メイドから母になりました

夕月 星夜

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魔法省で臨時メイドになりました

魔法使いの子供たち

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ざっと書類を仕分けたところでシドさんにお願いして一度帰宅する。
夜食とか明日の準備とか色々ね、朝ご飯の仕度とかミリスに頼まないと駄目だなってことで。
そうしてミリスに明日の朝のもろもろをお願いしつつ、からになったバスケットへ簡単に食べられるお菓子とか色々詰め込んでいたら、寝間着姿のジルとジェイドがひょっこりと顔を覗かせた。

「お母さん、おかえりなさい?」
「またどこかに行くんですか?」
「ええ、ちょっと。あ、そうだ、明日から私もレオナール様の手伝いで魔法省に行くことになったから」
「ほんと!?」

真っ先に反応したのはジルだった。

「明日から、いっしょに行くの?」
「ええ、ミュードの王女様がいらっしゃる間だけね。その間はご飯があんまり作れなくなるけどいい?」
「おしごとしてごはんも作るのたいへんだもん、しかたないよね。それに、王女さまが帰ったらおしまいでしょう? それまでならがまんする」

にっこりと頷いてくれたジルが可愛すぎるし良い子すぎて、うう荷物作ってなければ抱き締められたのにー!
内心もだもだしていたら、ジェイドがくすりと小さく笑う。

「ジルは、家じゃないとリリーさんに会えないからちょっと嬉しい?」
「ちょっとだけだよ?」

いたずらがばれた時のような顔をするジルに、ジェイドはやっぱりとくすくす笑う。

「僕がロザンナ母さんと話してると、うらやましそうな顔になるもんね」
「ち、ちがうよ!」

慌てて否定するジルだけど、耳が真っ赤になってるから説得力がない。
でも、そっか。ジェイドがこのところ毎日ここでご飯食べて寝てるからあんまりロザンナさん達と会えてないんじゃないかって心配してたんだけど、ちゃんと職場で連絡とったり会ったりしてるのね。良かった。

「そういえば、ジェイドとジルは違う場所で見習い魔法使いの仕事をしてるの?」
「うん、ジルはレオナールさんと行動してるけど、僕は基本的に父さんと一緒なんだ。ジルと一緒にいるのは勉強の時間くらいかな」
「ルーカス先生のおべんきょう、わかりやすいよね」
「うん、わかりやすい。でも、そもそも僕とジルは魔法の使い方や感じ方が違うから、同じ勉強じゃうまくいかないことの方が多いんだって」

ね、と顔を見合わせてにこにこ笑いあう二人。同じ見習いなのに駄目?
あ、でも魔法式が見えるのと見えないのの違いなのかな?

「ジルが『見える』から?」
「うん、もちろんそれもある。でも、一番の違いは、契約者との連携だって言われた。僕はずっとユトと繋がってたから、言葉にしなくても思うだけで意思疎通できる。いい理由ではないけど」

さみしそうに笑うジェイド。そうだね、繋がってた理由がジェイドの命を繋ぐためで、そのためにたくさんの精霊を傷つけてしまったんだよね。そのことを本当に後悔していると知っているから、私もジルも何も言わずに小さく頷く。

「ジルはね、まだリオンとであったばかりだし、リオンもまだ成長とちゅうだから、いっしょに色々べんきょうしていかなきゃダメって。ジェイドとユトは、おたがいの力をうまくひきだしておぎないあうことを学ぶって」
「ジルとリオンも僕たちのように、どんな状況でも繋がりを保ち続けられるようにってことです。僕たちはそこからもっと効率よく色々な魔法を使えるようになろうって勉強を始めているので、ジルとは魔法の勉強だと学ぶ内容が違うんです」
「そうなんだ」

だから違うんだ。でも一緒に学べる部分があったら一緒にやらせてもらえるってことなのかな。
同じ見習い魔法使いでも、色々と違うものなんだね。
実力というか、年齢と経験の差というか……そういえば、ジェイドは今何歳ってことになってるんだろう?

「ねえ、ジェイド」
「はい?」
「この間、誕生日を決めたって話は聞いたの。でも、今何歳って申請したの?」
「ああ、一応九歳です。僕の残っている記憶、というか満月の回数なんですけど、そこと今の体の成長を加味してそれくらいじゃないかと。満月を覚えているのは、その日の前後数日は月の魔力だけでユトと僕の命を繋げたので勉強したり色々できる貴重な時間だったからです。ユトもそこは覚えていて、僕と大体記憶が一緒だったので」
「……聞かないほうがよかった?」

嫌な記憶を呼び起こさせたかった訳じゃないから、そんな理由を聞くと物凄く申し訳ないんだけど。
そう思って聞いたら、どうしてとジェイドは笑う。

「今の僕は父さんと母さんがいて、優しいレオナールさんやリリーさん、可愛いジルとも知り合えて、とても幸せなのに。もうあの人たちが僕とユトを傷つけることはできないと思うだけで、過去は過去です」
「……レオナール様もそうだけど、ジェイドもそうなんだ。魔法使いってみんなそうなのかな?」
「何がですか?」
「その、今が幸せだから、昔のことはどうでもいいというかきっぱり気にしなくなるところ」

遺恨を残さないのは凄いことだし尊敬するけど、ジェイドもそうって聞くとなんだかな。
普通、何かしらの負の感情は残っていいものなんだけど、思いきりがいいというかなんというか。
魔法使いって、みんなそうなのかな?
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