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第三章 揺れる心
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「遅いぞ!」
突然、後ろから聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「あ、真由ちゃん」
言って、二人横に並んで自転車を走らせる。
「いつもノンビリだね」
「まぁね」
本当は、「君を待ってるんだよ!」って、言いたかったけど。
そんなことは言えるわけもなく……。
「ねぇ、中学一年の時、どんな物が欲しかった?」
「妹の誕生日か何か?」
「ピンポーン。実は今月の26日が妹の誕生日なんだよね。中学生にもなると何やっていいんだか……」
「ん~、じゃあねぇ、ぬいぐるみなんてどお?私は欲しかったような……」
「高いでしょ」
「まぁね」
「もっと安いのは?」
「そおねぇ、私ももうおばさんだからなぁ。昔のことは、よく覚えてないよ」
「だよね」
とぼけた相づちを打つ。
「むっ、今納得したでしょ」
きっ、とこちらを睨む彼女。
げっ!
でも、その顔がすぐに笑顔に変わった。
「なんて……ね。でも、あんまりよく覚えてないのは確かだな」
「そっか……。けっこう頼りにしてたんだけどな」
なんて言って、ちょっと気落ちした素振りを見せる。
「じゃさ。今度一緒に買い物行こうよ。そん時に選んであげるからさ」
「えっ?」
意外な誘いに、めちゃくちゃ焦ってるのが自分でもよく分かる。
「やだ?」
「んなことないよっ!で、いつ?」
嫌なわけないじゃないか!
好きな子と出掛けられるチャンスなんだよ。
ねぇ。
「また後で電話するよ。中間テスト前で明日っから部活ないから。それに、もう信号すぐそこだよ」
そう言って、五〇メートル程先の、信号を指さす。
「あれっ?ホントだ」
いつも二人が別れる場所だ。
「じゃぁね」
「うん。それじゃ、また明日」
手を振りつつ。
そう言って、信号を渡って行く彼女。
それにしても、彼女と一緒だと、あっという間だね。
時間が経つのって。
学校からこの信号まで、だいたい十五分くらいあるのに。
三分の一くらいに思える。
カンカンカンカン……
げっ!
やばい。
もう電車が来ちゃう。
慌てて自転車の速度を上げた。
突然、後ろから聞き覚えのある声が飛び込んできた。
「あ、真由ちゃん」
言って、二人横に並んで自転車を走らせる。
「いつもノンビリだね」
「まぁね」
本当は、「君を待ってるんだよ!」って、言いたかったけど。
そんなことは言えるわけもなく……。
「ねぇ、中学一年の時、どんな物が欲しかった?」
「妹の誕生日か何か?」
「ピンポーン。実は今月の26日が妹の誕生日なんだよね。中学生にもなると何やっていいんだか……」
「ん~、じゃあねぇ、ぬいぐるみなんてどお?私は欲しかったような……」
「高いでしょ」
「まぁね」
「もっと安いのは?」
「そおねぇ、私ももうおばさんだからなぁ。昔のことは、よく覚えてないよ」
「だよね」
とぼけた相づちを打つ。
「むっ、今納得したでしょ」
きっ、とこちらを睨む彼女。
げっ!
でも、その顔がすぐに笑顔に変わった。
「なんて……ね。でも、あんまりよく覚えてないのは確かだな」
「そっか……。けっこう頼りにしてたんだけどな」
なんて言って、ちょっと気落ちした素振りを見せる。
「じゃさ。今度一緒に買い物行こうよ。そん時に選んであげるからさ」
「えっ?」
意外な誘いに、めちゃくちゃ焦ってるのが自分でもよく分かる。
「やだ?」
「んなことないよっ!で、いつ?」
嫌なわけないじゃないか!
好きな子と出掛けられるチャンスなんだよ。
ねぇ。
「また後で電話するよ。中間テスト前で明日っから部活ないから。それに、もう信号すぐそこだよ」
そう言って、五〇メートル程先の、信号を指さす。
「あれっ?ホントだ」
いつも二人が別れる場所だ。
「じゃぁね」
「うん。それじゃ、また明日」
手を振りつつ。
そう言って、信号を渡って行く彼女。
それにしても、彼女と一緒だと、あっという間だね。
時間が経つのって。
学校からこの信号まで、だいたい十五分くらいあるのに。
三分の一くらいに思える。
カンカンカンカン……
げっ!
やばい。
もう電車が来ちゃう。
慌てて自転車の速度を上げた。
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