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第3章
第150話 リリス14歳 憂慮1
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翌日、学園の中庭ではアルバスがリリスとヘンリーに昨日のアルミーダの話を伝えていた。
アルミーダ曰くサラマンデルをあのようにしたのはやはり闇の魔法だった。さらには、彼女は開放する方法を知っていた。ただそれには準備が必要なので、少し時間がほしいと言ったそうだ。
「流石ですね。禁術まで知っているなんて」
精霊の問題解決に光が見えてきたことにホッとしたヘンリーが感心の声を上げた。
「あぁ、そうだな。ただ話を聞いて相当頭にきていたから、君とディファナは覚悟しておいたほうがいい」
そう言ったアルバスがリリスを視線を向けた。
「えっ?私ですか?アルミーダさんを怒らせるようなことしたかしら・・・」
「忘れたのかい?忠告を無視して森へ行っただろう」
「あっ、それは・・・・・はぁぁぁ。覚悟しておきます」
リリスは忠告されていた事をすっかり忘れていた。しかし言い訳してもどうにもならないことを悟りため息をつくと、どんなお叱りでも受けようと腹を括った。
(次アルミーダさんに会うの怖いわぁ・・・でも仕方ないか。どんな理由があるにせよ行ったのは事実なんだから・・・・)
リリスは身体をブルっと震わせ、ヘンリーは彼女の肩をポンポンと叩いた。それはまるで彼女に送られたエールのようだった。リリスは彼に視線を向け、瞳に懇願の色を滲ませたがヘンリーは黙って首を振るだけだった。
それからリリスたちはネージュの存在がリリスの父ダーウィンに知られたこと、そして金の獣に森で出会ったことを話した。それに対してアルバスは「ほう。そうか・・・ネージュに関しては寧ろ遅すぎたぐらいだな」と言った。金の獣については、アルバスは聖獣ではないと断言した。そんな聖獣は見たことも聞いたこと。
もっと食いついてくるかと思っていたリリスたちは、どこか上の空で答えるアルバスを不思議がった。アルバスはぼんやりとリリスを見つめている。そして彼はリリスの名前を呼んだ。
「リリス・アルバート」
呼ばれたリリスは首を傾げ尋ねる。
「はい、改まってどうかされましたか?」
「・・・・あっ、いや・・最近少し雰囲気が変わったか・・・」
「えっ?雰囲気ですか?さあ・・・あっ、もしかして大人っぽくなりましたか?」
「いや、そういう感じではないな。何というか・・なあ、君の目から見てどうだい?」
話を振られたヘンリーは真剣な眼差しでリリスを見つめると「いつ見てもリリィは可愛いので」ときっぱりと言った。そのセリフにリリスはただただ顔を真っ赤にしていた。
(ちょっと先生!そこスルーしちゃダメでしょ?!・・・あぁ、なんかすごぉーく恥ずかしいんだけど・・そういうやり取りは、本人のいないところでやってよね。ヘンリーも先生相手にそんなはっきり言わなくてもさぁ・・あぁ、もうアリーナたちがいなくてよかった。絶対にからかわれるくだりだから、いまの)
ヘンリーの答えにアルバスは応えず、顎に手を当て何やら考えている。そしてしばらくすると、思いがけない事を言った。
「そのブレスレット見てもいいか?」
「へっ?ブレスレットですか?」
アルバスの突然の申し出にリリスは戸惑ったが、頷くと手首から外し彼に渡した。受け取ったアルバスは光にかざしたりして、入念に観察していた。アルバスの行動にリリスとヘンリーは顔を見合わせた。
そして「これをどこで?」と聞いてきたアルバスにリリスはエルムンド商会で手に入れたことを教えた。それに「エルムンド商会か・・・」と呟いたアルバスは再びブレスレットを目の前にかざした。二度三度と動かし観察した後「ありがとう」と言ってリリスに返した。リリスが受け取ったブレスレットを付けていると、横でヘンリーが尋ねる。
「先生、このブレスレットに気になるところでも?」
「いや、気のせいだったようだ。君の雰囲気が変わったように感じたのも気のせいだったのかもな。悪かったね。
ところで今日も放課後に森へ行くのかい?私としてはあまり近付いてほしくないのだが」
「いえ、今日は殿下からお誘いを受けてるので、城へ参ります」
