かつて××××だった者たちへ

マイリトルジョー

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1章-2

呼ばれた人たち

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 「お2人にも、手紙が届きました?」
 1番の奥側の端に座る女性は遠慮がちにだけど、話しかけてくれた。
 落ち着いた声で、髪はミディアムヘア、チェックのシャツにロングスカート、雰囲気も穏やかそうな印象を持った。
 私はゆっくり頷いて手紙を見せた。遅れて直ぐに今日子も見せた。
 私たちが見せると声をかけてくれた女性も見せてくれて、それに続いて別の2人も見せてくれた。みんな自分たちが受け取った手紙と同じものだった。
 ソワソワしていた女性は、伸ばした髪を所謂ツインテールにしピンク色のフリフリしたワンピースで、私の思う"The アイドル"と言った見た目だった。
 フードの人物は、見える部分だけで考えると女性か中性的な男性か。口元までファスナーが挙げられていて、目元しか見えない上に言葉も発していないため何も情報が得られなかった。

 「ということは、みなさんも記憶が?」
 「恐らく…お2人も?」
 穏やかそうな女性はゆっくり頷く。
 集まった5人が5人ともに記憶が無い部分がある。
 これは本当に偶然なのか。あるいは、不特定多数に配ってたまたま当てはまった5人が集まっただけなのか。
 ただ、少なくとも、私たちには共通点がある。それだけでも、私はどこかほっとしたような気持ちになっていた。

 「あの、私たちはもうお互いに自己紹介は済んでるんですけど、お二人のお名前も知りたいです」
 声をかけてくれた穏やかそうな女性が名乗ってくれる。
 「私は山本加奈子と言います。奥の人が南野愛衣めいさんで、この人は斎藤瑠美さん」
 アイドルみたいな斎藤さんはよろしくお願いします、と一応反応をくれた。
 フードを被った南野さんは、ペコッと小さくお辞儀した―ということは女性なんだな、と思った―。
 さっき手紙を見せあったことで、多少は歩み寄れたのかもしれない。

 「小林奈々です」
 「あ、白石今日子です」
 全員が自己紹介を終えると、
 やっぱり名前も似てるんですね、と山本さんは笑った。
 山本さんはメンバーの山田佳奈かなと、南野さんは同じく北野芽衣子と、斎藤さんは西園寺瑠璃と、それぞれ全員の名前が、『魔法少女』とニアミスしていた。
 「みなさんも、『魔法少女』の話題が出たりします?」
 「それ、よく聞きます。私たちが学生の頃のアイドルですよね」
 「めっちゃ売れてたみたいですけど、全然記憶にないですよね。曲はテレビとかSNSで聴きましたけど」
 共通の話題があると話しやすいもので、まだ少し距離を感じていながら、深刻な感じでもなく、話題のひとつとして話が弾む。なんとなく学生の頃のような懐かしさのようなものがあった。
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