教師と生徒とアイツと俺と

本宮瑚子

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26. 変化

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    生徒達のいない春休みでも教師には何かとやる事が多い。
 そんな忙しい日々はあっという間に過ぎ去り、そして、始業式はやって来た。

 受け持ったクラスで、担任として初めて教壇に立つ俺に向けられるのは、大方が温かい目だ。その眼差しに心底ホッとし、この大事な一年を少しでも良い年にしてやりたいと、柄にもなく普通の教師らしいことを思う。

「先ずは席替え! 好きなとこ座っていいぞ!」

 出席簿順で並んで座っていた生徒達を促し、好き勝手な席に着かせてみる。
 本当なら、出席簿順の方が顔も名前も覚えられるから楽でいいし俺にとっては有難い。
 だが、お互い知らない奴も多いのか、大人しいと感じる生徒達。早くこのクラスに馴染ませるためにも、席替えをした方が良いと考えての事だった。
 知っている顔が近くにいるだけで、今まで黙っていた奴も急に喋れるようになったりするもんだ。
 しかし、忘れていた。このクラスには、扱いづらいかも、と思わせる二人がいたということを。
 二人とも、自ら進んで他の奴等に関わろうとするタイプではない。案の定。一人が廊下側の一番後ろに一人で座り、もう一人は窓際の一番後ろの席を陣取った。やはり誰とも机を並べず、それぞれ一人で座っている。
 要注意と勝手に認識付けした二人の生徒に、俺は無意識の内に目を向けてしまう。
 そのせいか、この二人と良く目が合う気がする。しかも、温かい目じゃない。
 多くの温かい目があるその後方から、冷めた視線をビシバシと無遠慮に突き刺してくる。

 こいつら二人だけは、真ん中辺りに放り込んで、明るい奴等に囲ませてしまえば良かったか? うん、今度はそうしよう!

 そう心に決めた初日は、二人の冷たい視線さえ上手くかわせば、他に問題もなく無事終わることが出来た。





「確か、扱いづらい生徒が二人いるって言ってたよね?」

 帰って来るなり向けられた第一声がこれ。お帰りとは言ってくれないらしい。

「……そんなこと言ったっけ?」
「言った。で、誰? 一人は何となく分かったけど、もう一人が誰だか見当もつかない」
「自分の事って分かんないもんなんだな」

 教室に引き続き、家でも奈央の冷たい視線を浴びる。それに加えて深い溜息まで吐かれる始末だ。

「何で敬介が担任なのよ」

 そう。俺は、奈央のいる3-Eの担任となった。

「俺だってまさか、二年目で三年受け持つとは思わなかったよ。それより、一番後ろで誰にも見られてねぇからって、そんな視線を俺に飛ばしてくんな」
「どんな目よ」
「その凶器になりそうな危険な目だ」

 素直に答えた俺に飛んできたのは、顔面めがけて投げつけられたクッションだった。

「副担はあんなんだし。まぁ、誰が担任でも副担でもいいけど、くれぐれも問題だけは起こさないようにね」

 どちらが教師だか分からない科白を吐き、奈央はシャワーを浴びに行ってしまった。

 ペーペーの俺を助けてくれる筈の副担はベテラン先生。でもそれは、年を重ねているだけであって、俺が言うのもおかしな話だが、果たしてやる気があるのかないのか、些かの不安が募る。
 そんな俺を見透かしたように、「私がフォローするから」と言ってくれたのは、今年から学年主任となった福島先生だ。この福島先生こそが、奈央を俺のクラスにと強く推したらしい人物である事は、後から知った。
 誰もが自分のクラスに欲しかったらしい奈央の存在。それとは反対に、教師に手を焼かせる事で有名な奴が、うちの教室の廊下側の最後部に一人で座る、林田だ。
 柏木の件もあったし、根っから悪い奴だとは思わないが、何しろまだまともに話したことがない。先ずは、口をきいて貰わねば。これが当分の課題となりそうだ。
    しかし、数週間経ってもまだ、林田とのコミュニケーションは図れないでいた。

「林田、おはよう!」
「………」

 遅刻した事を責めない、心の広い担任をあっさり無視。
 ある時は、

「調子はどうだ?」

 昼休みに一人でいる林田を見つけて声を掛けてみても「……別に」と、素っ気ない。
 それでも、声を出してくれた事に

「おっ、喋った!」

 嬉しくて思わず口に出せば『うぜぇ』とばかりに睨まれた。
 何度も会話を成り立たせようと試み続けるうちに、俺が近付くだけで眉を顰ひそめるようになった林田。

 そんなに嫌なら口をきけ!口をッ!

