205 / 245
幕間話2
騎士団の新装備
武器仙人から貰った剣の話です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日、俺たち騎士団は強制招集された。ただし、緊急性を伴わない強制招集だ。
この町に赴任してから初めてじゃないだろうか?
本当なら今日は、二カ月かけてようやく口説き落とした宿屋の看板娘のケティちゃんとデートだったって言うのに、昨日のうちにキャンセルをせざるを得なくなった。結果、お詫びに給料の三分の一もするアクセサリーをプレゼントする羽目になった。まだ手も握っていないというのに。
やれやれだ。
さてさて、強制招集の内容はなんだろうか?
どこかのお偉いさんが訪れるのか? それならまだいいが、グルマク帝国との和平が進み、軍備縮小の流れが王都に広がっているからな。もしかして、人員整理でも起こるのか?
まぁ、本当に人員整理するってことになったら、アルレイド将軍は自分が最初に辞めるって言いだすだろうな。そうなったら、俺も騎士をやめて、将軍と一緒に傭兵稼業ってのも悪くはないか。そうなるとこの町にいられなくなり、ケティちゃんとのデートもできないけれど、まぁ他の町にもかわいい子はいっぱいいるだろうからな。
警邏中の騎士を除き全員が鍛錬所に集まっていた。
最後に入った俺を、アルレイド将軍が注意する。
「遅いぞ、ジェネリク」
「すみません、将軍。いろいろと覚悟を決めていたので。で、話はもう終わりましたか?」
「いや、これからだ。ちょうどいい、ジェネリク、この剣を抜いてみろ」
「剣ですか?」
人員整理――って話じゃないのか?
兎も角、俺は将軍から剣を受け取り――そして握っただけで気付く。
この剣は、ただの剣じゃないってことに。
「将軍、これは?」
「抜いてみろ、と言ったはずだ」
言われて、俺は剣を抜いた。俺の二枚目の顔が刀身に映った。
これはただの剣じゃない。ドワーフの秘術でしか作ることができないというダマスカス鋼で作られた剣だ。
価値は少なく見積もっても金貨100枚ってところだ。家が買えるぞ、これは。
「将軍、教えてください、この剣はどうしたんですか?」
「聞きたいのは俺のほうだ、どうしたものか……」
「えっと、本当にどうしたんですか?」
将軍の様子がおかしい。何か頭を抱えて考え込んでいる。一体どうやってこの剣を手に入れたんだ?
その辺の武器屋で売っているわけはないし。
「もしも武器商人が売りにきたのですか? だとしたら、将軍の分だけでも買っておくべきです。この町にはいつ魔族の襲来があるかわからないのですから」
「いや、売りにきたのではない、貰ったのだ」
「貰った? 貸与でもなくてですか? 売ってもらったというわけでもなく?」
「ああ、貰ったんだ」
そんなバカな。こんな名剣、王都にいるサンノバ将軍でも貸与していただいているかどうか。
そもそも、普通ならば大富豪が家宝にしてもおかしくないような名剣だ。
それを貰った?
どういうことだ?
「どうだ、ジェネリク。その剣を振るってみたくはないか?」
「え……えぇ。勿論、この剣があれば魔族が襲ってきても遅れを取ったりはしないですね」
「そうか、ならそれはお前の剣だ。受け取れ」
「え……えぇぇぇぇぇえっ!?」
将軍、もしかして俺をからかっているんですか?
俺の心情を見透かしたかのように将軍は立ち上がると、風呂敷を広げた。
そこには、大量の剣があった。
しかも、その一本一本が――
「まさか――将軍、それ」
「ああ。ジェネリクが持っているその剣と比べても遜色のない名剣ばかりだ。この剣は、これより騎士団全員の装備となる」
そんなことを言われても、素直に歓喜できるわけがない。戸惑いの方が大きい。
例えるなら、上級貴族が住むような屋敷に案内されて、「今日からここがお前の家だ」と言われるのと同じようなものだから。
「言いたいことはわかるが、俺もよくわからん。例の工房で働くクルトが訪れてな。知り合いのお爺さんに貰ったんで、皆で使って下さいと言われたので中身も見ずに受け取ったんだ。名剣だと知り、ユーリシア殿にも尋ねたが、気にするなの一点張りでな……どうしたものか」
こんなに悩む将軍を見るのは初めてだった。
その後、騎士団全員で話し合い、自分たちでこの剣を使うことにした。
そして、俺は剣を授かった時、ある誓いを立てた。
自分の命を懸けてでも、この町とそしてこの町にある工房を守る剣と盾になるという誓いを。
きっと騎士団全員同じ気持ちだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3巻書籍化作業に伴い、内容が変更されています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
その日、俺たち騎士団は強制招集された。ただし、緊急性を伴わない強制招集だ。
この町に赴任してから初めてじゃないだろうか?
