想い出はいつも

TESH

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第三章 揺れる心

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 放課後。
 中間テストで部活は中止。
 で。
 何故か、コンビニ。
 真由ちゃんと待ち合わせ。
 別に、学校内でも良かったんだけど。
 妹の誕生日プレゼントの買い物と称して。
 本当は理由なんて何でもいいんだ。
 俺としては。
 二人でお出かけ出来れば。
 最近、何かいい感じだし……。
 トントン
「よっ!待った?」
 背中を叩かれて、振り返る先には。
 満面に笑みを浮かべたいつもの顔。
「ん。大丈夫だよ」
「掃除が長引いちゃって……」
「いいって」
 この後の事を考えれば、このくらいの時間何てねぇ。
「じゃ。とりあえず行こっか」
「うん」
 そう言って学校近くのコンビニを出た。
 とりあえずは街中へ。
 ここからは自転車で十五~二十分くらい。
 普通電車の駅一つ分の距離だ。
 何だかんだ言って、いっつも俺に気を使ってくれる彼女が凄く可愛い。
 ―――というか、好きだ。
 このままずっと一緒にいたい。
 そうは思うけれど。
 どうなるんだろ?
 そうやって見る隣りにある横顔は……。
 俺の心を不安定に揺さぶるばかり。
「ねぇ。SATYの地下でいい?いいのあったんだけど……」
「ん……。任せる」
「こら。最後に決めるのはタカだからね。私はアドバイスだけだぞ!」
 悪戯っぽく言う真由ちゃん。
 そんな表情もやっぱいい。
「あ~い」
 やっぱ俺は彼女が好きなんだ。
 改めてそう感じた。

 日は西へ沈みかけている。
 春の爽やかな風が、二人の間をかすめてゆく。
 街中へ入ると、さすがに騒がしかった。
「そっかぁ。どこの高校も中間前で部活ないんだぁ」
 思い出したように、真由ちゃんが、言う。
「みんな、テスト勉強とかしないのかなぁ?」
 自分のことを棚にあげて応える俺。
 でも、まぁ。
 放課後、真っ直ぐ家に戻って、テスト勉強する高校生も、そういたものじゃないやね。
「タカもその一人でしょ!」
「そだね」
「さて、と。何処に自転車とめよっか?」
 目的地へ着いたのはいいのだけれど……
 どこも自転車でいっぱいだ。
「そこらへんでいいんじゃない?」
「そうしよっか」
 デパート内もやっぱり高校生たちで賑わっていた。
 こうして二人で歩いていると、恋人同士に見えるのかな?
 さすがに、街中を二人で歩いているというのは、緊張するね。
 真由ちゃんは何とも思わないのだろうか?」
「あ~。これこれ」
 地下の雑貨売場。
 店頭に並んでいるバスセットを手に取る彼女。
「どれどれ」
 横から覗き込む。
 熊のぬいぐるみの絵柄の入ったバスタオル。熊の石鹸。その他いろいろ……。
 可愛らしく包んである。
「ねっ!可愛いでしょ」
 誇らしげに主張する彼女。
 俺は、そんな真由ちゃんの仕草の方が可愛いと思うんだけど……ね。
「うん。それでいいよ」
「自分の主張というのはないのか!」
「うん」
 呆れた顔で俺を見る。
「そっかぁ。じゃ、これで決まり!」
 そう言って、俺に手渡す。
 何だか、あっという間に決まっちゃった。
 お会計も済ませて。
 もちろん、プレゼント用にラッピングしてもらって、ね。
 もう、帰るのかな?
 何か寂しい予感が心を掠めてゆく。
「せっかく来たんだから、もうちょっと見てこっか!」
「そだね」
 それもつかの間だった。
 嫌な予感は、一瞬にして、どこか遠くへ飛んでった。
「ねぇねぇ。この指輪、可愛くない?」
「うん。げっ!高いよ。これ」
 ゼロが綺麗に並んでる。
 確かに可愛らしいんだけどね。
「何も買って!何て言って無いじゃない。ただ可愛いなぁ~って」
 それはそうなんだけど……ね。
 そんな風に見られると……
「女の子って、いろいろ見て歩くの好きだよねぇ」
「まぁね。楽しいじゃん。こういうのって」
 ん~。そうかなぁ。
 俺はあまり……。
 今日は、真由ちゃんと一緒だから楽しいけどね。
「次、あっち行って見よ」
「あ、うん」

 そうやって店の中をクルクル。
 これだけ見てると、恋人同士みたいなんだけれどね。

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