場でしたのに」
俯くリーザロッテの手をエミリアが握り締めて
「マーノ様が、リーザロッテ様にどんな事をしたのか、サイラー様とロットナー様から聞きましたの。騎士を目指す者が力なき女性に·····許されない事ですわ。ですから、婚約破棄されてかえって良かったと思っていますわ」
自身も辺境伯令嬢として剣の訓練をしてきたエミリアはさっぱりとした顔でキッパリと言い切った
リーザロッテはあの時の恐怖が蘇ったが、それを顔に出してしまうとエミリアが気に病む事になると思い平然とした顔で
「エミリア様が気になさっていないのでしたら、良かったわ確かにあのままマーノ様と婚約を続けていてはエミリア様も危険でしたもの」
そう、エミリアがあの場にいなくて書状一枚で婚約破棄が済んで良かったのだ
「こうしてリーザロッテ様とも再会出来ましたし、エルバルト第二王子殿下との婚約をお祝いする事が出来て良かったですわ。おめでとうございますリーザロッテ様」
「ありがとうございます」
祝福を述べるエミリアにリーザロッテは顔をほんのりと染めてお礼を述べた
「美しい国ですわね。馬車から見えた王都も素敵でしたわ。領に戻る前に一度王都を見学出来れば嬉しいのですけれど」
「わたくしもまだ王都には出た事がありませんの。一度一緒に出掛ける事は可能かエルバルト殿下にお伺いしてみますわ」
王都に出てみたいなどと言っては我儘だろうかと不安になりながらも、嫁ぐ事になる国を見てみたいとの気持ちもあり、久しぶりの友人と約束を交わして部屋に戻ったリーザロッテは、訪ねてきたエルバルトに聞いてみた
「エミリア様と、一度王都に出掛けてみたいとお話ししていたのですけれど、いけませんでしょうか」
「辺境伯令嬢と?」
「はい」
リーザロッテの顔をジッと見つめていたエルバルトはリーザロッテの手を取って握り締めて
「リーザロッテはまだ一度も王都に出てなかったね。うん、いいよ。その代わり、俺も一緒に行くけど、良いかな?」
「エルバルト様もご一緒してくださるのですか。勿論、嬉しいですわ」
大輪の花が咲いたような笑みを浮かべたリーザロッテに、握っていた手を更に握り締めて、『暴走してはいけない。暴走してはいけない』何度も口の中でブツブツと繰り返すと
「では予定を立てるから、少しだけ待ってて」
そう言って握り締めた手を口元に近づけると、そっと唇を落とした
リーザロッテは自分だけエルバルト達に助けてもらったことを心苦しく思っていたが、エミリアはリーザロッテを一人学園に残して領に帰っていた事を申し訳なかったと謝った
「謝らないでくださいませ。わたくしはエルバルト殿下方に助けていただきましたもの。エミリア様こそ、マーノ様とは·····」
「マーノ様とは婚約破棄されましたわ。破棄するという旨の書状が届きました。国王陛下の了承も出ていると」
「まあ··········書状一つで婚約破棄を」
「ええ、ミンス男爵令嬢を虐めたと。虐められた男爵令嬢は恐ろしくて泣いているんだぞ、と言うような罵詈雑言の手紙と共に」
「ルルア様を虐めなど·····マーノ様はエミリア様が辺境伯領に帰っていらっしゃた事を知らなかったのかしら」
「さあ?帰る前に伝えましたのよ。ミンス男爵令嬢とは入れ替わりで、二日程顔を合わせた程度で全く関わりもなかったのですけれどね」
「わたくしは、助けていただくばかりで何も出来ませんでしたわ。エミリア様の事も、何も出来ませんでしたの·····マーノ様にもしっかりと忠告しなければならない立場でしたのに」
俯くリーザロッテの手をエミリアが握り締めて
「マーノ様が、リーザロッテ様にどんな事をしたのか、サイラー様とロットナー様から聞きましたの。騎士を目指す者が力なき女性に·····許されない事ですわ。ですから、婚約破棄されてかえって良かったと思っていますわ」
自身も辺境伯令嬢として剣の訓練をしてきたエミリアはさっぱりとした顔でキッパリと言い切った
リーザロッテはあの時の恐怖が蘇ったが、それを顔に出してしまうとエミリアが気に病む事になると思い平然とした顔で
「エミリア様が気になさっていないのでしたら、良かったわ確かにあのままマーノ様と婚約を続けていてはエミリア様も危険でしたもの」
そう、エミリアがあの場にいなくて書状一枚で婚約破棄が済んで良かったのだ
「こうしてリーザロッテ様とも再会出来ましたし、エルバルト第二王子殿下との婚約をお祝いする事が出来て良かったですわ。おめでとうございますリーザロッテ様」
「ありがとうございます」
祝福を述べるエミリアにリーザロッテは顔をほんのりと染めてお礼を述べた
「美しい国ですわね。馬車から見えた王都も素敵でしたわ。領に戻る前に一度王都を見学出来れば嬉しいのですけれど」
「わたくしもまだ王都には出た事がありませんの。一度一緒に出掛ける事は可能かエルバルト殿下にお伺いしてみますわ」
王都に出てみたいなどと言っては我儘だろうかと不安になりながらも、嫁ぐ事になる国を見てみたいとの気持ちもあり、久しぶりの友人と約束を交わして部屋に戻ったリーザロッテは、訪ねてきたエルバルトに聞いてみた
「エミリア様と、一度王都に出掛けてみたいとお話ししていたのですけれど、いけませんでしょうか」
「辺境伯令嬢と?」
「はい」
リーザロッテの顔をジッと見つめていたエルバルトはリーザロッテの手を取って握り締めて
「リーザロッテはまだ一度も王都に出てなかったね。うん、いいよ。その代わり、俺も一緒に行くけど、良いかな?」
「エルバルト様もご一緒してくださるのですか。勿論、嬉しいですわ」
大輪の花が咲いたような笑みを浮かべたリーザロッテに、握っていた手を更に握り締めて、『暴走してはいけない。暴走してはいけない』何度も口の中でブツブツと繰り返すと
「では予定を立てるから、少しだけ待ってて」
そう言って握り締めた手を口元に近づけると、そっと唇を落とした
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