アルバスはリリスの返事に頷くと「進展があればをまた報告する」と言い残して去って行った。
アルミーダ曰くサラマンデルをあのようにしたのはやはり闇の魔法だった。さらには、彼女は開放する方法を知っていた。ただそれには準備が必要なので、少し時間がほしいと言ったそうだ。
「流石ですね。禁術まで知っているなんて」
精霊の問題解決に光が見えてきたことにホッとしたヘンリーが感心の声を上げた。
「あぁ、そうだな。ただ話を聞いて相当頭にきていたから、君とディファナは覚悟しておいたほうがいい」
そう言ったアルバスがリリスを視線を向けた。
「えっ?私ですか?アルミーダさんを怒らせるようなことしたかしら・・・」
「忘れたのかい?忠告を無視して森へ行っただろう」
「あっ、それは・・・・・はぁぁぁ。覚悟しておきます」
リリスは忠告されていた事をすっかり忘れていた。しかし言い訳してもどうにもならないことを悟りため息をつくと、どんなお叱りでも受けようと腹を括った。
(次アルミーダさんに会うの怖いわぁ・・・でも仕方ないか。どんな理由があるにせよ行ったのは事実なんだから・・・・)
リリスは身体をブルっと震わせ、ヘンリーは彼女の肩をポンポンと叩いた。それはまるで彼女に送られたエールのようだった。リリスは彼に視線を向け、瞳に懇願の色を滲ませたがヘンリーは黙って首を振るだけだった。
それからリリスたちはネージュの存在がリリスの父ダーウィンに知られたこと、そして金の獣に森で出会ったことを話した。それに対してアルバスは「ほう。そうか・・・ネージュに関しては寧ろ遅すぎたぐらいだな」と言った。金の獣については、アルバスは聖獣ではないと断言した。そんな聖獣は見たことも聞いたこと。
もっと食いついてくるかと思っていたリリスたちは、どこか上の空で答えるアルバスを不思議がった。アルバスはぼんやりとリリスを見つめている。そして彼はリリスの名前を呼んだ。
「リリス・アルバート」
呼ばれたリリスは首を傾げ尋ねる。
「はい、改まってどうかされましたか?」
「・・・・あっ、いや・・最近少し雰囲気が変わったか・・・」
「えっ?雰囲気ですか?さあ・・・あっ、もしかして大人っぽくなりましたか?」
「いや、そういう感じではないな。何というか・・なあ、君の目から見てどうだい?」
話を振られたヘンリーは真剣な眼差しでリリスを見つめると「いつ見てもリリィは可愛いので」ときっぱりと言った。そのセリフにリリスはただただ顔を真っ赤にしていた。
(ちょっと先生!そこスルーしちゃダメでしょ?!・・・あぁ、なんかすごぉーく恥ずかしいんだけど・・そういうやり取りは、本人のいないところでやってよね。ヘンリーも先生相手にそんなはっきり言わなくてもさぁ・・あぁ、もうアリーナたちがいなくてよかった。絶対にからかわれるくだりだから、いまの)
ヘンリーの答えにアルバスは応えず、顎に手を当て何やら考えている。そしてしばらくすると、思いがけない事を言った。
「そのブレスレット見てもいいか?」
「へっ?ブレスレットですか?」
アルバスの突然の申し出にリリスは戸惑ったが、頷くと手首から外し彼に渡した。受け取ったアルバスは光にかざしたりして、入念に観察していた。アルバスの行動にリリスとヘンリーは顔を見合わせた。
そして「これをどこで?」と聞いてきたアルバスにリリスはエルムンド商会で手に入れたことを教えた。それに「エルムンド商会か・・・」と呟いたアルバスは再びブレスレットを目の前にかざした。二度三度と動かし観察した後「ありがとう」と言ってリリスに返した。リリスが受け取ったブレスレットを付けていると、横でヘンリーが尋ねる。
「先生、このブレスレットに気になるところでも?」
「いや、気のせいだったようだ。君の雰囲気が変わったように感じたのも気のせいだったのかもな。悪かったね。
ところで今日も放課後に森へ行くのかい?私としてはあまり近付いてほしくないのだが」
「いえ、今日は殿下からお誘いを受けてるので、城へ参ります」
アルバスはリリスの返事に頷くと「進展があればをまた報告する」と言い残して去って行った。
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