「若いと思って油断すんなよー! んな顔してると、シワ取れなくなんぞー!」
「………」

 こうなりゃ意地だ。とことん構い倒してやる。悪いが、冷たくされる事には免疫出来てんだよ。小悪魔のお蔭で!

 それに林田は、嫌な顔はしても必ず教室には姿を見せる。多少の遅刻はあっても一度も欠席はせず、それが救いでもあった。
 ただ、一つだけ。何となく心配に思うことがある。
 それは時折、廊下側と窓際側で交わる視線。教室の最後列で静かにぶつかり合う視線は、別に睨みあってる訳ではないが、柏木を自宅に送ったあの雨の日のように、林田が奈央をひたすら見ている。それに気付くと奈央は、冷めた目で見返し、今度はまるで相手にしないと言わんばかりに、視線をわざとらしく外す。そんな二人を、もう何度となく目にしていた。

「奈央ってさ、林田と仲悪い?」

 俺の部屋でまったり過ごしていた時。思い切って奈央にぶつけてみたが

「………別に」

 素っ気ない林田と同じ科白を返される。

「ねぇ、そんな事よりさ」

 二人の関係が何も分からぬまま、奈央は違う話を切り出してきた。

「どうした?」
「夕飯、これからは毎日私が作るから」
「……ん?」

 奈央が作ったり俺が作ったり。殆ど毎日のように、二人一緒に夕飯を摂ってきた俺達。
 でもここに来て、忙しくなり帰りが遅くなることもあった俺は、奈央を待たせたくなくて、別々に食事を摂る日が幾度かあった。

「慣れない事させられてるからじゃないの?」
「何がだ?」
「最近の敬介、疲れてるように見える」

 意外な奈央からの言葉。
 確かに疲れている。林田の事だけじゃなく、三年と言う大事な一年を預かったせいか、嫌でも生徒達と向き合う日が続く。
 でも不思議なことに疲れはしても、それを苦痛とは感じない。

「心配してくれてんの?」
「誰もそんな事は言ってないでしょ。どうせ忙しい時はコンビニ弁当だろうって哀れんでるの」

 そりゃ図星だけど。疲れて帰って来てまで、自炊する元気はなかったし。

「だけど、奈央? 俺、遅くなる時もあるし……」
「だから待ってなんてあげないわよ。作っといてあげるから、後は勝手に食べたら?」
「毎日だと、奈央だって大変──」
「ごちゃごちゃ煩いな。嫌なら無理にとは言わない。私一人ならサラダで済ませればいいだけだし」

 サラダって……。コイツなら、本当にサラダだけで済ますだろう。
 でも多分、奈央はわざとそれを口にした。俺が断れないように。
 サラダだけ食べさせる訳にはいかない! って、俺が騒ぐのを見越して、俺が奈央の手料理を食べるよう仕向けたんだ。疲れている俺を心配するが故に……。

「サラダばっか食うな! ちゃんと飯を作れ! んで、俺の分も宜しく」
「うん」
「けど、無理はすんなよ。俺に気を遣うな」
「無理もしなければ、気だって遣うはずないでしょ。ついでよ、ついで」

 可愛げない言葉を受け止めながら立ち上がると、引き出しの前へと行き、そこから取り出した物を奈央へと手渡した。

「なに、これ」
「見りゃ分かんだろ。この部屋の合鍵」

 家に居る時は鍵を閉めないでいたが、流石に留守にする時はしっかり施錠している。

「俺が遅いときは部屋に食事運んどいて。お前は勉強もあんだし、俺に合わせないでいいから」
「合わせません。自惚れないでよね」

 文句を言いながらも、奈央は渡した鍵を小さな手の中に収めた。


 翌朝。
 コーヒーを飲みに来た奈央の手には、昨日俺が渡したように鍵が握られていた。

「はい、あげる。敬介のだけ鍵預かるのも変だし」

 差し出されたものは、持ち主とは違い可愛い赤いリボンがつけられた、奈央の部屋の鍵だった。

 隣人関係にあると知ってから数ヶ月。俺達の奇妙な関係は、お互いの合鍵を持つまでになっていた。





 夢中で何かに取り組む時間と言うのは、早く流れ行く気がする。
 初めは大人しかったうちのクラスも、日に日に煩くなり、あっという間に騒がし過ぎるほどのクラスとなった。
 五月には、クラスの団結力を強くした体育祭も行われ、高校生活最後の良い思い出も作れたようだ。
 ただ、若干二名ほど、団結力と言う言葉とは縁遠い奴等もいた。その内の一人なんかは、体育祭の前夜になって、