本当なら今日は、二カ月かけてようやく口説き落とした宿屋の看板娘のケティちゃんとデートだったって言うのに、昨日のうちにキャンセルをせざるを得なくなった。結果、お詫びに給料の三分の一もするアクセサリーをプレゼントする羽目になった。まだ手も握っていないというのに。
やれやれだ。
さてさて、強制招集の内容はなんだろうか?
どこかのお偉いさんが訪れるのか? それならまだいいが、グルマク帝国との和平が進み、軍備縮小の流れが王都に広がっているからな。もしかして、人員整理でも起こるのか?
まぁ、本当に人員整理するってことになったら、アルレイド将軍は自分が最初に辞めるって言いだすだろうな。そうなったら、俺も騎士をやめて、将軍と一緒に傭兵稼業ってのも悪くはないか。そうなるとこの町にいられなくなり、ケティちゃんとのデートもできないけれど、まぁ他の町にもかわいい子はいっぱいいるだろうからな。
警邏中の騎士を除き全員が鍛錬所に集まっていた。
最後に入った俺を、アルレイド将軍が注意する。
「遅いぞ、ジェネリク」
「すみません、将軍。いろいろと覚悟を決めていたので。で、話はもう終わりましたか?」
「いや、これからだ。ちょうどいい、ジェネリク、この剣を抜いてみろ」
「剣ですか?」
人員整理――って話じゃないのか?
兎も角、俺は将軍から剣を受け取り――そして握っただけで気付く。
この剣は、ただの剣じゃないってことに。
「将軍、これは?」
「抜いてみろ、と言ったはずだ」
言われて、俺は剣を抜いた。俺の二枚目の顔が刀身に映った。
これはただの剣じゃない。ドワーフの秘術でしか作ることができないというダマスカス鋼で作られた剣だ。
価値は少なく見積もっても金貨100枚ってところだ。家が買えるぞ、これは。
「将軍、教えてください、この剣はどうしたんですか?」
「聞きたいのは俺のほうだ、どうしたものか……」
「えっと、本当にどうしたんですか?」
将軍の様子がおかしい。何か頭を抱えて考え込んでいる。一体どうやってこの剣を手に入れたんだ?
その辺の武器屋で売っているわけはないし。
「もしも武器商人が売りにきたのですか? だとしたら、将軍の分だけでも買っておくべきです。この町にはいつ魔族の襲来があるかわからないのですから」
「いや、売りにきたのではない、貰ったのだ」
「貰った? 貸与でもなくてですか? 売ってもらったというわけでもなく?」
「ああ、貰ったんだ」
そんなバカな。こんな名剣、王都にいるサンノバ将軍でも貸与していただいているかどうか。
そもそも、普通ならば大富豪が家宝にしてもおかしくないような名剣だ。
それを貰った?
どういうことだ?
「どうだ、ジェネリク。その剣を振るってみたくはないか?」
「え……えぇ。勿論、この剣があれば魔族が襲ってきても遅れを取ったりはしないですね」
「そうか、ならそれはお前の剣だ。受け取れ」
「え……えぇぇぇぇぇえっ!?」
将軍、もしかして俺をからかっているんですか?
俺の心情を見透かしたかのように将軍は立ち上がると、風呂敷を広げた。
そこには、大量の剣があった。
しかも、その一本一本が――
「まさか――将軍、それ」
「ああ。ジェネリクが持っているその剣と比べても遜色のない名剣ばかりだ。この剣は、これより騎士団全員の装備となる」
そんなことを言われても、素直に歓喜できるわけがない。戸惑いの方が大きい。
例えるなら、上級貴族が住むような屋敷に案内されて、「今日からここがお前の家だ」と言われるのと同じようなものだから。
「言いたいことはわかるが、俺もよくわからん。例の工房で働くクルトが訪れてな。知り合いのお爺さんに貰ったんで、皆で使って下さいと言われたので中身も見ずに受け取ったんだ。名剣だと知り、ユーリシア殿にも尋ねたが、気にするなの一点張りでな……どうしたものか」
こんなに悩む将軍を見るのは初めてだった。
その後、騎士団全員で話し合い、自分たちでこの剣を使うことにした。
そして、俺は剣を授かった時、ある誓いを立てた。
自分の命を懸けてでも、この町とそしてこの町にある工房を守る剣と盾になるという誓いを。
きっと騎士団全員同じ気持ちだろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
3巻書籍化作業に伴い、内容が変更されています。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?