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第3章

第125話 リリス14歳 外の世界

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翌日、休日のため自室で寛いでいたリリスは、いつの間にか部屋に戻ったネージュに見つめられていることに気付いた。

「ネージュおかえり。今戻ったの?」

何も言わずに見つめてくるネージュ。リリスはその前にしゃがみこむと、その真っ白な毛を撫でた。

(はぅぅぅ・・やっぱりこの毛並み気持ちいいぃぃ・・モフモフ最高)

リリスはフワフワな毛にウットリする。するとネージュは踵を返し、扉の前で座ると振り向いた。

「ん?どうしたの?出たいの?」

そう言ったリリスが扉を少し開ける。するとその隙間からネージュはするりと出た。そして出ると、すぐ後ろを振り向きウーニャと鳴いた。それにリリスは「いってらっしゃい」と小声で言い、扉を閉めた。ソファーに戻るとすぐに扉からカリカリと音がした。

(???ネージュ?どうしたのかな)

リリスが再び扉を開けると、後ろ足で立ち上がるネージュがそこにいた。どうやら今の音はネージュが前足で扉を引っ掻いた音のようだった。
リリスと目が合ったネージュは、何も言わずに廊下を歩いていく。そして少し進むと、リリスの方を向き座った。その瞳はまっすぐにリリスを向いている。
リリスはネージュが「ついて来い」と言ってる気がして、上着を羽織り廊下に出た。それを確認したネージュは廊下を進み、リリスがその後を追った。

どうやらネージュは外へ出るようだ。庭へ続く開いていた窓から外へ出る。ネージュに続いてリリスも庭へ出たその時、上から名前を呼ぶ声がした。

「お嬢様お出かけですか?それでしたら、今準備いたしますので、お待ち下さい」

声の主は、2階の窓から顔を出したマリーだった。リリスは慌ててマリーに言った。

「違うのよ、マリー。夕食まで庭でのんびりしようと思っただけ。奥にいるから、気にしないで。
お茶もいらないからね。マリーもゆっくり休んでちょうだい」

リリスの言葉にマリーは「畏まりました」と笑顔をみせた。リリスは嘘をついてしまったことに少し胸の奥がチクッとしたが、まさか聖獣の後をつけているなんて言えないのでマリーには心の中で謝った。

(マリーごめん。でもこれは重大ミッションなのよ!ネージュの言いたいことを確認しなくちゃっ)

再びネージュの追跡が始まった。ネージュは庭をどんどん奥へ進む。

(どこへ行くのかなぁ。こっちには納屋か裏門ぐらいしかないのに)

そして納屋も通り過ぎ、ネージュに連れられてやって来たのは裏門だった。ネージュは門の隙間からスルッと敷地の外へ出た。リリスは一人で外へ出ることに戸惑いもあったが、ネージュへの好奇心が勝ったため、ゆっくり門を開いた。初めて屋敷を抜け出した瞬間だった。

さらに街を歩いていくネージュ。たまにリリスが後をついてくることを確認してきた。ネージュは、ほぼ真っすぐ西の方向を目指して歩いていた。

やがて王都の門へ辿り着く。ネージュは門のど真ん中を進み、王都の外へ出た。

(もしかしてネージュはいつも町の外まで出掛けていたの?!どうしよう・・さすがに外は私一人じゃ危ないよね)

ここを出てしまえば、決して安全とは言えなかった。リリスが門の前で躊躇していると、門番が声をかけてきた。

「お嬢さん、お一人ですか?さすがに一人で外を歩くのは危険ですよ」

(あー、やっぱり女の子ひとりなんて不審よね。どうしよう。誰か呼びに行く?ヘンリーの屋敷は・・ダメ。遠いわ。アリーナたちの屋敷もダメね。もう時間がないし、ネージュ待ってるし)

ネージュは門を出たところでチョコンと座り、リリスが来るのを待っていた。

(・・・・よし!リリス、行くのよ!ネージュが一緒だから大丈夫!なんと言っても聖獣なんだから・・)

覚悟を決めたリリスはグッと拳を握りしめ、力強い瞳で門番見ると言った。

「外で連れが待ってるので、大丈夫です。心配してくれて、ありがとうございます」

そう言ってニッコリ微笑むと、意を決して門の外へと歩みを進めた。
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