彼女と僕と

マイリトルジョー

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来週はいつ会えるんだろう

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 ピンポーン
 夏休み、暑すぎて朝からエアコンが効いている部屋に、チャイムの音が鳴り響く。
 勧誘かなにかだろう。居留守でも使おうと思っていたら、またチャイムが鳴った。

 今日は両親ともに仕事で家を留守にしている。
 面倒くさいなぁ、と立ち上がろうとしていると、もう一度チャイムが鳴った。
 しつこいなぁ、とモニターを見ると、神園さんがいた。

 「来ちゃった」
 家に上がった神園さんは、懐かしいな~とキョロキョロする。
 言われてみれば、確かに家の中は大きくは変わっていないか、と思う。言われてみないと思い出さないことだと思った。

 「今日はどうしたの?」
 少々戸惑ったまま神園さんに尋ねる。
 ソファーに座って、僕が持ってきたお茶を飲んでいる姿が、幼い頃の彼女の姿と重なる。
 「『部活ない日にお家いく』って言わなかった? 」
 確かに、そういうメッセージは来ていたけど、本当に来るとは思っていなかった。親がいたらどうするつもりだったんだろう。

 「あの頃を思い出すね」
 神園さんは色々とすごい覚えていて、聞いてからその都度、僕もそういえば、と思い出す。
 話している姿はむしろ、まるであの頃と変わっていない。もちろん、背も伸びて顔つきも変わっているのに。
 あの頃から変わらない"えるちゃん"だった。

 「ねぇ、そういえば」
 不意にえるちゃんは話題を変える。
 「ピアノはもうやってないの?」
 さっきからキョロキョロしていたのはそういう事だったのか。

 僕は悩んだ。素直に伝えるべきなのか、と。
 僕は、えるちゃんが引っ越したあと、ピアノはやめてしまっていた。
 それに、さっき、えるちゃんとの思い出話をしていて思い出したことがある。
 それは、えるちゃんと距離が縮まったきっかけ、家は近所だったのに、そこまで親しくなかった彼女と繋げたのは、僕のピアノだった。

 だからこそ、何年も経った今でも、ピアノをやめてしまったと知った時の彼女の反応が怖かった。
 きっかけなんてものはいつも些細だ。
 距離が縮まるのがピアノなら、
 距離が離れるのもまたピアノなんだ。

 「うん。まぁ、ぼちぼちかな」
 後ろめたい気持ちもありながら、やめた、とはいえなくて、誤魔化してしまう。
 「そうなんだ!」
 明るい声色のえるちゃんの声が胸に刺さる。

 「私ね」
 控えめな微笑みに表情をかえながらどこか遠くを見つめた神園さんは、ゆっくりと話し出す。
 「引っ越してから、ギター始めたんだ」
 「ギター?」
 「そう、なんでだと思う?」
 そう聞かれて、僕は言い淀んでしまう。自分の事をどう返すか、で頭がいっぱいだった。
 「えっと」
 「じゃあ、次回までの宿題ね」
 えるちゃんはニヤッと笑う。

 僕は楽しみなのか、こわいのか、複雑な思いでえるちゃんに頷いていた。
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