「明日は、具合が悪くなる予定なので休みます」

 堂々の病気予告宣言までしてきやがった。それまで散々元気そうにしていたくせに。
 担任のベッドの中で欠席を宣言した生徒は、

「そんな仮病認めないからなッ!」

 騒ぐ俺を無視して、勝手に夢の世界へと可愛らしい顔で旅立って行った。

「俺の体調の方がおかしくなりそうなんだけど」

 奈央を見下ろしながらボヤイてみても、奴の耳にはもう届かない。
 この状況で何もしないこと数ヶ月。俺にこんな忍耐力があったなんて、感動すら覚えてしまう。
 そんな苦悩など知らない奈央を、勿論俺は体育祭に強制参加させた。
 初めこそ不貞腐れていた奈央だったが、唯一アイツが参加した競技では、楽しそうに笑う顔も見れた。
 三年の担任だけがやらされる仮装行列。“女装or男装”と言う、何ともアバウトなテーマで俺を仮装させるうちの生徒の中で、メイク担当だった奈央。
 他のクラスの男子教師も化粧をさせられていたが、とりわけ俺の扱いは酷いもんだった。全ては奈央のせい。ファンデーションを小麦粉で代用したアイツのせい。
 それでも、あの時だけは、優等生ではない奈央の笑顔だと分かったから、ならいいか! と、単純に頭を切り替えられる俺は相当病んでいるに違いない。

 最近、少しずつ増えてきた気がする奈央の笑顔。学校では変わらないが、二人きりの時には、前よりも喋るようになったし、よく笑うようにもなった。
 相変わらず可愛くない事は言うが構わない。疲れが吹き飛ぶほどの笑顔が、何よりも俺には嬉しかった。





「これも食べて。疲れにはお酢がいいんだから。それに……」

 俺の前に差し出される、ワカメの酢の物が入った小鉢。

 健康を気遣ってくれるのは嬉しいが、お前が心配してるのはそれだけか?

「 “それに” の後に何が言いたいのか、一応聞いといてやるよ」
「決まってるじゃない。髪の毛にいいのよ、髪の毛に」

 だろうと思ったよ。二度も髪の毛を強調しやがって。

「俺は、ぜってぇハゲねぇんだっ! それよりお前こそ、先にメシ食ってろよ。健康にも美容にも悪いだろ」

 俺が帰って来たのは午後の九時。奈央の奴もまだメシを喰っていなかった。
 それも今日だけじゃない。待つつもりはないなんて言ってたくせに、帰りが遅くなった日でも、大抵、俺と一緒に食事をする。

「キリがいいところまで勉強してただけ。私がいつご飯食べようと勝手でしょ」
「そりゃそうだけど……あっ、そうかそうか。奈央は俺がいないと淋しいのか!」

 おっ、調子に乗りすぎたか……そんな乱暴にテーブルに茶碗を置くなよ。割れちゃうだろ?

「マシ」

 急になんだよ。無表情でそれだけ突然言われても……。

「えーと、うん?」
「マシだって言ってんの。敬介でもいないよりマシ」

 口調は怒ってる。俺でもって、酷い言われようだ。

「ねぇ、気持ち悪いんだけど」
「悪りぃ」

 自覚はある。だから素直に謝ってみた。謝ってはみたが、自分でもどうすることも出来ない。

「その締まりのない顔何とかしてよ」
「無理。珍しく奈央が可愛いこと言うから」
「おかしいんじゃないの? 可愛いことなんて言ってないでしょ? マシって言ったのよ? 暇つぶしには丁度良いって程度。分かる?」
「おぅ、分かった分かった。俺も奈央弄るの楽しいし。いや、俺が弄られてんのか? ま、どっちにしても飽きないな、お前といると」
「変わりもんだよね、敬介って。あ、もしかして……」

 何だよ? その訝しげな目は!

「敬介って、あっちの方も変な趣味とかあったりする?」
「あるかっ!」
「いいよ、隠さなくても。別に偏見は持ってないつもりだから」
「だから、ねぇって! 俺は至ってノーマルだ!」
「カミングアウトする勇気はないんだ」
「ちげぇって言ってんだろうが!」

 味噌汁を噴出しそうになりながら、高校生相手に普通を主張し続ける23歳。

 食事時にする話じゃねぇだろ!

 でも、こんなくだらない会話をするこの時が、教師である俺と、生徒であるアイツにとっての隣人生活において、何も考えずに過ごせた、一番楽しい時期だったのかもしれない。


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